衆議院

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平成四年八月七日提出
質問第二号

毒物及び劇物取締法に基づく六フッ化ウランの劇物指定に関する質問主意書

提出者  長谷百合子




毒物及び劇物取締法に基づく六フッ化ウランの劇物指定に関する質問主意書


 昨年九月二十六日の衆議院科学技術委員会において、核燃料物質である六フッ化ウランが毒物及び劇物取締法に基づく劇物に指定されていたことが明らかになった。また、本年二月十九日に、厚生省は動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)等に対して、同法に基づく製造業の登録を許可した。動燃等が過去十年以上にわたって、許可なく劇物を取扱っていたことはこれで明白であるが、その違法行為は今にいたるも罰せられていない。これが認められるようであれば、毒物及び劇物取締法はいくら違反してもかまわないということになる。
 そこで、次の事項について質問する。

一 厚生省が動燃の登録違反の事実を知ることになった経緯について
  関晴正衆議院議員の問合わせに対し、二月二十八日厚生省からの回答では「動燃から岡山県に『電力会社から劣化六フッ化ウランを譲り受けていた』との報告があり、岡山県がその旨の報告を厚生省にした。厚生省が岡山県に対して、報告を指示したものではない」としている。つまり登録違反の事実は、動燃が自主的に岡山県に報告したことにより承知したということで、それ以前は厚生省は知らなかったということか。
二 厚生省が岡山県から受けた報告の内容は「動燃が、濃縮六フッ化ウラン製造の際に生じた劣化六フッ化ウランの一部を、電力会社から譲り受けていた」ということだけか。他には報告を受けていないか。
三 厚生省は登録違反の事実の報告を受けて、動燃に対して事情聴取をしているのか。事情聴取をしていれば、その内容はどのようなものなのか。
四 動燃が天然六フッ化ウランを電力会社に販売している事実を、厚生省が知ったのはいつか。
五 動燃に対して、「劣化六フッ化ウラン製造業の登録」だけで、「天然六フッ化ウラン製造業の登録」を指示、指導しなかったのはなぜか。
六 動燃に対して、「天然六フッ化ウラン販売業の登録」を指示、指導しなかったのはなぜか。
七 本年三月五日、衆議院科学技術委員会において、動燃の石渡理事長は「現在のところ……動燃所有の天然六弗化ウランを販売する計画はございません……しかし、将来そういう事態が生じないということもないと言い切れないわけで……また、その時点で検討させていただきたいと存じております」と答弁しており、今後、天然六フッ化ウランの販売はしないとは明言していない。「また、その時点で検討する」などと言っているのは、毒物及び劇物取締法に違反していたことに対する反省が見られない。このことについて、厚生省はどのような見解を持っているか。
八 二月十二日に岡山県薬務課、津山環境保健所が動燃人形峠事業所を立入調査しているが、取扱い、貯蔵、表示、装備等の違反があったか。また何か指示、指導したとの報告を厚生省は受けているか。
九 三月十日の岡山県議会で長野知事は「安全面は立入調査で厳しくチェックをする」と答弁しているが、二月十日動燃の製造業登録申請を受けて、十二日に人形峠事業所に県薬務課、津山環境保健所が立入調査を行った際に、安全面でのチェックはしていないのか。製造業認可の時に、安全面のチェックは必要ないのか。
十 動燃に製造停止をさせなかったことについて
  関晴正衆議院議員に対する二月二十八日の厚生省の回答では、認可されるまで製造停止させなかった理由として「動燃が速やかに登録の手続きをしたこと。原子炉等規制法に基づく規制が行われていること等」としている。また、岡山県の高原環境保健部長は「動燃は違反事実が明らかになった後、直ちに製造業の登録を受け、また、動燃の濃縮事業については原子炉等規制法に基づく規制が行われていること等から、濃縮事業を停止させる必要がないと、国が判断したことに従ったものです」と答弁している。
 1 毒物及び劇物取締法違反が判明した時点で、まずは、操業停止を指示すべきではなかったのか。指示しなかった理由は何か。
 2 動燃は直ちに製造業の登録を受けたというが、天然六フッ化ウラン製造業の登録は受けていない。なぜ、天然六フッ化ウラン製造停止の指示、指導をしないのか。
 3 原子炉等規制法で規制されていれば、毒物及び劇物取締法による規制の必要はなく、毒物・劇物が安全に取扱い、管理されるという保障はあるのか。ないとすれば、毒物及び劇物取締法に基づく安全確認をするまでは操業停止すべきではないのか。
十一 関西電力株式会社は、平成二年三月に三菱原子燃料株式会社へ二千キログラム、原子燃料工業株式会社へ千三百キログラムと合計三千三百キログラムの劣化六フッ化ウランを譲渡していた。
 1 厚生省は右の事実を知っていたか。いつ、どのようにして知ったのか。
 2 関西電力株式会社が毒物及び劇物取締法第四条1項に定める販売業の登録をせずに劣化六フッ化ウランを譲渡したことは、同法の第三条3項に違反しているのではないか。
 3 この違反に対して厚生省は、どのような指示、指導をしたのか。
 4 関西電力株式会社は販売業の登録をしているのか。していないとすれば、厚生省はなぜ登録するよう指導しないのか。
十二 六フッ化ウランの劇物指定について
 1 毒物及び劇物取締法にいう毒物、劇物を指定する場合の基準は何か。最近指定されたものなどの例を用いて具体的に説明されたい。
 2 新たに有害性が高い物質が生成もしくは発見された場合、または既存の物質についてその有害性の高さが認識または発見された場合、その物質を毒物または劇物として指定すべきか否かを判定するに至るまでのプロセスを具体的に説明されたい。
 3 毒物と劇物の違いは何か。諸外国の実例をも含めて説明されたい。
 4 可溶性ウラン(化合物)とは、どのような物質をいうのか。定義と化合物名を示せ。
 5 可溶性ウラン(化合物)は、なぜ、劇物として規制されているのか。
 6 可溶性ウラン(化合物)が劇物として規制される根拠となるデータを示せ。
 7 可溶性ウラン(化合物)を劇物指定する際に、具体的にはどのような化合物を用いて、どのような実験を行い、評価したのか。
 8 六フッ化ウランは、なぜ可溶性ウラン(化合物)なのか。溶解時にできるイオン名を含めて説明されたい。
 9 六フッ化ウランによる化学毒性の作用は、他の可溶性ウラン(化合物)と同じなのか。それとも、毒物であるフッ化水素(酸)及びフッ化ウラニルによるウラン重金属としての毒性が考慮されているのか。
 10 一般問題として、ある物質の危険性がある程度予測されながら、一方で、半数致死量LD50を正確に求めることが困難であるとすれば、「保健衛生上」の見地から、予測されるあらゆる可能性を考え、安全側にデータを解釈するべきではないか。毒物及び劇物取締法第一条とのかかわりを具体的に示して、説明されたい。
 11 六フッ化ウランはなぜ毒物指定されず、劇物指定でよいのか。
 12 六フッ化ウランには天然六フッ化ウラン、劣化六フッ化ウラン、濃縮六フッ化ウランがあるが、毒物及び劇物取締法上の登録は六フッ化ウランとして、同一品目となるのか。あるいは、それぞれ別品目として登録されるのか。
 13 天然六フッ化ウラン、劣化六フッ化ウラン、濃縮六フッ化ウランはそれぞれ別品目だとすれば、毒物及び劇物取締法上の違いは何か。天然六フッ化ウラン、劣化六フッ化ウラン、濃縮六フッ化ウランを区分する基準を示せ。
 14 平成元年(一九八九年)に厚生省へ提出された六フッ化ウラン輸入報告書の提出日、品目、量を示されたい。

 右質問する。





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