衆議院

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平成二年四月九日提出
質問第四号

 タクシー運転手の労働条件の改善等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成二年四月九日

提出者  佐藤祐弘

          衆議院議長 櫻内義雄 殿




タクシー運転手の労働条件の改善等に関する質問主意書


 一九八七年度におけるハイヤー・タクシー(以下「タクシー等」という。)の利用者は三十三億四千二百万人で、国民一人当たりの年間利用回数は二七・四回と、タクシー等は国民生活に根ざした公共輸送機関として定着している。このタクシー等の運行は、四十二万五千三十一人(同年度)の運転者によって支えられている。タクシー等が文字どおり公共輸送機関にふさわしく、安全第一、常識ある接客態度など利用者本位のサービス向上をはかるためにもタクシー等で働く運転者の労働条件の改善は切実に求められている。
 まず労働時間の問題では、異常な長時間労働が一向に改善されていない。「週労働時間を四十八時間から四十六時間に労働時間の短縮等」を定めた「改正」労働基準法(一九八八年施行)は、タクシー等を含む自動車運転者について三年間の猶予期間を定めたが、それも本年度で終わり、いよいよ九一年度から適用されることになる。しかし、タクシー運転手の労働時間は、年間二千八百八時間(八八年度)にも及び、週労働時間は五十四時間を超える状態が続いている。
 また、タクシー労働者の年間賃金収入についていえば、男子常用労働者(三十人規模以上の企業)の年間収入に比べてかなり下回った水準にある。一九八六年には、全国平均で約百二十七万円、八七年には百三十二万円、八八年には百二十五万円と、他産業に比して相当の格差が生まれている。(いずれも労働省政策調査部編「賃金センサス」及び「毎月勤労統計要覧」による。)
 このような状況の下で、タクシー等の運転者は慢性的な人手不足になっている。その大きな原因は、政府が運賃改定のたびに、労働条件の改善、サービス向上をタクシー等の事業者に課しながら、これを厳守させてこなかったことにある。政府はいまこそその責任を果たすために関係諸法規等を駆使して、タクシー労働者の労働条件改善のために全力をあげるべきである。
 よって、以下のとおり質問する。

一 政府は、タクシー運転者の労働条件を改善するために、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準」という。)等の告示や通達を出してきたところであるが、その改善が一向に進んでいないことは重大である。
  例えば、労働省が発表しているハイヤー・タクシー関係の改善基準違背率は五六・四%(八七年度)と、半分以上の事業場が「改善基準」等に違背している。また、最大拘束時間が「改善基準」等に違背している事業場は、三七・八%(八七年度)と、五年前よりも八%増えている。
 (一) 政府は、このような深刻な現状の原因はなんであると考えているのか。また、その改善のために、いままでどのような具体的な措置をしてきたか。
 (二) 道路運送法、「改善基準」等での違反や違背があり、関係当局の指導や是正等に服しない事業者に対しては、法令に基づく処罰を行うべきではないのか。
二 改正労働時間施行までの猶予期間が残すところ一年足らずとなっているが、タクシー等の労働者の週労働時間は、五十四時間を超えている。このような現状をふまえて、来年度から週四十六労働時間を厳守させるために、政府はどのような実効ある具体的な措置をとるのか、明らかにされたい。
三 タクシー等の労働者の年間賃金収入は三百十五万円(八八年度)で、他産業の平均年間賃金収入四百四十万円(同年度)の七一・五%、その差は百二十五万円にも及び、それが人手不足の大きな要因となっている。政府は、このような実態をどのように認識しているか、また、その改善のためにどのような具体的な措置を講じてきたのか。
四 一九六九年十一月に当時のタクシー等の運転者の深刻な労働条件を改善するために、「物価対策交通関係閣僚協議会の決定」及び「労働省要望書」が出されて一定の労働条件の改善が行われた。これらの措置は、当時の「特殊な条件の下で実施されたものである」と説明されているが、タクシー等をめぐる現在の状況は当時より深刻でさえある。それが、事業者の相次ぐ違背と、政府・関係当局の指導の不徹底によるものであることは明白である。政府はこうした現状を厳しく認識し、前記の閣僚協議会及び要望書と同様の趣旨の措置を、現時点であらためてとる必要があると思うがどうか。

 右質問する。



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