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平成二年五月七日提出
質問第五号

 産業廃棄物の処理に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成二年五月七日

提出者  松浦利尚

          衆議院議長 櫻内義雄 殿




産業廃棄物の処理に関する質問主意書


 近年、好景気を背景としたビル・住宅等の建設ブームや生産活動の活発化に伴い、産業廃棄物の発生量は急増しているといわれている。特に、首都圏への一極集中が一層進展する下で、首都圏で発生する産業廃棄物は膨大な量に達し、処理しきれない産業廃棄物が同圏域から遠隔地域に搬出され、各地で、種々のトラブルを惹起する等、産業廃棄物問題は深刻な社会問題となっている。
 こうした中で、先般、宮崎県串間市に産業廃棄物を持ち込みたいと千葉県の産業廃棄物処理業者から打診があったことが明らかとなり、串間市、同市周辺市町村及び宮崎県では受入れ反対の運動が盛り上がっている。
 串間市は「イモを洗う文化猿」の生息する幸島や野生馬で知られる都井岬など豊かな自然と観光資源に恵まれた地域であり、その環境及びイメージを保全していくためにも、「都会のゴミ捨て場」となることは絶対に容認できないというのが大多数の串間市民、宮崎県民の共通した意見である。
 そこで、次の諸点について質問する。

一 産業廃棄物処理に関する現状認識等について
 1 産業廃棄物の急増の背景と原因に対する認識、産業廃棄物排出総量及びその種類別量
 2 産業廃棄物の都道府県域を越えての移動実態、都道府県別産業廃棄物の排出量及び他の都道府県間との流入・流出量
 3 産業廃棄物の排出総量のうち、再生利用される量、中間処理される量、最終処分される量及びそれぞれの産業廃棄物の種類別量並びにその処理・処分実績
 4 産業廃棄物の不法投棄等不適正処理・処分の実態の把握状況と処罰件数並びにその効果
 5 地方自治体の産業廃棄物に関する政府への要望内容とその時期並びに当該要望に対し政府が講じてきた措置内容
 6 産業廃棄物に関する指導要綱の策定等の規制策を講じ、または検討している地方自治体と規制策の内容
  以上の点について、詳細に数字等を明らかにされたい。
二 産業廃棄物の排出総量の低減化、リサイクル化、減量化策について
  増大の一途を辿り、自区内処理・処分が益々困難化しつつある状況にかんがみ、産業廃棄物の排出総量を可能な限り低減化しつつ、資源の有効利用を図るため、リサイクル化を徹底していく社会システムを早急に構築していくことが極めて重要な課題であると考える。その意味において、排出企業に対し排出量を低減化するよう強力な指導を行うとともに、リサイクル化が円滑かつ着実に実施されるよう政府が積極的に支援策を講じていく必要がある。
  また、処理・処分すべき産業廃棄物についての減量化を図るため、技術開発を促進するとともに、処理業者等が取得する減量化設備等について財政・金融・税制面での優遇措置を講じていく必要があると考える。
  以上の点についての政府の見解と対応方針を具体的に明らかにされたい。
三 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の見直し・改正について
  産業廃棄物が急増し、自区内処理・処分場不足から産業廃棄物の広域移動量が激増しつつある一方において、地方自治体の域外廃棄物の締め出し等の規制が強化され、その結果、行き場を失った産業廃棄物の不法投棄等による環境破壊等の問題が深刻化する等、産業廃棄物の法的措置を含めた処理・処分体制の抜本的な見直しが強く要請されている。
 1 法制定以来、二十年を経た今日、我が国の経済社会は驚くほどの変貌を遂げており、産業廃棄物対策に関しても、経済社会情勢の変化に的確に対応していくことが当然のことと考える。問題をこれほどまで深刻化させてきた責任の大半は、適時適切な対策を講じることなく事態を放置してきた政府、特に厚生省にあると思うがどうか。
 2 産業廃棄物の発生・処理の実態に照らし、法改正を含めた抜本的な産業廃棄物対策の確立が急務と考えるが、政府の見解と対応方針を明確にされたい。
 3 法改正の検討作業に当たっては、地方自治体、産業廃棄物処理業者等関係者、学識経験者はもとより広く意見を聴取することが重要であり、また、具体的検討課題として以下の点について十分な措置を講ずべきであると考えるが、それぞれの事項についての現時点における政府の見解を承りたい。
  (一) 産業廃棄物の適正処理・処分に関し、国の責任と役割を明確化するとともに、必要な支援措置を講ずることを義務づけること。
  (二) 排出事業者に対する排出量の低減化努力並びにリサイクル化、減量化の促進を図るための効果的な措置の導入について規定すること。
  (三) 同法の規定では、排出事業者の「自己処理原則」を明定しているが、実際は処理業者に安易に委託する場合が多い。従って、排出事業者に対し、処理・処分の確認を義務づける等その責任の強化と明確化を図ること。
  (四) 排出事業者から最終処分場までの産業廃棄物の流通及び管理をチェックするため、伝票で管理するマニフェストシステムの導入を図り、関係事業者に義務づけること。
  (五) 産業廃棄物処理業者の許可基準を厳格化するとともに、その健全な育成・強化を図るため、十分な支援措置を講ずること。
  (六) 産業廃棄物処理施設を都道府県知事への届け出制から許可制にするとともに、許可に際しては、当該施設予定地に属する市町村長の意見を十分尊重しなければならないものとすること。
  (七) 産業廃棄物処理施設及びその搬入経路において、環境破壊等の被害が発生した場合の救済制度を創設すること。
      なお、政省令で定められることとなっている産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準等についても、厳格化すること。
四 当面緊急に講ずべき措置について
  法的措置を含めた産業廃棄物の処理・処分体制の抜本的見直しが実施されるまでの間、緊急的措置として、地元が円満に受け入れる場合を除き、産業廃棄物の都道府県域を越えての広域移動をやめさせるよう関係事業者に強力に指導することが必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。





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