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平成四年六月十八日提出
質問第一二号

消防防災行政に関する質問主意書

提出者  寺前 巖




消防防災行政に関する質問主意書


 各種の災害から国民の生命、身体及び財産を守る上で、消防防災業務は重要な役割を担っている。ところが、第一線の消防防災業務にかかわる現場では、業務を積極的に推進する立場からさまざまな要望や意見が寄せられている。
 以下、次の質問をする。

一 三階建個人住宅の安全対策について
  消防庁は、建物火災による死者の問題を重視し一九九一年三月、住宅防火対策の推進に係わる基本方針を定め、同年七月には、学識経験者、関係行政機関、関係団体等で、住宅防火対策推進協議会を建設省と共同で設置するなど努力をされていることは承知している。一九八七年の建築基準法改正で準防火地域における木造三階建住宅の基準が定められ、そこでは延べ面積、開口部の大きさ、外壁・軒裏・柱・はり・床の防火措置などが定められた。
  京都府は、九一年度版の消防白書でも火災件数の少ない自治体として上げられている。京都市内の九〇年度の住宅火災発生件数は一八六件、死者は十二名であったが、九一年度末の本年一・二月で五件、死者六名を出している。
  そのうち三階建住宅では四人が死亡しており、そしてその四人はいずれも三階でなくなっている。今年の京都市の死亡に至る住宅火災の死亡原因は、現在調査中だそうだが、焼死ではなく煙による中毒死、俗にいう「煙死」とのこと。三階から飛び降りることもできず、煙にまかれて意識を失い、救急隊員が救出したときにはすでに手遅れ。窓を開けて外の空気を吸ってくれたら助かったかもしれないが、お年寄りや子供さんではそこまで望めないし、これからの高齢化社会をおもうと大変な問題である。
  一級建築士の小林達士という方が、その著書「木造三階建住宅の設計」(一九八八・一〇・理工学社発行)の中で木造三階建住宅設計の注意点として次のように言っている。それは、@構造的に安全であること。A火事などの災害をおこさないこと。B万一の災害時に、住んでいる人が安全に避難できる方法と時間を確保できることにつきるとしている。
  ところが、いま建っている三階建住宅は、建物自体の強度や難燃性についての基準や制限はさだめられているが、「万一の災害時に、住んでいる人が安全に避難できる方法と時間を確保できる」という点についての規制がみられない。一般的な設計では一階ガレージ・フリースペース、二階がダイニング・キッチン、三階が居間・寝室というパターンで、みんな三階部分で被災している。
  1 三階建住宅の防災対策の一貫として、外部階段・避難はしご・避難ベランダの設置など、積極的な行政指導を行うべきだがどうか。
  2 こうした対策を講じた住宅には、負担軽減のためすでに行われている割り増し融資制度に加え、火災保険の割引制度を設けるべきだと思うがどうか。
二 消防施設整備に係わる国庫補助金の引き上げ、特にはしご付消防ポンプ自動車について
  消防施設整備に係わる国庫補助金は、この一〇年間にドンドンけずられ、八一年と八九年の比較では六十六・八%に後退している。どこの消防へ行っても「基準単価を見直してほしい」、「補助率を引き上げてほしい」という声がよせられている。
  現在京都では、総合設計制度の適用で四〇メートル以上のビルが増えている。なかでも、京都の景観破壊になるとして、市民の間から建設反対の声があがっている京都ホテルや京都駅ビルでは六〇メートルが計画されている。
  1 大都市の市街地におけるビルの高層化にともない、はしご付消防ポンプ自動車の必要性が高まっているが、消防力の基準に対する、はしご付消防ポンプ自動車の充足率は六十二・一%にとどまっている。
    今年度、充足率を高める具体的計画はどうなっているのか。
  2 市町村消防が、はしご付消防ポンプ自動車を購入する場合、現行の国庫補助金では三十八メートルで足切りされている。「三十八メートルでは、せいぜい十二〜十三階どまりで、十五階、二〇階のビルにはとても届かない。今後のビルの高層化を考えた場合、せめて五〇メートルまでは補助金が出るよう基準を引き上げてほしい。」という声があるが、これに対してどう応えていくのか。
  3 京都市では、独自の努力で四十五メートルのはしご車を二台、市の中心部の消防署に配備されたと聞いている。大都市の消防でどうしても三十八メートル以上のはしご車が必要なところには、補助対象に入れるべきと考えるがどうか。
三 消防職員の労働時間短縮のために、地方交付税の対象となる「消防吏員」の人数ひきあげについて九一年四月に救急救命士法が制定され、救急振興財団による救急救命士養成のための教育、訓練が行われ本年四月には第一回の国家試験が行われた。京都では、九二年度に教育センターの建物をつくり、一期五十名の修了者が予定されている。しかし、この救急救命士養成センターに五十人ものまとまった人を派遣することはなかなか大変だと聞いている。
  そこで、消防職員の労働時間の問題だが、多くの消防職員は、当番(二十四時間拘束、うち十六時間勤務)と非番の繰り返しで大変苦労している。今国会において労働基準法本則の週四十時間に向けて、国家公務員や地方公務員の完全週休二日制のために法改正が行われた。もともと苛酷な勤務、労働条件にある消防職員を「例外にするな」という声はたくさん寄せられている。
  昨年度は、週四十六時間から四十四時間への経過措置の中で、交付税の基準が人口十万人あたり五人増えて百十一人になった。京都市では、現在の二部制でも、週四十時間をクリアーしようとすれば八十人、勤務形態のよりゆるやかな三部制を取り入れると約二百人必要と聞いている。
  週四十四時間体制を確立するため、早急に人員の充足率を高めるとともに、四十時間体制の実現のため交付税の消防職員基準を大幅に引き上げるべきと考えるがどうか。

 右質問する。





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