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昭和六十二年九月十八日提出
質問第三八号

 ソ連原子力発電所事故調査報告に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十二年九月十八日

提出者  小澤克介

          衆議院議長 原 健三郎 殿




ソ連原子力発電所事故調査報告に関する質問主意書


 ソ連チェルノブイリ原子力発電所の事故(以下「ソ連事故」と略記する。)に関して、本年五月二十八日原子力安全委員会ソ連原子力発電所事故調査特別委員会(以下「事故特委」と略記する。)よりソ連原子力発電所事故調査報告書(以下「報告書」と略記する。)が発表されたが、右報告書はソ連事故の解析・評価に関しても、またこれをふまえた我が国の原子力発電所の現状についての検討・評価ならびに結論の各部分に関しても、これら記述の根拠となるデータ等が明示されておらず、このためきわめて不明確・不十分な報告にとどまつている。
 ところで、我が国内に現在三十数基の原子力発電所が稼動しており、少なからぬ国民がその安全性に不安をいだいている現状よりして、ソ連事故の十分な解析と、これをふまえた我が国の原子力発電所の現状についての周到な検討がなされ、かつそれらが明確な根拠とともに国民に明らかにされることがきわめて重要であると考える。
 従つて、次の事項について質問する。

一 報告書においてソ連事故の経過とこれに対するソ連当局の措置に関しては、ソ連政府が昨年八月にIAEAに提出した事故報告をほぼ唯一の情報源としていると推測され、この情報の不確かさと不十分さがこの事故の詳細かつ明確な解明の妨げとなつていると思われる。
  そこで右に関し
 1 日本政府当局は、右ソ連政府報告以外に、ソ連当局からの何らかの報告や情報を直接または間接入手しているか。
 2 ソ連政府は、右報告提出以後も事故に関する情報収集、測定、解析などの作業を当然継続しているはずであるが、日本政府当局はこれらの情報を得るためにいかなる努力をしてきたか。また今後の方針および具体的計画はどうか。
 3 昨年五月に行われたIAEAとソ連政府の間の合意に基づき、ソ連国内の七ヶ所の放射線測定ステーションのデータが示され、これらはIAEAを通じて我が国政府当局にも報告されていると伝えられているが事実か。事実だとすればその内容はいかなるものか。
二 報告書における各種記述についてその根拠となるデータや試験内容、あるいは依拠した文献等が明示されていないことに関し、原子力安全委員会の御園生委員長は本年七月八日本主意書提出者らに対して、「根拠資料は(事故特委に参加した)個々の研究者がもつているが、それは各研究者のノーハウにかかわることなので公開できない」旨述べ、また本年八月十九日科学技術庁原子力安全局の尾藤原子力安全調査室長より原子力安全委員会の見解について口頭説明がなされた際にも、これら根拠資料についての具体的明示が留保された。
  そこで右に関し
 1 問題が原子力発電施設の安全の根幹にかかわることがらであることからも、また報告書がまさに報告書として国民各層の疑問に答え、かつその批判的検討に耐え得るものであるためにも、根拠資料の明示は当然かつ不可欠であつて、ノーハウにかかわることを理由にこれを秘匿されるべきでないと考えられるがどうか。
 2 特に次の点について根拠を明らかにされたい。
  イ 報告書三六頁に、「我が国の解析によれば、このような多量の水素発生は、同時に放出される水蒸気による希釈を考えても、建屋内で可燃限界を超え、爆発または爆ごうにより建屋を破壊しうるものと推定できる」との記述があるが、右推定の具体的根拠はなにか。
  ロ 右記述は、ソ連事故における二度目の爆発について、これを水素爆発もしくは爆ごうによるものと結論づけるものと解される(報告書においてこれと異つた爆発の可能性について言及していない)。
    しかし、INSAG報告においては出力暴走による爆発の可能性を否定していない。
    報告書において右出力暴走による爆発の可能性を排除する根拠はなにか。
  ハ 「我が国の原子力発電所においては、いずれの炉型についても出力反応度係数が全出力領域(運転領域とは全出力領域の意であることが前記口頭説明において示された)で常に負である」旨の報告書記述の根拠はなにか。もしそれが前記口頭説明において示されたとおり、「炉物理試験で妥当性が確認されたコンピューターコードによる」のであるとするならば、右にいう炉物理試験とは具体的にいかなるものか。
三 その他報告書の内容に関連して
 1 報告書に「シビアアクシデントに関する研究は現在も進行中である」とあるが、具体的に検討されているシビアアクシデントはどのようなものか。そのそれぞれについて、そのときの放射能放出量、事故対策はどうか。
 2 ソ連事故に照らしても、我が国の原子力発電所で行われている「特殊試験」の安全性が問題となるが、日本ではどのような「特殊試験」が行われているか。
   また、そのそれぞれにおける安全性についての検討・評価の内容はどうか。
 3 我が国の原子力発電所の運転史上、これまでに原子炉の運転停止に至つた人為ミスには具体的にどのようなものがあつたか。同様に運転規則違反についてはどうか。
四 我が国の原子力発電所の運転管理において、最近長期連続運転化の傾向があり、重大な関心をいだかざるを得ない。
  そこで右に関し、電気事業法によれば年に一回の定期検査が義務づけられている。しかるにその一方で十三ヵ月以上の連続運転が報じられている。これら長期連続運転についてどう考えるのか。

 右質問する。





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