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昭和五十六年三月二十六日提出
質問第二〇号

 日米自動車問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十六年三月二十六日

提出者  渡辺武三

          衆議院議長 福田 一 殿




日米自動車問題に関する質問主意書


 日米自動車問題に関し政府としては、“自動車問題は米国内問題であつてもその窮状を配慮し政治・経済分離の原則に立つて自粛により鈴木首相訪米前に早期解決したい”との立場をとつているようであるが、これに関し、以下の点につき政府見解を伺いたい。

一 自粛論の展開は日本の国益にマイナスでないか。
 1 米国側には日本車の台数制限は産業再生にメリットなし、との認識やさらには、米国経済への悪影響や国際通商戦争の誘発を憂慮する意見が強い。これは、米国有力閣僚や自動車問題タスクフォースメンバー間でも意見が真二つに対立していること、米国主要メディアの論調も自由貿易を唱道していること、さらに自動車業界すらも意見が分かれていること等によつて明らかであるが、このように米国側の対応策が未だ論議されている最中に、何故日本政府は自粛のシグナルを送り続けるのか。これは米国内の保護貿易主義者を利するだけであつて、自由貿易主義者を窮地に追いこみ、結局、日本側に解決を委ねるということで日本の国益にマイナスの結果を招くものでないか。
 2 日本車に対するいかなる輸入規制も日米間の友好通商航海条約とGATTに違反するものであり、特にGATTセーフガード条項に該当する米国通商法二〇一条に関しては既にITCの裁定も下つており、米国側には輸入規制を合法的に発動する道は一切残されていない。しかも米国産車販売も回復してきており、そうした状況下で何故日本側が進んで自粛を言わねばならないのか疑問である。米国内問題の窮状を配慮するのは良いとしても、米国側の要求内容が明確になつていない段階から自粛を表明していては、日本側が窮状打開に協力していると受け取られず、戦術的にも極めてマイナスではないか。
二 台数制限は米国産業の救済となるか。
  米国自動車産業の窮状は景気後退が主因であり、台数制限が救済とならないことについては米国有識者の意見も一致しているし、また、過去の英国の例をみても分かるとおり、一九七六年頃から日本車が急増しないようオーダリーマーケティングをとつてきたが、その間EC車輸入が増えるばかりで英国メーカーの救済とはならなかつたではないか。
  台数制限要求は米国の総意と判断しているのであれば、それはどのような根拠に基づくのか、さらに台数制限が米国自動車産業に与える功罪をどのように評価されているのか伺いたい。
三 日本経済への悪影響をどう防くのか。
  対米輸出が削減されれば、日本の自動車産業にかなりの損害を与えるばかりか、自動車産業が日本経済を支えている現状を考えるとマクロ面でも短期・長期の両面で国内の景気、雇用、国際収支、国家財政等に悪影響を及ばすことになるが、政府としてその影響度をどのように試算しているのか、また、その対策をどのように考えているのか具体的に説明頂きたい。
四 ECへの波及をどう防くのか。
  日米独禁法との抵触を回避するためには対米輸出台数制限は法律を根拠に行うしか方法がないが、そうなれば当然ECも同様の措置を要求してくることは必至の情勢にある。それによつてさらに日本経済に悪影響が及ぶことになるが、この問題にどのように対処されるのか伺いたい。
五 首相訪米前に早期解決をはかるべきとする判断根拠は何か。
 1 早期解決の理由の一つとして、米国議会で輸入制限法案が続出しこのまま放置すれば成立の可能性が高いことを挙げているが、議会でもこれから自由貿易派のロビング活動が活発化していく時に、日本側が自粛による早期解決を表明していては逆にそうした勢力の足を引つ張ることにならないか。
   規制法案成立の可能性が高いとの判断であれば、議会並びに関係委員会メンバーの輸入規制に対する態度評価及び規制賛成派と反対派の勢力数分析の結果を明らかにして頂きたい。
 2 さらに米国自動車産業は最近回復の兆しが見え、失業者数も昨秋の二十五万人から現在十八万人に減つてきているとのことであり、またクライスラーが倒産に至つたとしてもそれは日本車が原因でないとの認識は米国側にも十分浸透している。他方日本車の相次ぐ値上げは輸出減少要因と考えられるが、米国自動車産業を取り巻く環境がさらに悪化するとの判断であればその根拠を伺いたい。
 3 上記以外にも早期解決を急く理由があればその根拠を示して頂きたい。

 右質問する。





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