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平成二年十一月九日提出
質問第一四号

 住宅・都市整備公団の賃貸住宅建て替え問題に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成二年十一月九日

提出者  大野由利子

          衆議院議長 櫻内義雄 殿




住宅・都市整備公団の賃貸住宅建て替え問題に関する質問主意書


 住宅・都市整備公団が全国で進めている昭和三十年代の老朽賃貸住宅の建て替え計画に伴い、建て替え後の家賃が大幅に値上がりする問題が、入居者とりわけ高年齢者の生活の場である住居を奪うことになる、と大きな社会問題として取り沙汰されている。中堅勤労者が計画的に良質な住宅を確保することが近年の地価高騰によって大変困難になっており、大都市圏の土地の高度有効利用を図ることは時代の要請といえる。快適で良好な住宅ストックの形成によりすべての国民が安心してゆとりある生活を営めるようにすることは急務である。しかし、住宅政策の推進のために高年齢者の住宅環境を奪ったり、新たな住宅困窮者を作ることは許されるものではない。東京都東村山市美住の公団久米川団地ならびに三鷹市の公団新川団地の状況を踏まえ、以下、質問する。

一 久米川団地は昭和三十三年、新川団地は三十四年に完成したものであり、両団地とも入居者の約三五%以上が六十歳以上の高年齢世帯であり、その多くが年金生活者である。ともに建て替え後の家賃は現行家賃の三、四倍になる。公団は七十歳以上の高年齢者特別措置を設定しているが、入居から五年間と期限付になっている。五年後の高家賃を考えると戻り入居はできない、とする世帯が大半である。他の公団住宅や公営住宅への斡旋についても不安を訴えている。これら多くの方々が入居した当時の家賃はけっして安くはなかった。住宅規模が狭小で設備も古いが、長年住みつづけてきた土地である。お年寄りを知らない土地、知人のいない土地に追い遣ることが、住宅・都市整備公団法第一条の「国民生活の安定と福祉の増進に寄与すること」という目的に沿った住宅政策と言えるのか。五年後に高家賃を払えなくなった人には改めて古い所や狭い所を公団が斡旋する、という「高年齢者のタライ回し」はあまりにもひどいのではないか。これらについて、政府は何らかの対応を講ずるべきだと考えるが、見解を明らかにされたい。
二 公団は高年齢者特別措置を主たる生計維持者が七十歳以上とされた根拠はどこにあるのか、明確にされたい。六十歳定年制が未だ定着していない現状からすると、七十歳以上の特別措置は納得できない。入居から五年間たてば、さらに高年齢者になるのに、五年間で打ち切ることも納得できない。六十歳以上で夫婦終身に拡大すべきと考えるが、どうか。
三 公営住宅(都営など)に入居資格があり、希望する人に対しては優先的に公営住宅に入居できるように強力に働きかけるべきと考えるがどうか。ただし、お風呂も無い古い公営住宅で再び建て替えの対象となるようなところは避けるべきと考えるが、どうか。
四 平成二年度予算で認められた低所得者の戻り入居を可能にするリロケーション計画住宅の概要を明らかにされたい。また、両団地にリロケーション住宅を設置すべきだと考えるが、どうか。
五 質問の二、三、四について実現できない場合、政府が家賃補助を行うべきであると考えるがどうか。自らの意思に反する公団の建て替えによって、人生の晩年を不安に陥れる高年齢者を大量に生み出すことは「経済大国」として、また高齢化社会に向かうわが国の政府のとるべき政策ではないと思うがどうか。なお、久米川団地、新川団地のみならず、今後、全国で計画される建て替えにあたっても、政府は抜本的な対応、住宅政策を講じ、誠意をもって対応されたい。

 右質問する。





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