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昭和六十年十一月十二日提出
質問第八号

 六十年産さとうきび生産者価格等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十年十一月十二日

提出者  (注)長亀次郎

          衆議院議長 坂田道太 殿




六十年産さとうきび生産者価格等に関する質問主意書


 政府は十一月一日、六十年産さとうきび価格について、トン当たりの最低生産者価格を昨年より百十円引き上げ二万八百八十円とし、その一方で生産奨励金を百十円引き下げ、五百九十円とする決定をした。
 この結果、さとうきび生産農家の手取り価格は、トン当たり二万千四百七十円で、昨年に続いて二年連続据え置かれ、さとうきび生産に必死の努力をしている生産農家の期待を大きく裏切るものとなつた。
 言うまでもなく、さとうきびは沖縄県及び鹿児島南西諸島における基幹作物であり、沖縄県においては、その栽培面積が畑作全耕地面積の三分の二、農業粗生産額では三分の一となり、県内約四万四千の農家の八五パーセントがきび作に従事しているなど、沖縄県農業では重要な地位を占めている。
 今回の価格決定は、さとうきび生産農家の切実な要求を全く無視したものであり、政府自ら「生産の振興を図る」として策定した第二次沖縄振興開発計画の趣旨とも矛盾し、基幹作物であるさとうきび生産に重大な打撃を与え、生産農家の経営と生活を一層悪化させるものである。
 従つて、以下の点について質問したい。

一 さとうきび価格について、生産農家は「せめて生産費を償える、少なくともトン当たり二万六千円の最低生産者価格の実現を」とその引き上げを強く望んでいた。また、沖縄県議会をはじめ農業団体などは、価格決定に際して「再生産を十分確保できるよう設定してほしい」旨要請を行つてきた。
  にもかかわらず政府は、六十年産さとうきびの生産農家手取り価格を据え置いた理由はなぜか、具体的に説明されたい。
  また、農家手取り価格は、昭和五十六年から昭和五十九年の四年間にたつた六十円しか引き上げられてはおらず、経営費や物価の値上がりを考えれば事実上の引き下げと言つても過言ではない。
  この点についても明確な理由を説明されたい。
二 さとうきび生産農家手取り価格は、昭和五十一年以降農林水産省が発表する生産費さえ大幅に下回つて決定されている。
  例えば、五十九年産さとうきびでみると、農家手取り価格はトン当たり二万千四百七十円であるが、これに対して農林水産省が公表したトン当たりの生産費は二万五千三百十六円となつている。つまりトン当たりの農家手取り価格は、生産費より三千八百四十六円もマイナスとなつている。
  これを生産農家全体でみると、沖縄県の昭和五十九年産のさとうきび生産実績は、百七十万八千三百十六トンなので、六十五億七千十八万円の手取り減になる。
 1 農家手取り価格が、政府自ら公表した生産費より大幅に下回つて決定されている状態が続いていることについて、納得のいく説明をされたい。
   更に、生産費を割る価格で、政府が言うように「再生産を確保することを旨として、適正に決定した」などと言えるのか、明確に答えていただきたい。
 2 生産農家は「これでは採算も合わなく生産意欲ももてない」、「肥料、農薬も制限せざるを得なく増産も困難だ」との卒直な意見を述べている。
   政府は、かかる生産農家の経営の困難な実情について、どのように認識しているのか。
 3 生産農家をはじめ農業団体などは、政府が今回のさとうきび生産者価格決定で行つたような、最低生産者価格を百十円引き上げておきながら他方、生産出荷奨励金を百十円引き下げ、農家手取り価格を据え置くという操作をやめて、「奨励金」を最低生産者価格に織り込み、生産費を償えるように最低生産者価格を引き上げるべきだと要求している。
   これについての政府の見解を伺いたい。
三 政府は第二次沖縄振興開発計画で、「基幹作物であるさとうきびについては、国内甘味資源の確保を図る観点から生産性及び品質の向上を基本に生産の振興を図ることとし、収穫機の開発普及、優良品種の育成導入と健全種苗の普及、病害虫の防除等を積極的に推進する」と述べている。
  しかし、沖縄県におけるさとうきび作農業は、基盤整備の立ち後れ、台風、干ばつ、病害虫による被害が依然として重大な問題であり、肥料、農薬などの値上がりと相まつて一段と経営を圧迫する要因となつている。
 1 政府は、第二次沖縄振興開発計画でかかげた目標をどのように達成しようと考えているのか、以下の事項について、計画内容及びその進捗状況並びに予算措置、目標達成の見通しを明らかにされたい。
  イ 水資源の確保、かんがい排水路及びほ場、農道等の土地基盤整備
  ロ さとうきび収穫作業の機械化の促進
  ハ 優良品種の育成導入と健全種苗の普及
  ニ 病害虫防除対策
  ホ 試験研究機関の拡充・強化
 2 政府は「臨調行革」、「財政再建」と言いながら、軍事費だけは突出させ、他方で生産者価格を低く抑え、生産者農家の経営に打撃を与えている。
   第二次沖縄振興開発計画でさとうきび作農業の振興を強調するならば、来年度以降、さとうきび作農業の振興に係る予算を大幅に増額すべきだと思うがどうか。そのための予算措置をどのように講じるつもりか。

 右質問する。





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