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昭和五十六年一月三十日提出
質問第七号

 丸山ワクチンに対する不公正な行政措置に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十六年一月三十日

提出者  草川昭三

          衆議院議長 福田 一 殿




丸山ワクチンに対する不公正な行政措置に関する質問主意書


 丸山ワクチンの製造承認の申請が行われたのは昭和五十一年十一月のことである。それから、既に四年二ヵ月の歳月が経過している。しかもその審査は、窓口から一歩も進んでいない現況にある。丸山ワクチンを永遠に幻のワクチンとして葬るために、かかる不公正な行政措置がとられているのではないか、という疑念の生ずるのも当然である。
 私は、十二万八千人の丸山ワクチン使用患者と国民一般の持つ疑念を一日も早く解消すべぐ、再三にわたり質疑を行い、質問主意書も提出し、政府に対し、その公正さを立証させる機会を与えてきた。しかし、政府は、一層疑念を深めるような答弁に終始し、かえつて自らの不公正な措置を立証する立場に固執している。このため、東京大学法学部教授篠原一氏を代表とする丸山ワクチンの製造承認を求める四万名の署名簿が厚生大臣に提出されるに至つたことも、周知のとおりである。
 園田厚生大臣は、昨年十一月五日の本院社会労働委員会において、がん撲滅の悲願をこめた国民運動まで生み出した丸山ワクチンの審査の経緯と、奇怪とも思われるその内容に関して、「裏の裏まで私はのみ込んでおるつもりでございます。したがいまして、今後は差別待遇であるとか、いやがらせ、これは絶対にさせないことを、ここで誓います。」と私に対し答えている。私は、この答弁が誠意と真実に満ちたものと率直に了解している。しかし、不幸なことに、この園田厚生大臣の答弁すらも、深い疑念の霧の中に消え去るかのような不公正な行政措置が依然として進行している。
 従つて、右の答弁を踏まえ次の事項について質問する。

一 昨年十二月六日、一部の新聞紙上において丸山ワクチンの有効性についての報道がなされた。この報道には、厚生省薬務局長の報道内容に対する肯定的なコメントも併せて掲載されている。このことは、報道それ自体が丸山ワクチンに反対する厚生省のプレス・キャンペーンの一環とも推測できるが、いずれにしても、これらの報道に含まれる厚生省当局の言動は不謹慎であり、さきの園田厚生大臣の答弁からも極めて遺憾である。政府の所見を伺いたい。
二 園田厚生大臣は、丸山ワクチンに対する公正な審査を約束している。しかるに、私の質問主意書には意図的に答えず、しかも中央薬事審議会の審査内容の一部を事実上公表する形をとつた。このような態度は、私が従来から指摘するとおり、まさに不公正な行政措置の新しい進展を物語るものである。とすれば、問題の解決は、今や、行政レベルではなく、全く別の次元での解決を決断せざるを得ないとも考えられる。政府の所見を伺いたい。
三 さきの質問主意書において、丸山ワクチンとピシバニール及びクレスチンの三者を比較対照した説明を求めたが、政府はその答弁を回避した。もし、政府から懇切な説明がなされていれば、丸山ワクチンの製造承認の遅れざるを得ない理由について、その時点で既に国民の理解と納得を得られていたかもしれない。この際、三者の比較対照について、結論だけを一方的に主張する態度を改め、懇切、具体的に説明する答弁を再度求めたい。
四 第八十二回国会の参議院社会労働委員会において当時の薬務局長は、抗悪性腫瘍剤の製造承認について、「がんの特殊性ということからいたしまして、……多少とも有効性があればこれを何とか使いたいという一般の需要が非常に強いという面も、事柄に影響している……。」と述べ、クレスチンの製造承認については、「二〇%ないし三〇%の有効率、効いた率が二、三〇%というところでございますけれども、著しい特徴といたしましては、他の制がん剤に見られるような重篤な副作用が全く認められない、つまり、無害性というところにある……。」と述べている。この答弁は、抗悪性腫瘍剤の有効性と安全性についての政府の考え方を示すものと理解しているが、丸山ワクチンの審査に対し、この考え方がなぜ適用されないのか、あるいは、この考え方は変更されているのか、政府の所見を伺いたい。
五 丸山ワクチンに対する審査の基準について政府は、「当初化学療法剤として審査し、その後免疫療法剤としての審査に切り替えたという事実はない。」と答弁している。そこで、「丸山ワクチンに関する限り審査基準を今後とも変更する考えはないと了解してよいか」と問えば、「より適切な抗悪性腫瘍剤の審査基準が確立された場合には、この基準に基づいて審査することができる」と答えている。現に、免疫療法剤の承認審査に資することを目的とした研究が行われ、昨年四月にはその研究成果が報告されていることも、政府の答弁に示されている。従つて、従来の審査基準に基づいて追加資料を要求し、これを提出すれば、新たな審査基準に基づいて新たな追加資料を要求するという手段を繰り返せば、丸山ワクチンの製造承認を永久に葬ることが可能である。かりに、このような手段を用いるならば(いままでも、これに類する手段が、丸山ワクチンの審査に加えられているように推測できるが)、他の免疫療法剤の製造承認に比較し、著しい不公正な行政措置となることは明らかである。政府の所見を伺いたい。

 右質問する。





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