質問本文情報
昭和六十年四月十八日提出質問第二八号
天皇誕生日を日本のナショナル・デーとしていることに関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和六十年四月十八日
提出者 矢山有作
衆議院議長 坂田道太 殿
天皇誕生日を日本のナショナル・デーとしていることに関する質問主意書
従来から世界各国は、それぞれ一年のうち一日を国の記念日(ナショナル・デー)として定め、国内での行事のほか、特に在外公館では年に一度の最大の行事として、駐在国の要人、外交団などを招いて祝賀行事を行つていると聞く。
日本においては、このナショナル・デーは、戦前からの慣行に従い天皇誕生日(四月二十九日)をあてているといわれるが、このことについて以下のとおり質問する。
また、これは国際的には、いつ頃からの慣習なのか。
二 諸外国においては、その国のナショナル・デーにはどのような行事が行われているか。
三 日本政府は、外国政府あるいは在京大使館に対し、四月二十九日を日本のナショナル・デーとする旨の通報を行つているか。行つているとすれば、どのように通報しているのか。
四 日本の在外公館においては、ナショナル・デーにどのような行事を行つているか。
五 日本国内において、外務省及び皇居ではどのようなナショナル・デーの行事を行つているか。
六 右の四及び五以外に、日本はナショナル・デーの行事を行つているか。行つていれば、それはどのような行事か。
七 右の四~六の行事に要する費用はいくらか。過去五年間の各年度について明らかにされたい。
八 天皇誕生日を日本のナショナル・デーとしている法的根拠及び理由は何か。
九 天皇誕生日を日本のナショナル・デーとするようになつたのは、いつ頃からか。
十 外務省の資料によれば、四月二十九日をナショナル・デーと定めた経緯は次のようなものとされている。
すなわち、一九五二(昭和二十七年)年十二月の次官会議の席上、外務省よりのナショナル・デーに関する質問に対し、宮内庁より「外国に対する日本のナショナル・デーは従前どおり天皇誕生日とする」旨の回答があり、これによつて戦前からの慣行をそのまま受け継いで、今日まで天皇誕生日を日本のナショナル・デーとしてきた、という。
これは事実か。
十一 日本のナショナル・デーについて、政府は国民に対して、どのように周知させてきたか。
十二 外国の例を見ると、大部分の国が独立記念日、革命記念日など、現在の民主主義体制が成立した日をもつてナショナル・デーにあてていることがわかる。例えば、西側主要国のうちの先進国首脳会議(サミット)参加国について見れば、次のとおりである。
アメリカ 七月四日(独立記念日)
イギリス 六月の第二水曜日(女王の誕生日は四月二十一日)
フランス 七月十四日(フランス革命記念日)
西ドイツ 五月二十三日(西ドイツ基本法公布の日)
イタリア 六月二日(共和国宣言記念日)
カナダ 七月一日(カナダ自治領成立の日)
日本は一九四七(昭和二十二年)年の日本国憲法の施行によつて、明治憲法下での天皇主権を改め、新たに国民主権の民主主義国家として生まれかわつた。このことから考えれば、戦後の日本においては、ナショナル・デーは民主主義国日本の出発の日である憲法記念日(五月三日)をもつてあてるべきだつたと私は考える。
政府の考えはどうか。
十三 右のような理由から、今後適当な機会に日本のナショナル・デーを、天皇誕生日(四月二十九日)ではなく、憲法記念日(五月三日)に定め直すべきだと考えるが、政府の考えはどうか。
右質問する。