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昭和五十八年五月二十三日提出
質問第二三号

 米軍池子弾薬庫の米軍住宅建設に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年五月二十三日

提出者  中路雅弘

          衆議院議長 福田 一 殿




米軍池子弾薬庫の米軍住宅建設に関する質問主意書


 防衛施設庁は、神奈川県横須賀地区の米軍住宅が不足しているとして、池子弾薬庫に米軍住宅を建設しようとしている。
 しかし、池子弾薬庫の自然は、戦後約四十年間ほとんど人手が入つておらず、市街化が進む三浦半島の中で貴重な緑豊かな地域となつている。すでに弾薬は撤去されており、遊休化されているため、神奈川県、逗子市及び横浜市は、当該地について自然公園などその特性を生かした跡地利用構想を定めている。
 防衛施設庁の米軍住宅建設構想は、地元自治体及び市民の要求を踏みにじるものであると考える。地元で反対が強く、しかも全容が明らかにされていない池子弾薬庫の米軍住宅建設に関して、以下質問したい。

一 米側は日本政府に対し、我が国の予算で横須賀地区に米軍住宅を建設して欲しいとの公式若しくは非公式の要請をしてきているのか。要請してきているのであれば、いつ、誰が、どのような形で、何戸分をいつまでに、と要請してきたのか。
二 すでに防衛施設庁は、調査費の名目で予算計上しているが、それは米側要請に基づくものであるのか、それとも日本政府が独自に行つたものか。あわせて、その年度別予算額(項目ごとに)及び支出状況はどのようになつているのか。
三 池子弾薬庫に千三百戸の米軍住宅を建設すれば、約四十億円の財源が必要であると報道されている。政府は、池子弾薬庫の住宅建設の総事業費はどのくらいになると見込んでいるのか。
  また政府は、当該住宅の建設を我が国の予算で行うことを決定しているのかどうか。
四 防衛施設庁は、「横須賀地区における家族住宅の不足について」という米軍の説明文書を参議院予算委員会理事会に提出した。その中で米軍は、住宅を必要とする理由について、米軍家族の居住している民間住宅の大部分が狭隘、かつ老朽化していることと、単身赴任者で家族との同居を希望している者がいる、ということを挙げている。
  そうであるならば、米軍が不足しているという千三百戸のうち、横須賀地区で民間住宅を借りている者と、単身赴任者で家族との同居を希望している者の内訳数はどのようになつているのか。また、千三百人の米軍人の所属部隊の内訳はどのようになつているのか。
五 報道によると、空母ミッドウェーは近く横須賀で修理を行うということであるが事実か。事実とすれば、米軍はその間ミッドウェーにかわる新たな空母の乗組員の家族住宅が必要になり、その住宅建設を日本政府に要求する可能性があるのではないか。そうした家族住宅の話は一切ないのかどうか。
  また、いま原子力空母エンタープライズ、カールビンソン、コーラルシーなどや戦艦ニュージャージーの横須賀入港が報道されている。これらの原子力空母や戦艦の年内横須賀入港の可能性はあるのか。米側から公式、非公式に話があつたのかどうか。話があつたならば、いつ頃入港の見通しなのかどうか明らかにしていただきたい。
  また、池子弾薬庫に建設を考えている米軍住宅は、これらの空母や戦艦の家族住宅と一切関係はないと言えるのかどうか。
六 池子弾薬庫の住宅建設は、前述の空母や戦艦の寄港のためであるとともに、空母ミッドウェーの母港化に伴う米軍の軍事的機能及び米軍家族の居住条件の不備を補強し、横須賀をミッドウェーの本格的母港とするものではないかと思うがどうか。
七 池子弾薬庫の住宅建設との関連で、住宅以外の施設建設、例えば米軍池子弾薬庫の整備、新設、他地区への移設などはあり得るのかどうか。
八 神奈川県は環境影響評価条例を制定した。今回の池子弾薬庫の米軍住宅建設に関して、政府はこの条例を県が適用した場合、それに従う意向なのかどうか。
  政府は、地元自治体である神奈川県、逗子市、横浜市の意向に反して住宅建設を強行することはないかどうか。
九 地元の反対が強い池子弾薬庫の米軍住宅建設構想を撤回し、地元県、市が考えている自然公園構想実現に努力すべきと思うがどうか。

 右質問する。





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