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昭和六十三年二月三日提出
質問第七号

 余部事故の原因と対策等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十三年二月三日

提出者  寺前 巖  中路雅弘

          衆議院議長 原 健三郎 殿




余部事故の原因と対策等に関する質問主意書


 兵庫県余部鉄橋での列車転落事故から一年余が経過した。余部事故は、突風にあおられた列車が、四十一メートルの橋上から住民の頭上に転落し死者六名、重傷者六名をだすという、鉄橋完成以来七十五年、国鉄百十余年の歴史のなかでもかつてない大惨事であつた。昨年十二月九日には、兵庫県警が安全無視、ダイヤ優先の「人災」として当時の列車課長ら五人を書類送検した。
 この事故は、安全第一であるべき国鉄が分割・民営化を前に、安全をおきざりにした大量の職員「合理化」、熟練労働者の配転、国労・全動労つぶしを進め、現場では列車の遅れを責任事故とする異常な労務管理のもとで引き起こされたものである。さらに、分割・民営化後、関西だけでも福知山線伊丹南口踏切事故(六月)、片町線京橋駅ホーム事故(十一月)をはじめあわや重大事故につながる事態が続いており、余部事故の教訓を生かすためにも、政府の責任で徹底した事故調査と原因究明、再発防止、被害者・遺族への誠実な補償を行うことは、緊急を要すると考える。
 従つて、次の事項について質問する。

一 余部事故では、五人の住民と列車車掌一人がなくなり、さらに住民三人と日本食堂の社員三人が重傷を受けたが、これらの被害者・遺族に対しては誠実で速やかな補償がなされるべきと考える。また、香住町など救援にあたつた自治体・消防団などへの十分な補償もなされるべきと考える。現在、これらの人々及び団体への補償は、それぞれどのようになつているのか明らかにされたい。
二 @余部事故の惨事を繰り返さないためにも、事故当時の国鉄の運営、指導、管理体制の問題を含め全面的な事故原因の究明が急がれている。とりわけ、現場での列車の遅れを責任事故とする異常な労務管理の実態を掌握し、その内容を明らかにされたい。
  Aまた、事故原因の究明は、現在までどのような機関で進められてきたか、さらに現在まで究明された事故原因の内容を明らかにされたい。
三 @余部事故の再発防止について、十二月十五日にJRが国労福知山地区本部に回答した内容によれば、「風速計と特殊信号発光機を連動した(風速二十五メートル/秒)」「風速計を一基増設し指令室に風速記録計を設置」「警報ブザーを風速十五メートル/秒と二十メートル/秒で鳴動させる」などとなつている。
   しかし、この内容では、列車を止める基準は以前と変わつていない。また、風速十五〜二十メートル/秒で警報ブザーが鳴つても、鉄橋の両側の駅(余部、鎧)は無人のままであり現地の状況を知らせる要員はいない。さらに風速計も気象庁では瞬間風速が測れないことですでに廃止されているロビンソンカップ式のままである。
   従つて、少なくとも当面、鉄橋付近の駅に保安要員を配置し、突発事故には連絡できる無線装置を設置する。また、風速計はプロペラ式のものに替え、下からの突風も測れるようなシステムにすることが必要と思われるがどうか。
  A昭和三十三年に福知山鉄道管理局が実施した調査では、余部鉄橋での風速は付近に比べて「著しく大きい」(鳥取の一・七倍、豊岡の二倍)ことがすでに判明しており、今回の事故によつてもその突風の強さは明白である。鉄橋と列車の長さを考えると、運転士が特殊信号発光機を過ぎてから列車が完全に鉄橋を渡りきるには六百〜七百メートルを要する。従つて、風速計や信号機だけで百パーセントの安全を確保することは限界があり、たとえレールが外れても列車が転落しないような構造の鉄橋を検討するなど、抜本的な対策が必要と考えるがどうか。

 右質問する。





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