衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成三年四月三十日提出
質問第一一号

 動物保護に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  平成三年四月三十日

提出者  大野由利子

          衆議院議長 櫻内義雄 殿




動物保護に関する質問主意書


 動物の虐待の防止、動物の適正な扱いなど動物の保護を目的とした「動物保護及び管理に関する法律」(以下「動管法」という。)が昭和四十九年に施行されてから既に十七年を経過しているが、訓示法的性格の故、必ずしも法の実効性が上がっているとは言えない。特に動管法の第一の目的である動物の虐待の防止においては、虐待の定義の不明確さや虐待防止の具体的担保に欠けるなどのために、著しく効力を欠いていると言わざるを得ない。
 欧米諸国のみならず、我が国においても動物に対する新しい視点に立った動物保護あるいは動物福祉の機運が著しく高まっている昨今、我が国においてもこれまでの動物保護行政を全般にわたって点検し、新しい観点からの動物保護行政を確立する必要がある。
 そうした観点から、動物保護及び動物福祉の推進を図る立場から以下の質問をする。

一 動物保護行政の実績等について
 1 政府においては、動物保護週間における啓蒙行事の実施等、法の目的に沿って各種の動物保護対策を推進してきているが、近年(過去五年間)、どのような対策と措置を講じてこられたのか、その予算とともに明らかにされたい。
 2 各都道府県等に設置されている「動物愛護センター」の施設数、職員数、施設維持・運営費の内訳及び現在の収容動物の種類と数はどの程度になるか明らかにされたい。
 3 各都道府県における犬、猫の引取り件数、譲渡数、殺処分及び動物実験払下げ数について過去五年間の実績について明らかにされたい。
 4 各都道府県における動物の殺処分には、これまで焼殺、真空殺、薬殺等があったが、現在、それらの殺処分方法についてどのように把握しているか。また、動物の処分のうち殺処分数が圧倒的に多い現状にあるが、この原因をどのように考えるか。また、動物愛護の法の目的に照らし、これを減らしていくことが必要と思われるが、どのような具体策を考えているのか。
 5 殺処分数を減らすためには、犬、猫の“里親探し”等を積極的に進めていく必要があるが、譲渡についての公示期間・時間の延長、場所の増設を行うべきであり、また、譲渡対象を成犬・成猫にまで増やすべきであると考えるが、どう考えるか。
 6 政府は、平成元年十一月二十八日の答弁で、引き取られた犬及び猫について、飼養を希望するものを見いだし難い場合は動物実験に回すことも止むを得ないとしているが、現実は、行政は成犬・成猫については契約した大学や企業などの研究機関に優先的に払下げを行い、一般譲渡を拒否しているのが実情であるが、今までどのように積極的な譲渡の努力を行ってきたのか、伺いたい。
 7 現在、地方自治体で動物問題を担当する部署は、すべて保健衛生や厚生に関するところであり、動物の保護や福祉のために働いたり、動物の虐待を取り締まることのできる機能も権限も有していない。鳥獣保護法における「鳥獣保護員」のように、民間のボランティア等による動物保護監視委員の設置が必要であると考えるが、どうか。
二 動管法の改正について
 1 動物保護の実効はそれぞれの国民の自覚に待つところが多いことも事実であるが、動管法第七条に規定する「犬及びねこの引取り条項」が安易な引取りを誘発していると思われるが、これの何らかの改正が必要と考えるが、どうか。また、安易な引取りを行わないよう各都道府県に行政指導を行うべきと考えるが、政府のご見解を示されたい。
 2 諸外国の法律には、動物虐待の詳細な定義がなされているが、動管法には「動物の虐待」についての具体的定義がなく、このことが多くの動物の虐待を見過ごしにしていると思われるが、政省令その他何らかの形でこれを定義し、動物の虐待防止に資するべきであると考えるが、政府のご見解を伺いたい。
 3 現在の動管法には、商業目的において繁殖、移送、飼育、屠殺等を行う場合の動物の福祉に関する配慮及び監督制度が欠落しており、政府として政省令等により、依るべき基準を定める必要があると考えるが、どうか。
三 動物実験の改善について
 1 現在、飼い主に捨てられた動物の多くが、地方自治体から大学や公立・民間の研究機関及び私企業等に動物実験用として払い下げられている現状にあるが、動物愛護及び実験の科学性・正確性確保の観点から、すでにイギリス、スウェーデン、デンマーク、オランダ、スイス、イタリア及びアメリカなどの諸外国では、これを法律で禁止している現状にあり、我が国においてもこれを中止すべきであると考えるが、政府のご見解を明らかにされたい。
 2 動物実験における動物の虐待防止のため、我が国においてもガイドラインの設定など一応の措置が採られつつあるが、現在、我が国の研究機関においてどのような措置が採られているか現状について示されたい。また、これらが大学等各研究機関においてどのように守られているのかについて国民は知る術がない現状にある。西欧先進国における動物実験の規制の進展から見て、我が国においても公開と監視のための措置が必要と思うが、政府のご見解を示されたい。
 3 動物保護の観点から、動物実験における供試動物の苦痛を除去し、かつその数を確実に減らしあるいは動物に代わる他の方法への代替を図っていく、いわゆる3R(Refinement,Reduction,Replacement)に示される動物実験代替法の開発・普及が強く要請されているが、政府においては現在、これについてどのような対策(予算も含め)を講じているのか、今後の予定・計画及び予算措置も含め政府のお考えを示されたい。

 右質問する。





経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.