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昭和六十二年一月五日提出質問第一号
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)帰還の日本人妻に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和六十二年一月五日
提出者 遠藤和良
衆議院議長 原 健三郎 殿
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)帰還の日本人妻に関する質問主意書
御承知のとおり、昭和三十四年八月、日本と朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」と呼称。)の両国赤十字社間における「帰還に関する協定」をもとに、同年十二月十四日から北朝鮮帰還事業が開始された。
以来今日まで、一八六次にわたり九万三千三百四十人(総数、昭和五十九年七月二十五日現在)が渡航。そのうち、日本国籍保有者数が六千六百七十九人、内日本人妻数は千八百三十一名と発表されている。出発当時「北朝鮮に着いたら必ず手紙を出します」、「二〜三年したら、日本へ里帰りもできるから」と渡航した人達であるが、以来二十八年を経過した現在、一人も「里帰り」したケースはなく、渡航者の多数が今日音信のない、消息不明者となつている。
手紙の来る者でも、生活苦を訴え、肉親との再会を願望している。
また、手紙等の往来が自由ではなく、日本の留守家族はせめても手紙、荷物が確実に北朝鮮の本人に届くこと、また、北朝鮮からの手紙が確実に日本へ届くことを切望している。肉親の高齢化にともない、他界者が続出している今日、一日も早い解決の道が願われている。
このような実状を踏まえ、以下の項目について質問する。
二 北朝鮮帰還日本人妻が「里帰り」できない理由はなにか。
また、家族が北朝鮮に訪問して面会できる方法はないのか。
これらに対して、政府はどのように対応してきたか。
三 現在、在日北朝鮮人の往来状況はどのようになつているか。
四 政府は、北朝鮮帰還日本人妻の安否調査をどのように行つたか。また、その結果について明らかにされたい。
五 現在、北朝鮮と日本との郵便物の交換方法はどのようになつているか。
六 日本から北朝鮮へ現金を送金するには、どのような制度があるか。
七 北朝鮮に郵便物が届いたか、届かなかつたかを確認する制度はあるか。
八 万国郵便条約第四十二条の規定に基づき、北朝鮮あて外国郵便物に対して、日本国内において調査請求があつた事例はあるか。その場合、政府はどう対応されたか。
九 同規定に基づき、外国郵便物の受取人たる日本人が、北朝鮮に対して郵便物不着の調査請求を行うことはできるか。その場合、いかなる方法、手続きによればよいのか。
右質問する。