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昭和六十年十一月一日提出
質問第五号

 血液製剤による血友病患者へのエイズ感染の現状と安全確保に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十年十一月一日

提出者  浦井 洋

          衆議院議長 坂田道太 殿




血液製剤による血友病患者へのエイズ感染の現状と安全確保に関する質問主意書


 我が国のエイズ認定患者は十一名に及び、そのうち血友病患者が五名を占めている。しかも血友病患者の中にエイズ抗体保有者が五割以上いるとの報告もあり、今後一層拡大しようとしている。
 血友病患者にエイズが感染したのは、血友病の治療薬である血液凝固因子製剤の九割近くが米国からの輸入で賄われている結果である。
 昭和五十年に血液問題研究会が政府に、「医療に必要なすべての血液製剤は献血により確保すべきである」と対策を求めていたにもかかわらず、有効な手がうたれないまま輸入血液製剤の使用量だけが増えていつた。
 また、エイズが問題となつた昭和五十八年の時点でも、血友病患者が献血で血液製剤を製造するよう要求していたがまたも無視され、輸入血液製剤を使い続けたため、血友病患者にエイズが感染していつたのである。
 研究会の意見や患者の要求を無視して今日の事態を招いた政府の責任は、極めて大きいといわざるを得ない。
 血友病患者の要求である献血での血液製剤の製造は緊急を要する課題であり、そのための計画を早急に具体化し明らかにする必要がある。
 本年八月の血液事業検討委員会の中間報告では、「献血で血液凝固因子製剤を製造するため民間製薬会社の製造能力を一時活用することも考慮すべきである」としているが、献血を民間製薬会社に渡すことについては国民の十分なコンセンサスを必要とすることはもちろんのことであり、できるだけ日赤が責任をもつて製造するのが望ましいといえる。日赤が乾燥濃縮凝固因子製剤の製造能力をもつていない現在、血液が少なくてすむ乾燥非濃縮製剤の製造能力を高め、濃縮、非濃縮の両製剤を併用すべきであると考える。
 エイズ感染のこれ以上の広がりを防ぐためには、以上述べた点のほか、献血時の抗体検査、血液製剤の加熱処理の促進を早急に実施する必要がある。
 政府は、四百ミリリッター採血及び成分採血を来年度から実施しようとしているが、その際なによりも必要なことは、国民に対して国内の必要とする血液量とそれがどのように使われるのかを明らかにするとともに、採血時及び使用時に安全性を確保することである。このことなしに国民の理解と協力は得られないものと考える。
 以上の立場にたつて、次の事項を質問する。

一 血液製剤の使用によるエイズ感染の実状について
 1 血友病患者のエイズ罹患者数及びエイズ抗体保有率(保有者数)並びにエイズ関連症候群(ARC)の状態にある患者数はどれくらいか。
 2 エイズ罹患及びエイズ関連症候群状態にある患者にいかなる対策がとられているか。
二 血液製剤の安全確保について
 1 我が国において血液製剤からのエイズ感染がいわれた昭和五十八年頃から今日まで、血液製剤使用によるエイズ感染防止のためどのような施策がとられてきたか。
 2 諸外国で輸入禁止措置をとつた例もあるが、我が国ではなぜそのような措置がとれなかつたのか。
 3 輸入血漿及び輸入製剤のエイズ感染防止の安全基準が設けられたことがあるか。あるとすればその内容と履行状況はどうか。
 4 エイズ対策として国内血液(献血も含む。)を原料とする製剤の供給拡大の措置をとつたことがあるか。
 5 血液製剤の投与によるエイズ発症及び関連症状について、医薬品による「副作用」として報告を求めること及び医薬品副作用被害救済基金による救済は考えられないか。
三 加熱処理製剤の安全確認について
 1 加熱処理製剤によりエイズ感染率が低下するとされているが、安全性はどのように確認されているか。現在までのデータで加熱処理で製剤中のエイズウイルスは完全に不活化が確認されているのか。また蛋白変性などによる副作用についてはどうか。
 2 B型血友病患者のための加熱処理凝固因子製剤の審査状況はどうなつているか。いつごろ認可となるか。
四 エイズの抗体検査及び治療について
 1 エイズ抗体保有検査試薬の審査の状況と認可の見通しはどうか。
 2 エイズ抗体検査試薬の薬価基準の収載とエイズ関連項目の健康保険適用については、どのように考えているか。
 3 エイズ発症患者に対する治療並びに治療法の研究についてどのような措置がとられているか。過去三年間の予算額はどれくらいか。
五 血液製剤の国内自給について
 1 昭和六十一年度以降五ヵ年間の献血目標量及び全血製剤、血液成分製剤、血漿分画製剤として使用する量の年次ごとの計画を明らかにされたい。
 2 血友病治療薬の国産化の早期実施のための具体的年次計画を明らかにされたい。また乾燥非濃縮製剤と乾燥濃縮製剤の割合はどのように考えているか。
 3 日本赤十字社に対し、現在厚生省は製剤の供給に関しどのような指示をしているか。
 4 製剤の製造のため民間製薬会社の能力の一時活用についてどのくらいの量をどのような方法でと考えているか。また国民及び献血者の理解が得られると考えているか。
六 献血の安全性の確保について
 1 献血のエイズ坑体検査を実施すべきだと思うがどうか。
 2 成人T細胞白血病ウイルス(ATL)の感染の現状と対策はどのようになつているか。ATL坑体検査も実施すべきだと思うがどうか。
七 四百ミリリッター採血と成分採血について
 1 四百ミリリッター採血が安全であるという論拠を明らかにされたい。
 2 国民の協力を得るためには十分な説明が必要と考えるがどのようなことを考えているか。
 3 四百ミリリッター採血及び成分採血を安全に実施するためには、医師をはじめとするスタッフの充実が必要だと思うが、具体的にどのように考えているか。

 右質問する。





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