質問本文情報
昭和五十七年八月六日提出質問第二二号
鈴木内閣の「公約」と「政治責任」に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十七年八月六日
提出者 稲葉誠一
衆議院議長 福田 一 殿
鈴木内閣の「公約」と「政治責任」に関する質問主意書
去る六月三日付、鈴木内閣の「公約」に関する質問主意書に対し答弁書を頂きました。
芳心の結果の誠意ある回答があり、その中において質問主意書に対する答弁書なり、国会において所信表明したものを中心として論ずべきとの御教示があつたので、これに従い、出典を明示しながら更に以下の諸点を質問します。
二 昭和五十七年二月三日衆議院予算委員会における答弁に関する質問(委員会議録一〇、一一ページ)
1 財政再建は必ずやるといつているが、ここに言う財政再建と、五十九年度までに特例公債依存体質を脱却するということは、同一義と解してよいか。
2 特例公債依存体質から脱却するということは、五十九年度に右発行を零にするということだけと解すべきか。
五十七、五十八年度に特例公債を出さないということまで含んでいると理解してもよいのか。
そうでなくて、五十七、五十八年度に特例公債を出しても五十九年度にこれを発行零にすれば足りるということか。
3 現時点(答弁時)において、右体質からの脱却が可能と考えるか。
世上では、これはとても無理であり、五十九年度公債依存体質云々を声高に言う必要はないのではないかとの声もあるが ―― 今になつてもこれを堅持する心算か。
三 昭和五十七年二月二日衆議院予算委員会における答弁に関する質問(委員会議録一七ページ)
1 一般消費税は導入しないと言い、かような大衆増税は絶対に避けたいと答弁しているが、ここに言う一般消費税はいかなる内容のものであるか。
2 ここに言う一般消費税は、何故大衆増税になるのか。大衆増税という意味をいかように理解して答弁しているのか。
3 右一般消費税については国会決議があるが、これはいかなる具体的内容のものと理解されているのか。
四 昭和五十五年十月七日衆議院本会議
政治の倫理を確立し、政界の浄化と刷新を図ることは、我が国の議会制民主主義を守つていくため不可欠であり云々と述べている。
1 議会制民主主議を守つていくことが肝要なことは当然であるが、これには政党、特に政権政党の自浄作用が最も大きな課題であると考えるが、この点はどうか。
2 刑事被告人が事実上支配又は大きな影響力を持つことに多くの国民は抵抗感を持つているが、鈴木内閣はこの点何等の抵抗感を感じないのか。
自浄作用の中で一番大きな件は、二階堂進氏がロッキード事件に関連し五百万円をもらつたかどうかの点であるが、これは単なる党内問題でなく国民的なものであり、政治倫理確立の最も重大なものと考えていると思うが、この点どう理解しているのか。
党内問題であり、国会の、そして国民の関与すべきことでないとの主張を続けるのか。
3 また、この授受につき確認する気はないのか。
4 五十七年六月二十三日衆議院予算委員会(委員会議録一七ぺージ)で、「議院証言法改正は引き延ばしを図つていない、誠意を持つて対処するよう改めて指示するつもりだ」と答弁しているが、具体的にいつ、誰にいかなる指示をしたのか。
国民は、明らかに衆議院法務委員会で一応まとまつたものに実現困難な条項を附加し、その改正を引き延ばしていると考えていると思うが、改めてその実現に対する決意の程を述べて頂きたい。
五 政治責任について
1 鈴木内閣において政治責任をとるとは、いかなる場合にあり得ることか。
2 その政治責任とは、内閣総辞職のことと理解してよろしいか。
3 以上は前記五十七年二月三日衆議院予算委員会における答弁(委員会議録一五ページ)の中に見られるが、その政治責任をとる場合は、この答弁の場合だけに限定されるのか。
六 防衛費に関するGNP一%論等
1 五十七年二月三日の私の衆議院予算委員会における質問に対し、鈴木総理は次のとおり答弁している。(委員会議録三〇ページ)
「政府としては当面GNPの一%以内でこれを進めるんだ、私は、これから防衛計画を進めるに当たりまして、この五十一年当時の、当面GNPの一%以内でこれを進めるという方針を変更する必要はない」
2 防衛計画の大綱(五十一年十月二十九日国防会議・閣議決定)では当分の間とあるのに右様に答弁しているが、答弁時においても前記日時の答弁を堅持するか。
3 本年七月二十三日の国防会議で報告、了承された五六中業について
(1)報告だけか。
(2)了承されたと受け取つてよいのか。
(3)報告どおり五十七年度価格でP3C、F15等総額四兆四千億から六千億にのぼるとすれば、当然鈴木内閣時代にGNP一%を超えることが見込まれるのではないか。
この点明確な回答を頂きたい。
(4)これに関連し、五十八年度、五十九年度におけるいわゆる後年度負担は現時点において(答弁時)、どの位見込まれるのか。
七 昭和五十六年五月八日総理のナショナルプレスクラブでの質問に答えての、「私どもは日本周辺海域数百カイリの範囲内、シーレーンについては約一千カイリを憲法の条項とも照らし合わせ、我が国自衛の範囲内として守つて行く政策を今後も強める」との答えは事実であるか。
事実とすれば、これはアメリカの国民に対する一つの約束と見てもよいか。
公約という言葉は、自国民に対するものだけと考えるのが通常の理解の仕方か。
アメリカ人記者に対する右答えは五六中業にどの様に生かされて行くのか。
また、その回答実現のためには、陸・海・空兵力どの位を必要と考えているのか。
以上七点について明確な回答を要求する。
右質問する。