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昭和五十七年十二月十五日提出
質問第二号

 衆・参両議院の定数格差是正に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十七年十二月十五日

提出者  安藤 巖

          衆議院議長 福田 一 殿




衆・参両議院の定数格差是正に関する質問主意書


 「国権の最高機関」である国会の構成が選挙における有権者の意思を正確に反映しているかどうかは、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であることは言うまでもないところである。昨年十二月自治省が発表した全国の選挙人名簿登録者数(同年九月二日現在)によれば、選挙区別に比較した国会議員一人当たりの有権者数の最高と最低の比率は、衆議院で四・一三対一(一昨年同期四・〇一対一)、参議院選挙区で五・四五対一(同五・四〇対一)となつている。“一票の重み”を巡る格差が一層拡大しているこの実態は、憲法が保障する「法の下の平等」に対する重大な侵害である。「各選挙人の投票の価値の平等も……憲法の要求するところ」との昭和五十一年四月の最高裁大法廷判決は当然のものと言わねばならない。
 このような情況を反映し、国民の議員定数格差是正を要求する声は後を絶たない。首都圏、大阪府などの有権者がその是正を求め、衆・参両議院の選挙で次々と訴訟を起こしているのは周知のことである。取り分け「投票価値の平等を回復する神奈川三区有権者の会」は、昭和五十一年七月発足以来定数格差是正訴訟に取り組むとともに、国会請願、各政党・会派へのアンケート調査の実施など国民世論形成を目指す多様な運動を進めている。
 昭和五十五年六月に行われた衆議院選挙について、千葉四区、前述の神奈川三区など首都圏の十一選挙区、大阪三区の有権者が議員定数の格差是正を求めた訴訟に対し、東京、大阪の高裁もまた違憲の判決を下し、取り分け東京高裁の判決は、格差が「おおむね一対二を超える場合」は違憲との判断を示している。既にこのことは憲法学界でも通説となつている。参議院地方区(当時)についても、昭和五十二年七月選挙の定数格差是正訴訟に対する東京高裁判決で、有権者数と議員定数の比率のいわゆる“逆転現象”について、「憲法の選挙権平等の要求に反する」と論断している。去る十二月八日最高裁大法廷においてこの件の口頭弁論が開かれたが、来春にも昭和三十九年二月以来実に十四年ぶりの判決が出される見通しであり、国民はその行方を注視している。今年末には自治省の選挙人名簿登録者数の発表が予定されており、衆・参両議院における議員定数の格差是正についての関心が一層強まることは明らかである。
 立法府である国会が、「選挙に関する事項は法律で……定める」とした憲法の規定に照らし、国民に対して重大な責任を負つている立場から、支持政党の違いを超えて国民的要求ともなつている議員定数の格差是正を、各党・各会派が協議を重ねていかなければならないことは言うまでもない。日本共産党は、この立場から既に五十六年二月、議員定数不均衡の是正に取り組むことを要求する国会議員団声明を発表し、定数是正の具体的処理に当たつての基本的な態度を明らかにするとともに、その後も機会あるごとに定数の格差是正を要求してきた。
 しかしながら、こうした判決や国民世論にもかかわらず、自民党とその政府が、多数議席維持という党利党略から、ここまで不均衡が拡大しながら抜本的な是正を怠つてきたことは明白である。
 かかる実情にかんがみ、中曽根新内閣に対して以下の諸点について質問し、各項目についての具体的かつ明快なる答弁を求めるものである。

一 衆議院での四・一三対一もの“一票の重み”を巡る格差は、「国権の最高機関」である国会の構成が選挙における有権者の意思を公平に反映しておらず、議会制民主主義の基本さえも損なうものとなつている。このことは、憲法の「法の下の平等」に明確に違反するものでもある。現行定数によつて公正な選挙が保たれていると考えているかどうか。
二 参議院選挙区での五・四五対一の格差は、いわゆる“逆転区”まで生じている実態のあることをみれば、これまた議会制民主主義の根幹も揺るがし、かつまた違憲と断ぜざるを得ない。現行定数によつて公正な選挙が保たれていると考えているかどうか。
三 一昨年の国勢調査によれば、議員一人当たり人口の最高と最低の格差は、衆議院で四・五四対一、参議院選挙区では五・七三対一にもなつている。公職選挙法別表第一の末尾規定によれば、「五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によつて、更正するのを例とする」ことが定められている。法律の適正な運用を図る上からも、政府としてこの公職選挙法の規定を活用して更正すべきものと考えるかどうか。
四 衆・参両議院について、定数格差是正のための今後の具体的な措置を明らかにされたい。

 右質問する。





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