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平成元年六月二十一日提出質問第三三号
陪審制度についての質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成元年六月二十一日
提出者 滝沢幸助
衆議院議長 田村 元 殿
陪審制度についての質問主意書
裁判は須く公正を期すべく、その爲には、その制度と精神そのものが、その基礎を國民に置かねばならない。
即ち、近代民主々義國家にあっては、いはゆる三權の總てが、その基本を主權者たる國民の信に求めてゐる。これあってこそ始めて、三權は神に代って國民を統治することが許される。いはゆる三權の分立といふも、國民の前には謙虚に且つ開かれたものであらねばならず、國民の良識こそが、それら三權の主人である。
故に、裁判もひとり特定の專門家のものであってはならず、ここにいはゆる陪審制度の必要性と可能性がある。
ついてはアメリカ始め先進各國が、既に實施し實効を擧げてゐる此の制度を、我國にあっても、勇斷を以って採用すべきであるとの論を述べて、政府の見解を質す。
二 最高裁が先般アメリカ等における陪審制度の實状を調査したその成果を問ふ。
三 今日、我國の國民教育の水準は世界に冠たるものであり、充分に陪審制度を生かし得る國民的基礎があると信ずる。如何。
四 世に何事も專門家は專門の事に於て優れてゐることは勿論であるが、反面專門家なるが故の死角をもち、その故に誤ることをなしとしない。この事は裁判においても例外ではない。見解如何。
五 今後陪審制度についての研究をさるる用意ありや。
そのための研究調査の機關を設けるなど、實際的作業をさるる用意なきや。
六 昭和三年から實施された陪審裁判の實状はどうであったか。日本民族の特殊性から事實の認定が出來ないとか、素質に問題ありとの批判等が續出してゐたとか、具體的に答えられたい。
右質問する。