衆議院

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平成五年三月二十五日提出
質問第一〇号

吹田操車場跡地利用問題等に関する質問主意書

提出者  菅野悦子




吹田操車場跡地利用問題等に関する質問主意書


 一九九二年十一月三十日に提出された中央公害対策審議会の答申でも、生活環境対策の重要な問題として自動車騒音規制や排気ガス等による大気汚染防止が指摘されている。また、ディーゼルの排気微粒子(DEP)が喘息を引き起こす原因になっていることも、先頃の国立環境研究所の研究結果によって明らかにされているところでもある。
 平成三年度の吹田市の公害白書によれば、大気汚染・道路交通騒音公害は年々悪化の一途をたどり、二酸化窒素は国基準を超え、地域住民の健康に重大な影響を及ぼすに至っている。地域住民にとって、JR梅田貨物の吹田操車場跡地への移転問題は、環境保全及び健康維持に係わる、まさに死活問題となっている。
 以下質問する。

一 吹田市における大気汚染等環境調査の一般測定局である豊津観測所では、二酸化窒素の測定値は〇・〇六一PPMと国の基準を二年連続して超えている。吹田市の窒素酸化物対策に係わる当面の指針では〇・〇四PPM以下と定められているが、いずれの観測地点でも基準には程遠く、増え続ける車両のため環境悪化は深刻化するばかりで、有効な対応策も定まらない実情である。
  中核都市部のこうした大気汚染等の深刻な実態を掌握しているのか。また、今後どのように解決策を具体的に講ずる見通しがあるのか、明らかにされたい。
二 吹田市が実施した小学校児童の疾病調査によると、平成二年度の在籍者二七、三四八名中、アレルギー鼻炎の児童数は二、二五六名で全体の八・二%。また喘息児童数は七二五名二・七%。一〇人に一人は呼吸器疾患をもつ状況である。呼吸器障害をもつ児童数が、大気汚染の悪化に比例して年々大幅に増加している。「児童の健康に生きる権利」を守るために国や自治体があげて環境対策に取り組まなければ、将来にわたって取り返しのつかない事態となることが懸念される。大都市部における児童・生徒のアレルギー疾患及び呼吸器疾患の罹病実態の数的変化はどのように進んでいるか。また、因果関係究明の現段階における科学的知見及び児童・生徒に関するアレルギー・呼吸器疾患対策を明らかにされたい。
三 特に大阪府道十三高槻線の吹東町の三十五地点、及び大阪・京都・高槻線の岸部地域三地点は、何れの調査時間帯であれ一度として基準値内であったことがない。これ以上の大気汚染、環境汚染は何としても防がなければ生存に係わるというのが、地域住民の認識である。環境庁が定めた環境基準さえ達成できない状態にあって、なお「吹田操車場跡地にJR梅田貨物を移転する」との計画は、地域住民の健康対策をどのように検討した結果なされたものか、明らかにされたい。
四 吹田操車場跡地への梅田貨物移転に伴う増車はおよそどの程度と推計しているのか。
五 また増車に伴う大気汚染に係わる環境基準、二酸化窒素に係わる環境基準はどのように変化すると推計されるか。
六 八九年五月大阪府、吹田市、摂津市及びオブザーバーとして清算事業団も参加した「国鉄吹田操車場跡地問題連絡会」において、関係地元市から出された「交通アクセスについての申入れ」について、今日なお、回答が示されていないのは何故か。また、九〇年八月、運輸省に陳情の際「交通問題について調査するよう指導する」との回答をいただいたが、その後どのような調査をされたのか。調査結果を明らかにしていただきたい。
七 国鉄改革に当たって、吹田操車場跡地八六ヘクタールの内、四六・一ヘクタールをJR貨物が、二六・九ヘクタールをJR西日本が、また一三・〇ヘクタールを清算事業団が引き継いでいる。「JR貨物会社の資産は、貨物鉄道事業を適切かつ円滑に運営する上で必要最小限の事業用資産」としてJR貨物に承継されながら、今日に至るもなお長期にわたり放置されたままになっているのは何故か。跡地が三分割されていることからも極めて具体的な構想の下に承継されたと考えられる。「適切かつ円滑に運営」するという点で、当初どのような運用見通しをもっていたのか明らかにされたい。
八 梅田貨物駅の廃止はいつ決定され、いつ公表されたか。また、どのような理由により廃止の決定が行われたのか。大阪府、大阪市、吹田市、摂津市に対して梅田貨物廃止、吹田操車場跡への移転について最初の打診または報告・説明を行ったのはいつか。現に鉄道事業用地として機能していた国鉄資産を清算事業団用地としたところが他にあるか。なぜ機能していた国鉄用地を清算事業団用地とする必要があったのか、その理由を明らかにされたい。
九 八五年五月十七日の新聞紙上で、関西財界など研究グループによる梅田貨物駅廃止後の跡地利用計画「ザ・メディアシティ・オオサカ」構想なるものが報道されている。また八六年には関西の主要大企業六十四社で構成している「メディアシティフォーラム」による跡地再開発のための計画づくりが開始されている。清算事業団等関係者との協議もなしにこうした企画が一方的に計画・発表されることは常識的には有り得ない。梅田貨物駅廃止による財界要請に応えた開発構想が先にあって、移転の必要性が後に生じたというのが実情ではないのか。事実関係を明らかにされたい。
十 市民生活や街づくりにも大きな影響が及ぶ重大な問題にも係わらず、関係自治体や地域住民への誠意ある説明もなく「先に財界の開発計画ありき」では、関係自治体や住民の理解を得られないのも当然と言わなければならない。市民無視ともいうべき、そもそもの開発計画に大きな問題があったのではないか。同時にバブル経済崩壊の今日、企業における投資・開発意欲も消失傾向にあり、自治体の財政事情も悪化している。当初の開発計画自体の再検討を行い、地域住民に歓迎される街づくりを進めるべきと思うがどうか。
十一 九三年一月に明らかにされた総務庁の「日本貨物鉄道株式会社及び日本国有鉄道清算事業団に対する監督行政監察」によれば、「梅田駅については当該用地の開発の基本的な方向を示す土地利用計画の策定も行われていない現状」を指摘し、「処分が平成九年度以降にずれ込むことが懸念される」ことを明らかにしている。「適切かつ円滑に運営される」はずの「必要最小限の事業用資産」予定地が、未だに利用計画の策定も行われていないのは何故か。
十二 また、九一年八月九日、国土庁、運輸省、建設省が梅田貨物駅などの旧国鉄用地を中心としたJR大阪北地区の再開発の在り方に関する「大阪駅北地区総合整備計画」を発表している。他方、総務庁の同行政監察報告は、「梅田は平成元年から基盤整備を開始、平成七年には竣工の見通し」となっている。しかし、中川大阪府知事が「梅田貨物の機能が円満に移転した後の跡地利用構想であり、具体的には貨物機能の解決が先決」(九一年九月九日読売)と述べているとおり、移転計画は暗礁に乗り上げたままの状態である。
   大阪駅北地区再開発構想の今後の施工見通しを明らかにされたい。
十三 九一年十二月二十日付けで、摂津市議会は@梅田貨物駅の吹田操車場跡地への移転計画の検討見直しA利用計画については地元市及び住民の意向を十分聞いた上で行うよう強く要望している。吹田市議会も同年三月二十六日、全く同様の決議をした上でB市内に点在する十三ヵ所の処分予定地についても周辺住民が求めている公園などの必要な公共施設用地とするよう求めている。こうした地元自治体の要望を見ても、大企業の要望に応えた開発計画優先による債務処理方針が受け入れられないことは明らかである。
   吹田操車場が建設されるおり、吹田市岸部地区住民は国策としての国鉄貨物の発展のため、涙をのんで良田を提供したものである。八四年八月の廃止決定の際には岸部地区自治会は吹田市に対し、「広大な操車場のため良田がなくなり、岸部地区は南北に分断され、以来、交通、水路、通学、生活等の全般にわたり悪影響を受けるようになり、今日まで耐えてきた。」こと、また、廃止を機会に「すばらしい環境のすぐれた地域として発展させる」ことを望む要望書を提出している。膠着状態を引き延ばしても地元住民の協力が得られないことは明白である。
   土地利用計画も、生産・企業優先から、個人・住民生活優先に再編成することを求めている「生活大国五力年計画」の閣議決定に基づき、清算事業団の提示する吹田操車場跡地への移転計画を白紙撤回し、関係地元市等の要望を十分に聞き合意形成に最大の努力を図るべきと思うがどうか。

 右質問する。



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