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昭和五十八年五月二十六日提出
質問第二七号

 タクシー労働者の労働条件の改善等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十八年五月二十六日

提出者  小沢和秋

          衆議院議長 福田 一 殿




タクシー労働者の労働条件の改善等に関する質問主意書


 労働省は、昭和五十四年十二月二十七日、「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」の通達(基発第六四二号)を発し、タクシー労働者の労働条件等の改善を図ろうとしてきたが、その後の状況に改善がみられない。
 また、政府の許認可による一般乗用旅客自動車運送事業者が、道路運送法、同運輸規則及び労働基準法等を厳守しようとせず、そのため、利用者とタクシー労働者の安全が損なわれている。よつて、以下のとおり質問する。

一 前記の基発第六四二号通達は、「自動車運転者の労働条件の改善を図る」を目的として、昭和四十二年二月の「自動車運転者の労働時間等の改善基準」いわゆる二・九通達を廃止し、新たに策定されたものであるが、事態の改善はみられない。むしろ、自動車運送事業者の多くは、基発第六四二号通達を悪用して、労働時間の延長や賃金引下げを行い、労働条件を一層悪化させている。
  たとえば、二・九通達では隔日勤務制の場合、二暦日における事業場外拘束時間は十八時間であつたにもかかわらず、第六四二号通達では拘束二十一時間となつたため、軒並み労働時間が延長されることとなつた。同時に、労働時間が延長された分の賃金は、従前の賃金支給総額の枠内で調整され、事実上の賃下げが行われている。
 (一) 当局はこのような実態を知つているのか。このような実態は、第六四二号通達の「関係当事者は、この基準を理由として労働条件を下げてはならない」という趣旨に著しく違背したものと思うがどうか。
 (二) (一)に指摘したような事業者に対しては、当局として厳重な指導を行い、是正させるべきであり、これに服しない事業者に対しては、法令に基づく処罰を行うのが当然ではないか。
二 政府当局の指導の不十分さのため、タクシー労働者の労働条件は、年ごとに他産業に比し劣悪化しつつある。まず、タクシー労働者の年間賃金収入についていえば、男子常用労働者(三十人規模以上の企業)の年間収入に比べてかなり下回つた水準にある。昭和五十四年には、全国平均で約八十万円、昭和五十五年には約八十五万円、昭和五十六年には九十八万円と年々格差は広がる一方である。労働時間においても、男子常用労働者の平均に比べ、月間四十二時間も長い二百二十五時間(昭和五十六年)となつている。(いずれも労働省「毎月勤労統計」による。)
 (一) 関係当局は、こうした実態を承知しているか。この状態は、タクシーの今日の社会的役割り並びに政府の許認可業務に係る事業として看過しがたいのみならず、安全輸送の確立に著しく逆行していると思うがどうか。
 (二) さらに(一)に指摘したような事実は、タクシー労働者の労働条件改善に背を向け、関係法令・諸通達を順守しようとしない事業者に対して、関係行政当局が労働条件の改善について適切な勧告を行い、法令を順守するよう指導し、なおこれに服しない事業者に対しては、厳重な処罰を行うことなどの処置を怠つた結果であると思うがどうか。
 (三) こうした事態を改善するため、今後のタクシー運賃改定に当たつては、少なくとも昭和四十四年十一月二十一日付物価対策交通関係閣僚協議会の決定及び昭和四十二年二月九日付労働省通達と同様の趣旨の措置を実施し、労働条件改善に関する労使合意の成立を事前に確認する必要があるのではないか。
    今後、タクシー労働者の労働条件を改善するために当局として、どのような実効ある措置を講じるのか。

 右質問する。





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