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昭和六十三年四月十六日提出
質問第二五号

 加工食品の栄養成分表示に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和六十三年四月十六日

提出者  岩佐恵美

          衆議院議長 原 健三郎 殿




加工食品の栄養成分表示に関する質問主意書


 加工食品は現在二万〜三万品目市場に出回つているといわれています。家庭での加工食品の消費も六割に達しています。加工食品に、栄養成分、糖分、塩分などについてどの程度の量が含まれているのかを表示することは、国民の健康を守る上でも、食事をおいしく食べるためにも非常に重要となつています。
 ところが実際には、加工食品の栄養成分表示の不正確なものが横行しています。そこで、以下の点について質問します。

一 昨年東京都が実施した「そうざい類のうす味化に関する試買テスト」の結果によると、うす味表示の五十七銘柄のうち二十九銘柄、五一%が一般品の平均塩分、糖分と比べて、うす味といいにくいものとなつています。さらに、塩分表示があつたうす味表示品目二十一銘柄のうち八銘柄、三八%が実際の表示値より二〇%塩分が多いという結果となつています。政府はこの実態についてどう考えますか。政府自らこうした調査を行うべきではありませんか。
二 近年脳卒中や高血圧による死亡率はがんと並んで高く、国民の間でも塩分や糖分のとりすぎにならないように気をつけようという考え方が強くなつています。昨年の東京都のうす味志向についてのアンケート調査でも九三%の人が塩分を、八五%の人が糖分を減らしたいと考えていると回答しています。
  しかし実際には、厚生省の昭和六十一年の「国民栄養調査」では、国民一人当たり一日の食塩摂取量は十二・一グラムと目標の十グラムを超えています。
  厚生省は国民の強い要求があつて、加工食品の栄養成分表示について昭和五十二年以来法制化に関する調査研究を行つてきました。さらに、昭和五十九年以降「加工食品栄養成分表示制度調査検討費」として予算措置を行い、「栄養情報サービスシステム検討会」を設置して法制化の具体的内容を検討していました。
  ところが、昭和六十年七月の「市場アクセス改善のためのアクションプログラム」で、「国の法令等に基づく新たな基準、認証制度の創設は原則として行わない」としたため、法制化をやめ、業界の自主表示にゆだねるという国民の期待にそむく結果となりました。
  こうした政府の対応は、外国の圧力に屈して、国民の健康を無視するものといわざるを得ません。なぜ法制化を断念したのですか。
三 制度の実効性からみて、表示の法制化が一番だということは明らかです。我が国の基準・認証制度を非関税障壁として撤廃を要求しているアメリカなど諸外国の方が表示が進んでいる実態からみて、法制化を妨げるものはないはずです。ただちに加工食品の栄養成分表示の法制化に向けて検討をしなおすべきではありませんか。
四 法制化断念により、業界の自主表示となりました。ところが、厚生省と農林水産省が対立し、各々が関係業界をまきこんで、業界の自主基準による表示制度を発足させるという、消費者不在の省庁間の縄張り争いを繰り広げるという全くのひどい状態となつています。
  現在両省が進めている表示制度は、五項目の栄養成分のうち糖分について厚生省では糖質、農林水産省では炭水化物と表示するというものです。同じものが両者の表示で違うということから、消費者はもちろん業界の間にも混乱が生じています。わかりやすい表示で調整して欲しいとの声が出されているのは当然のことです。業界のなかには、厚生省と農林水産省どちらにいつたらよいのかわからないので模様ながめ、表示作業を控えるというところもでています。このため、両省庁が各々進めている自主表示は遅々として進まないのが実情です。厚生省が進めている新表示は、昭和六十一年十一月から六十三年一月の間で二万〜三万品目といわれている加工食品のうち、わずか六百八十九品目にすぎず、昭和五十年から試行的に行われてきた七百九十五品目にも達していません。厚生省と農林水産省の縄張り争いはただちに改めるべきです。厚生省と農林水産省の二通りの表示制度を一本化すべきではありませんか。
五 昭和六十一年十月三十日の衆議院物価問題等特別委員会で、消費者にとつてわかりやすい形で調整するよう求めた私の質問に対して当時の近藤鉄雄経済企画庁長官は、「そういう線で調整を図つていきたい」と答弁しています。今日までどのような調整を行つてきたのか、今後どのように調整していくのか、明らかにして下さい。
六 すべての加工食品に栄養成分の表示を早期に徹底させるため、政府は達成期限を明らかにし、計画的に推進すべきではありませんか。

 右質問します。





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