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昭和五十九年六月二十八日提出
質問第二七号

 名古屋都市高速道路の財政問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十九年六月二十八日

提出者  田中美智子

          衆議院議長 (注)永健司 殿




名古屋都市高速道路の財政問題に関する質問主意書


 名古屋都市高速道路は、建設事業開始後既に十四年を経過した。昭和五十四年度には、高速二号線の一部十・九キロメートルの供用を開始し、現在十三・八キロメートルが新設工事中であり、五・七キロメートルが着工準備中となつている。
 この十四年間にかかつた建設費用は、二千八十六億円にのぼり、その九十七パーセントを借入金に頼つており、営業開始と同時に膨大な赤字を抱え込むことが懸念されているところである。
 当高速道路の財政問題について以下質問する。

一 現供用区間について
 1 供用開始後、今日までの交通量及び料金収入は、いずれも償還計画の二分の一にすぎず、償還計画で予定した累積収支差千三百十一億円が現実には、二千七百七十二億円の巨額にのぼつている。
   近い将来において、この差が急速に縮まることはとうてい期待できず、現行有料道路制度上、当区間の採算性は完全に破綻していると考えるべきだと思うがどうか。
 2 このような深刻な経営悪化に対処するためには、現実に即した長期的な収支見通しを持つことが必要であると考えるが、政府はどのような長期見通しを持つているか。
 3 日本科学者会議愛知支部交通問題研究委員会によると、当高速道路営業区間の単年度収支が黒字に転化する可能性ほとんどなく、「昭和七十七年度には年間九十億円の赤字が発生し、累積赤字は一千億円以上になる」と指摘している。これからすると、料金徴収期間の終わる昭和八十三年度には、名古屋高速道路公社の負債は、当区間の建設に要した費用の三・五倍、二千五百億円にも達することとなる。この結果、関係地方公共団体にとつては、これまでの出資金償還が不可能となるだけでなく、前述の巨額な公社債務に対する債務保証責任が強く問われることにもなり、地方財政法の理念とは全くあいいれないゆゆしき事態だといわざるをえないが、政府は、こうした事態を避けるため、どのような方針をもつて対処しているか。
二 事業認可区間について
  現在、四区間十三・八キロメートルが新設工事中で、五・七キロメートルが着工準備中である。これらが完成後、順次供用され営業区間が三十・四キロメートルに延長されたとしても、新設区間の建設コストは、大幅に上昇(現供用区間の約二倍)しており、また、単位距離当たりの利用台数の増加もほとんど期待できないと考える。そこで、
 1 政府は、事業の採算性に関してどのように考えて新規の事業を認可したのか。
 2 事業認可区間完成後の長期営業収支(償還計画)について、現在どのような見通しを持つているのか。 
 3 昭和五十八年度現在、新設工事中の四区間及び着工準備中の二区間の各区間ごとの新設に要する費用の概算額はいくらか。
 4 事業認可区間ごとの完成時期及びこれに伴う当高速道路利用台数について現在どう予測しているのか。
 5 着工準備中の二区間五・七キロメートルについては、今年度より新設工事が開始されることとなつているが、この新規投資が名古屋高速道路公社の財政破綻を一層深刻化させることになる恐れが強い。
   そのため、新設工事の開始を当分の間見合わせ、利用交通量、採算性などを再検討すべきだと考えるがどうか。
三 整備計画中、未事業認可区間について
  現整備計画中、未事業認可区間の大半は、地下若しくは堀割区間であり、その建設費は、高架区間の二〜三倍になることは必至である。この着工が、今でさえ破綻に瀕している名古屋高速道路公社の財政を確実に破綻させるものであることは論を待たないところである。そこで、
 1 関係地方公共団体や名古屋高速道路公社と協議のうえ、建設計画をできるだけ縮小することを原則とした整備計画の抜本的な見直しを図るべきだと思うがどうか。
 2 整備計画の見直しが終わるまでの間、新規の工事区間への新たな投資は一切留保すべきだと思うがどうか。

 右質問する。





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