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昭和五十六年二月六日提出
質問第八号

 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十六年二月六日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 福田 一 殿




沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法に関する再質問主意書


 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律(以下「公用地暫定使用法」という。)及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「米軍用地特措法」という。)に関する私の二度にわたる質問主意書に対する政府答弁は、米軍が銃剣とブルドーザーをもつて県民から奪い取つた基地用地の使用を継続するため、修辞をつくすことによつて政府の脱法行為を覆い隠し、言語同断の居座りをたくらむものであることを政府自らが明らかにしたものであると断ぜざるを得ない。
 いやしくも政府が法手続の厳正な執行を建前とするならば、法発動の要件を欠落させた米軍用地特措法の発動の撤回及び、かつて政府自らが明言した「契約若しくは一般法による権原取得までの暫定措置としての土地使用」という根拠がもはや失われた公用地暫定使用法による強制使用を直ちに終了し、土地所有者の権利回復を早急に実施することを重ねて要求し、以下について政府の見解を求めるものである。

一 前回質問に対する昭和五十六年一月十三日付政府答弁書(以下「答弁書第四号」という。)の三についてには、質問の三の2についての答弁がない。
  よつて以下に関し再度見解を求める。
 1 質問に引用した森山政府委員答弁で明らかにされている建物の移設については、いつから取り掛かり、いつまでに完了させるか。
   また、その費用見積り及び予算措置について明らかにされたい。
 2 返還すべき土地の所有者から囲繞地の設定や現認のための立入りなど返還の準備に関する話し合いの申し出があつたときは、政府は当然これに応ずべきであると思うが、政府は応ずる用意があるか。
二 沖繩県内の位置境界不明地域内の土地への米軍用地特措法の適用に関する以下の質問に答えられたい。
 1 沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法(以下「位置境界明確化法」という。)の原案となつた沖繩県の区域内の駐留軍用地等に関する特別措置法案及び位置境界明確化法案の提案理由説明に際し、三原国務大臣は、「位置境界が現地に即して確認できない土地につきましては、使用しようとする土地を現地に即して特定できないため、これらの法律(注、米軍用地特措法及び土地収用法)による使用について、所要の手続をとることができません。」(第八十回国会衆議院内閣委員会議録第十二号二頁、注記は(注)長)、「沖繩県の区域内において昭和五十二年五月十五日以後も引き続き駐留軍または自衛隊の用に供すべき未契約地を、権利者の保護に留意し、かつ、その位置境界が明らかでないという土地の特殊性に合つた手続により使用することを定める法律案を提出した次第であります。」(第八十回国会参議院内閣委員会会議録第十号一頁)と述べている。
   また、これに先立ち第七十七回国会において斉藤一郎政府委員は、「いわゆる暫定使用法の期限が切れた後は一般の土地収用法、米軍の場合には米軍に対するいわゆる特措法に基づいて強制収用の手続を、必要なものについてはやる、返すべきものについては返すということになるわけでございますが、境界が不明確で土地が特定できない土地についてはこれらの手続が手続上とれないというふうに解釈されております。そういうことなので、とにかく一般法に戻るためにはどうしても土地の境界を明確にする必要がある……」(第七十七回国会衆議院内閣委員会議録第六号六頁)と答弁している。政府は現在もこの見解を維持しているか。もし、見解を変更しているのであればその理由、根拠を明らかにされたい。
 2 私が第九十三回国会において提出した質問主意書第一五号において、位置境界明確化法の手続未完了の土地への米軍用地特措法の適用に関し、政府は、かつて、現地に即しての土地の特定ができないため同法の手続はできないとしていたのにもかかわらず、今回何らかの方法によつて土地の特定ができれば手続ができるとして同法の発動を強行した。集団和解が未成立のままでも位置境界が確定できる方法などおよそ考えられないが、何らかの方法とは何か、その根拠は何か、とただしたのに対し、同質問への昭和五十五年十二月五日付政府答弁書(以下「答弁書第一五号」という。)においては、「昭和五十五年十一月十七日に意見照会を行つた駐留軍用地特措法により使用しようとしている土地のうち、その大部分は沖繩県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法の手続を完了しており、同手続を完了していない一部の土地についても位置境界明確化作業を通じ、現地に即して特定できる状態になつているからである。」(答弁書第一五号二について)と述べている。
   であるにもかかわらず、答弁書第四号の四の2及び五についてでは「先の答弁書の二についてにおいて『位置境界明確化作業を通じ、現地において特定できる状態になつている』と答弁したのは……」とその記述を変更している。
   政府自身の答弁からの引用に際し、その文言を変更することは政府答弁の権威にかかわるものであり、遺憾極まりないことといわなければならないが、これは単なる引用のミスであるのか、それとも「現地に即して」という先の答弁の中心点を変更するものであるのか、そのいずれであるのか明確に答えられたい。
 3 前項について、単なる引用のミスであるのであれば、答弁を「先の答弁書の二についてにおいて『位置境界明確化作業を通じ、現地に即して特定できる状態になつている』と答弁したのは、位置境界明確化作業を通じ、当該土地について駐留軍用地特措法による手続を進め得る状態になつているということを述べたものである。」と訂正しなければならないと思うが、政府は答弁を訂正するか。
 4 前項に関し、政府が答弁の訂正を行うのであれば、その答弁は「現地に即して特定できる状態とは手続を進め得る状態にある」ということになり、「現地に即して特定できる状態にある」、「すべて特定できる」ことを何ら理由付けるものではない。
   つまるところこの答弁は、「手続は進められるのだから特定できる状態にある」という「はじめに手続ありき」から出発する逆立ちした論立てを裏返しに記述したものに過ぎず、第1項に引用した国務大臣、政府委員の見解にまつたく反するものである。
   政府はこの矛盾をどう説明するのか。
 5 第2項に関し、この文言の変更が単なる引用のミスによるものでないのであれば、位置境界不明土地への米軍用地特措法の可否をめぐつての核心問題である「現地に即しての土地の特定」が、位置境界明確化法によるいわゆる集団和解が未成立の土地であつても、「何らかの方法」によつて可能だとする政府見解に関しての記述を変更するものである。
   今後の論議を正確に進める必要上、答弁書第一五号の二についてに述べられている「現地に即して特定できる状態」とはどのようなことをいうのか、更に、四から七までについてにおいて「二についてにおいて述べているようにすべて特定できるものであり」と断定しているその根拠は何か、この二点について再答弁されたい。
三 答弁書第四号の六についてに述べられている「境界争いのある土地であつても、起業者が、いわゆる公図、当該土地の周囲の土地所有者や古老の証言等を参考にして、土地所有者を確定できる場合にはその氏名を、確定できない場合には『土地所有者不明(甲又は乙)』と、土地調書に記載することにより土地収用法の手続を進めることは可能である。」についての以下の質問に答えられたい。
 1 この見解は、境界争いのある一筆地について、当該一筆地のみを対象として土地収用法を発動することを是とするものか。
 2 境界争いのある一筆地のみについて土地収用法を発動した例は実際にあるのか。前例があるのなら示されたい。
四 答弁書第四号の七についてで述べている「先の答弁書の一についてにおいて答弁したとおりである。」とは、「公用地暫定使用法の再延長はしない。」ということであるのか、そうであるならばその旨を明言されたい。

 右質問する。





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