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平成四年十一月九日提出
質問第四号

国政調査権と守秘義務等との関係に関する質問主意書

提出者  松浦利尚




国政調査権と守秘義務等との関係に関する質問主意書


 議院の国政調査権と公務員の守秘義務との関係については、国会において、過去幾多の論議が行われてきたところであるが、去る昭和四十九年十二月二十三日、参議院予算委員会において、当時の三木内閣総理大臣から政府統一見解が示され、また、政府から、同問題に関する答弁書も提出されてきているところである。
 しかし、国政調査権と守秘義務等との関係については、なお、数点の疑義があるので次の事項について答弁を求める。

一 憲法第六十二条は「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」と明記し、両議院が国政調査権を有することを規定している。また、憲法第六十六条第三項は「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。」と規定していることからも、行政事項全般について両議院の国政調査権が及ぶことは明らかである。一方、憲法第六十五条は「行政権は、内閣に属する。」と規定しているが、公務員の守秘義務については、憲法上、明確な規定は置かれていない。よって、憲法に明記されている国政調査権と、憲法に明記されていない守秘義務とを同列に並べ比較衡量することは、国政調査権を軽んじるものと考えられるがどうか。
二 政府統一見解では、国政調査権に基づいて、両議院から政府に対して、必要な報告または記録の提出の要請があった場合は「その要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかは、守秘義務によってまもられるべき公益と国政調査権の行使によって得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量することにより決定されるべきものと考える。」と述べられているが「守秘義務によってまもられるべき公益」と「国政調査権の行使によって得られるべき公益」とを個々の事案ごとに比較衡量するに際しては、そこにはおのずから普遍的な一定の原理、原則等が貫かれていなければならないはずである。政府はどのような原理、原則、どのような基準、また、どのような手段、方法によって個々の事案を比較衡量するのか明らかにされたい。
三 また、政府統一見解では「比較衡量する」と述べられているが、「比較衡量する」主体は政府であり、政府の主観的判断、恣意的判断によって開披すべきか否かが決定されることになる。これはとりもなおさず、旧議院法第七十四条の「各議院ヨリ審査ノ為ニ政府ニ向テ必要ナル報告又ハ文書ヲ求ムルトキハ政府ハ秘密ニ渉ルモノヲ除ク外其ノ求ニ応スヘシ」との規定と実質的になんらかわるところがなく、政府の判断により、両議院の国政調査権の実効性が損なわれることになると考えられるがどうか。
四 刑事訴訟法第五十三条第一項は「何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、この限りでない。」と規定している。国政調査権の発動により、訴訟記録の提出要求があった場合には、これに応じなければならないと思われるがどうか。
  また、訴訟記録の提出ができないとすれば、国政調査権に基づく提出要求を拒否するに足るだけの「訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるとき」とはいかなる場合を言うのか具体的に明らかにされたい。

 右質問する。





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