衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成元年三月二十四日提出
質問第一三号

 パートタイム労働者及び家内労働者対策に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成元年三月二十四日

提出者  藤原房雄

          衆議院議長 原 健三郎 殿




パートタイム労働者及び家内労働者対策に関する質問主意書


 近年、産業構造の変化や、労働力の需要と供給双方のニーズに合った就業形態として家庭主婦層を中心に、いわゆるパートタイム労働者が増加している。
 総務庁の労働力調査によると、週間就業時間が三十五時間未満の非農林業短時間雇用者数は、昭和五十五年には全国で約三九〇万人、昭和六十年には約四七一万人、昭和六十三年には約五三三万人と急増しており、そのうち女子は約三八六万人である。また、これに週間就業時間が三十五時間以上のパートタイム労働者を加えると八〇〇万人程度になると推計されている。
 他方、総務庁統計局が昭和六十三年二月に実施した「労働力調査特別調査報告」によると、企業がパートタイム労働者と称している者は約四四三万人となっている。また、労働時間・日数・作業内容等は、一般の常用労働者と変わらない者が少なくないとしている。
 一方、家内労働に従事する労働者は、労働省の調査結果によると昭和六十二年現在、全国で約一〇九万人であり、その多くは家庭の主婦などが従事する内職的家内労働者で占められている。また、動力機械や有機溶剤等を使用する作業等の危険有害業務に従事する者も相当数いるとみられる。
 政府は、これらパートタイム労働者及び家内労働者の法定労働条件の確保等を図るため諸施策を実施しているところであるが、労働関係法令に抵触する労働条件の下で就労している例も多く、諸規定も必ずしも十分に励行されていない。
 よって、次の事項について質問する。

一 パートタイム労働者対策について
 1 労働者の労働条件は、労働基準法(昭和二十二年法律第四九号)、最低賃金法(昭和三十四年法律第一三七号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五七号)等の労働関係法令によって最低の基準が定められており、これらはパートタイム労働者についても当然適用されるべきものである。
   パートタイム労働者とは、単に働く時間が短いというだけであって、一般労働者の雇用と比べて身分的な区分を意味するものではなく、「雇用の形態(常用・臨時など)の如何にかかわらず、一日・一週・一ヵ月の労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する一般労働者の所定労働時間より短い時間で働く者」として定義すべきであると考える。
   パートタイム労働者の定義について政府の見解を伺いたい。
 2 パートタイム労働者の社会的地位は極めて低く、労働条件をみても、
  @ 労働契約締結時の労働条件が不明確で、労働基準法等に基づく法定労働条件の履行も十分確保されていない場合が多い。
  A 健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険等の労働・社会保険の適用が不十分なところが多い。
  B 一般の常用労働者と比べて賃金差別があり、退職金制度等も未整備の場合が多い。
  などの問題点が指摘されている。
   政府が昭和五十九年に策定した「パートタイム労働対策要綱」には、パートタイム労働者と一般常用労働者は、労働基準法その他の労働法令の適用上区別されないと明示している。しかし、現実にはその処遇や労働条件等の面で通常の労働者と比較して、相当の不平等・格差があることは否定できない。
   従って、当面はパートタイム労働者の労働条件の改善と向上のため、「要綱」を雇用側とパートタイム労働者の双方に着実に根づかせることが必要である。今後、一層の各都道府県労働基準局及び労働基準監督署が雇用側に対して行う監督指導を強化すべきであり、各都道府県の婦人少年室においても啓発指導をより強化すべきである。
   「要綱」の遵守について政府の具体的な施策を伺いたい。
 3 立ち遅れているパートタイム労働対策を推進するため、「パートタイム労働対策要綱」に対する行政の積極的な取組みが必要である。
   そのために、地域ごとに「パートタイム労働対策会議(仮称)」等を設けて、その実態や在り方などについて、行政・雇用主・パートタイム労働者が論議を深める場をつくり、パートタイム労働者の地位の向上、労働条件の改善を図るなどの施策を実施すべきであると思うがどうか。
 4 高齢者社会を迎えつつある今日、その雇用就業の場を開発しなければならない。昭和六十三年二月、総務庁統計局の「労働力調査特別調査報告」によると、男女合計で五五才〜六〇才のパートタイム労働者四七万人、アルバイト一二万人。六五才以上のパートタイム労働者一一万人、アルバイト五万人となっている。今後さらにこの傾向は増大すると思われる。
   高齢者には、健康等の個人差や就業ニーズの多様性に応じた雇用機会の創出が求められている。高齢者の豊富な知識、経験、能力を積極的に活用できる社会を実現するための施策について政府の考えを伺いたい。
 5 パートタイム労働者の長期対策として、法的強制力のない「パートタイム労働対策要綱」から、さらに進めて一般常用労働者が享受している労働法令上の諸権利を、パートタイム労働者にも可能な限り平等な形で付与し、健全で対等な労使関係が確立できるよう「パート労働法(仮称)」を法制化すべきであると思うが、今後の取組みについて伺いたい。
二 家内労働者対策について
 1 家内労働法(昭和四十五年法律第六〇号)では、委託者は委託するに当たって、家内労働者に対して家内労働手帳を交付しなければならないとされている。
   昭和六十三年の家内労働旬間中に行った労働省の監督結果によると、家内労働法に違反している事項のうち、家内労働手帳を交付していないものが二〇・二パーセント、交付していてもその記載内容が不備であるものが一一・六パーセントであり、合計で三一・八パーセントであることが報告されている。
   委託者が措置すべき家内労働手帳の交付は、委託条件を明らかにし、家内労働者を保護する上で根幹となるものであるから、この遵守励行を確保する方策を検討し、併せて委託者に対する啓発・監督指導を一層強化し徹底すべきであると思うがどうか。
 2 プレス機械や有機溶剤等を使用する危険有害業種については、委託者の責任で安全衛生に関する措置が十分に講ぜられなければならない。
   労働省の昭和六十二年に行った「家内労働実態調査」によると、災害発生のおそれのある機械・物質を使用している家内労働者は全体の二一・一パーセントであり、そのうち災害防止の措置を講じているものはわずか三〇・五パーセントであると指摘している。
   当該業種に係る監督指導を効果的に実施するとともに、その実効性を一層確保すべきである。そのために、監督実施計画の見直し、及び労働基準監督署が行う是正勧告書の交付後の、是正措置の確認を十分に行うべきであると思うがどうか。
 3 家内労働法では、家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図るため、委託条件の明示・安全及び衛生に関する措置等を規定しているほか最低工賃についても規定している。
   しかしながら、最低工賃制度の運用に当たっては、毎年賃金・物価が上昇しているにもかかわらず、その見直しを適切に実施せず、その多くは三年から五年ごとに改正している。そのため、最低賃金法による最低賃金との均衡を考慮して定めることとされている規定にそぐわない実情にある。
   労働省の調査によると、昭和六十二年度中に改正した四十二件の最低工賃の平均改正間隔は三年四ヵ月で、改正までに五年以上のものが三件であったと指摘している。
   最低工賃の改定には、繁雑な過程が必要であり、現行の決定・改正の事務処理方法では短期・適時の改正作業ができず、結果的に家内労働者の労働条件の改善・向上のための効果を発揮していない。
   最低賃金の改正がほぼ毎年行われていることなどからみても、実情に見合った最低工賃の決定・改正を速やかに実現する体制を整えるべきであると考えるが、今後の取組みについて伺いたい。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.