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昭和五十五年十一月四日提出
質問第一一号

 憲法第九条の解釈に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年十一月四日

提出者  森  清

          衆議院議長 福田 一 殿




憲法第九条の解釈に関する質問主意書


 日本国憲法第九条に関し、政府の見解について質問する。

一 第一項で放棄した「戦争、武力による威嚇及び武力の行使」(以下単に「戦争」という。)は、
 1 国際紛争を解決する手段としての戦争であり、そうでないいわゆる自衛戦争は放棄されていないと解するか。
 2 従来、ほとんどすべての戦争は自衛の名の下に行われ、自衛のための戦争も国際紛争を解決するためであり、自衛戦争を含めてすべての戦争を放棄したものと解するか。
二 第二項前段の「陸海空軍その他の戦力(以下単に「戦力」という。)は、これを保持しない。」という意味は、
 1 第二項の「前項の目的を達するため」とは、単に戦力を保持しないことの目的又は動機を述べたものであり、無条件に戦力を保持しない、従つて自衛のための戦力も保持しないと解するか。
 2 「前項の目的を達するため」とは、国際紛争解決のための戦争を放棄するという第一項の内容を指すものであり、そのために戦力を保持しないのであるから、(一のーの解釈によつて)自衛のための戦争は放棄せず、そのための戦力の保持は許されると解するか。
三 第二項後段の「国の交戦権」については、国の戦争を行う権利と解するか、あるいは国が交戦国として国際法上有している権利と解するかについては、後者であると明らかにしているが、この交戦権の否認は、
 1 前段と独立して規定されているところから、文字どおり国の交戦権を否認していると解するか。
 2 前段と後段とを書き分けているが、全体の趣旨から前段との関連において、自衛のための戦力の保持が認められるならば、交戦権も認められると解するか。
四 自衛隊の存在が憲法違反でない根拠は、
 1 自衛のための戦力は保持を禁止されていないと解するからであるか。
 2 主権国としての国家が持つ固有の自衛権に基づき、それを裏付ける自衛のための力は、憲法第九条の戦争の放棄の規定にかかわらずこれを持つことができるが、同条は、戦力の保持を許さないことから憲法にいう戦力は持ち得ないが、その戦力に至らない、自衛のための必要最小限の実力は持ち得るものであり、自衛隊の持つ力はこの程度を超えない実力であると解するからであるか。
 3 自衛隊が自衛のための戦闘行為を行う場合に、国際法上軍隊に認められている地位、権能は認められ、外国に対してこれを主張することができるか。また、外国に対し、その軍隊が国際法上守らなければならない義務の履行を要求する権利があるか。
五 海外派兵(武力行使の目的をもつて武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣すること。)は、自衛のためのものであつても、自衛のための必要最小限度を超えるものであるから憲法違反となると解するか。あるいは、自衛のための必要不可欠のものであるならば、憲法違反とならないと解するか。
六 徴兵制について
 1 徴兵制をとることによつて充足される実力が、憲法で保持を禁止する戦力になるから憲法違反となると解するのか。
 2 固有の自衛権に基づく必要最小限の自衛力が志願制によつては充足できない場合、あるいは志願制と併用することによつてより国民に公平に自衛力に参加させる(例えば選抜徴兵制によつて)必要があると判断された場合に、憲法第十五条を根拠として徴兵制をとることも憲法違反であるか。

 右質問する。





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