衆議院

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昭和五十五年十二月二十二日提出
質問第一号

 関西新空港に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十五年十二月二十二日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 福田 一 殿




関西新空港に関する質問主意書


 運輸省の示す関西新空港計画に関する来年度予算折衝の結果、大蔵省は運輸省に対して、空港計画に先立つて、伊丹空港の存廃の問題、土砂採取運搬に関する環境破壊、公害問題、漁業補償をはじめとする諸補償問題、ヘドロ対策、埋立工事における地盤改良、護岸工事等の技術問題等が明らかでなく、これら資金需要要因の多い問題に対する資本計画が明らかにならなければ、予算措置はできないとして、計画案を差し戻したと聞いている。運輸省の空港計画には多くの問題点があり、大蔵省のこの措置は、現段階においては当然の措置と考えるものである。
 新空港建設については最近、泉州沖新空港に代わる阪神沖空港案が提唱されるなど関西新空港についての国民の合意は必ずしも一致を見ておらず、大型プロジェクトであるだけにその取り扱いは、慎重な検討を経て真に国益にかなう空港計画案を作るべきと確信するものである。
 以上を踏まえて次の事項につき質問をする。

一 大蔵省は運輸省の示す縮小案を差し戻したと聞いているが、事実か。もし事実であればその理由は何か。
二 大蔵省は、大蔵省の意向に沿つた縮小案を提出すれば、「改めて検討する」と言つているが、大蔵省の持つ意向とは何か。具体的に説明されたい。
三 私は昭和五十五年三月三日、衆議院予算委員会の席上、次の質問をした。「審議会の資料に『ボーリング等によつて大阪湾東岸の海岸線に沿つて大きな泉佐野断層があるということが想定されておる』というような文章があるのですが、やはり泉佐野には年平均一ミリぐらいの移動をするというような断層があるのかどうか、お伺いしたいと思います。」
  これに対して松本操運輸省航空局長は、「四十九年まで審議を行つておりました航空審議会の答申が出ました時点におきまして、先生いまおつしやいましたような泉佐野断層の存在についての疑問が論じられたのは事実でございますが、その後私どもが調査いたして現在に至つております過程におきましては、ここにおきます断層というものは現在のところ正確にその位置が発見されているわけではございません。かつここは相当長期にわたつていまおつしやつていますような地殻変動が行われていないということが別途確認をされておりますので、なお今後の詳細な調査を待つべき点があるいはあるかもしれませんけれども、現実におきましては、おつしやるような断層による障害の発生ということが大きな問題になるであろうというふうには考えていない次第でございます。」と答弁した。
  これに対して私は、「そう簡単にこの断層というものについて影響しないということが言い切れるかどうか非常に問題だと思うのです。だからこそ逆に、慎重な審議をしたらどうだろう、私はこう思います。」と更に同局長に追及した。
  しかるに本年十一月十一日の神戸新聞の報ずるところによれば、十一月十日、我が国の地震学の権威、神戸大学の三東哲夫教授は、泉州沖に計画されている同空港建設構想について、「地震学上最も危険な場所である。」との見解を明らかにし、「地震学上、埋立による海上空港は避けるべきだ。どうしてもというなら位置を北へずらして中央構造線から遠ざけ、壊滅的打撃を回避すべきだ。」と警告している。
  これに対して、上村正明運輸省航空局関西国際空港計画室長は談話として、「三東教授の意見でいくと、空港の位置まで再検討するなど大変なことになる。」と述べたことが報ぜられている。更に同室長は、「そんな事態になれば空港の安全どころではないわけで、そこまで考える必要があるとは思えない。」とも述べている。
  これは今なお慎重審議を避けんとする態度であり、安全な空港建設を行おうとする態度を欠いていると言わざるを得ない。このような政府の態度は基本的に間違つていると思うがどうか。また、この段階にあつては、焦らず、地震問題を含めた建設工法、建設場所等慎重審議することが必要であると思うがどうか。
四 昭和五十五年十一月初旬、運輸省は空港縮小案を発表したが、本案に示す護岸工事の図面によると、修正案では、在来の護岸設計を大幅に切りつめ、いわゆる節約型工法となつている。
  私は、旧案の地盤改良方法であつても地震対策上は不十分と聞いており、一方、三東教授の「泉州沖埋立工事は中止せよ。」との警告があるということは、極めて重大である。この警告をどう受げ止めるか。更に、長期にわたつて出た護岸計画をどのような技術的根拠によつて節約型工法に変えたか。節約型工法によればますます技術的不信を招くが、何故技術問題を無視して強行するのかについて説明されたい。
五 縮小案によると護岸工事のみについて修正案が出されているが、地盤改良等については修正はないのか。あるとすればその技術的根拠を示されたい。特に耐震対策について問題はないか。
六 大蔵省は、現計画ではアクセス、地域整備計画等の費用が多く、その他漁業補償をはじめ、土砂採取運搬に伴う補償等の経費が全く織り込まれていないとして再検討を求めたと聞いている。また、前述した阪神沖空港は、泉州沖空港計画案の建設費六兆八千九百億円に比べ一兆千五百億円の建設費でよいとされている。国の財政事情等を考慮し泉州沖空港の代案として阪神沖空港案を検討する必要はないか説明されたい。
七 新空港建設費の比較等、多くの問題点を山積したまま新空港建設を急ぐことについて多くの国民は疑問を持つており、これが明確にされないまま泉州沖に空港を建設するための予算措置を採ることは、尚早であり、たとえ調査費であつても着工を前提とする調査費予算計上は慎重にするべきであると思うがどうか。

 右質問する。



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