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平成十年九月十六日提出
質問第一四号

ダイオキシン汚染と国の対策に関する質問主意書

提出者  中川智子  保坂展人




ダイオキシン汚染と国の対策に関する質問主意書


 日本のダイオキシン対策は欧米に比べ一〇年以上遅れ、その間に大量のダイオキシン汚染を引き起こしてしまった。その検証が不十分なため、現在も一九九〇年一二月に設定した旧ガイドラインの大量焼却一辺倒の施策が踏襲されている。
 現在、日本の都市の大気中のダイオキシン濃度は欧米の一〇倍にのぼり、たくさんの測定地点で環境庁が決めた環境指針値〇・八pg/mを大きく超えている実態である。また、ごみ焼却炉から発生するダイオキシンにより、大阪府豊能郡の環境施設組合付近や兵庫県宍粟郡の最終処分場は高濃度の土壌汚染にみまわれ、茨城県新利根の城取清掃工場周辺住民の血液中のダイオキシン濃度は世界の平均濃度に比べ一〇倍から二〇倍にのぼっている。
 今年、五月二九日、WHOの専門家会議は、ダイオキシン類のTDI(耐容一日摂取量)をコプラナ ― PCBを含め一〜四pg/kg/日と設定した。日本においても、ダイオキシン対策にさらに取り組まなければならない状況を踏まえ、ダイオキシン汚染の現状認識、現在までのダイオキシン対策への検証、今後の施策について以下の点を質問する。

1 ダイオキシン汚染の実態について
 (1) 大気について
   @ 環境庁指針値〇・八pg/mを超える地域に住んでいる人は何人になるのか。
   A また、埼玉県所沢市のように一地域にごみ焼却施設が集中する地域の汚染の実態はどういうものか。また、そうした地域へ全国一律の廃ガス基準を行うのは適当かまたは不適当か。
   B ダイオキシン発生源のインベントリーはいつ発表されるのか。
 (2) 廃ガスデータについて
     一九九六年の総点検調査の未発表分と九七年度測定分についてダイオキシンの排ガスのデータを発表しないのはなぜか。また、調査の七二の全ての項目について発表しない合理的な理由は存在するか。するのであれば具体的に論拠を挙げて説明せよ。総点検では秋田県十文字町などデータの改ざんや隠蔽があったことが報じられ、宍粟や豊能では測定時に低減工作をしていたことが明らかになっている。これは事実か。もし、未確認であれば調査をしているか。また、なぜこのような事態が起き、隠されてきたのか。その原因をどのように認識しているか。責任はどこに求められるのか。
 (3) 焼却灰について
     宍粟の最終処分場からは残さ六四〇〇〇pg/g、浸出水八七〇pg/という高濃度のダイオキシンが検出されている。これは予想の範囲内であったか。新ガイドラインでは灰の無害化を打ち出したところであるが、東京都日の出町の第一処分場の例にあるように最終処分場は汚水漏れが起きる可能性が大きいのではないか。処分場内にある残さについても無害化にむけて、どのような方策を進めているか。
 (4) 土壌について
     豊能の高濃度汚染の現状と原因究明、汚染対策はどこまで進んでいるのか。一〇〇〇pg/g以上のみを対象とすることで本当に大丈夫か。土壌汚染対策の基準はいつ打ち出すのか。
 (5) 母乳、血液について
     有害物質への感受性の最も高い乳幼児に視点を置いた有害物質規制は、昨年日本も参加した環境サミットでも宣言されているとおりである。しかし、現在、所沢の母乳のダイオキシン濃度がTDIの七倍にのぼっていることをはじめ、日本人の母乳のダイオキシン濃度は、摂取する乳児がTDIを超えてしまう濃度である。この、深刻な現実のなかで、新生児、乳児を抱えた母親たちは、とまどいをみせている。このことに対してどう認識し、どのような調査・対応を進めているのか。また、今後どう対策を講じていくのか。
     新利根・竜ヶ崎の血液は平均と比べてはるかに高濃度であった。これについてどう認識しどう対応していくのか。
2 現在までの国の施策への検証
 (1) 「ダイオキシン専門家会議」について
     一九八三年愛媛大学の立川涼教授がごみ焼却炉からダイオキシン類を検出したことが発表されたことを受け、一九八四年一二月に厚生省が設置した「ダイオキシン専門家会議」では一九八五年五月、人体に対する安全指針値(評価指針)として一〇〇pg/kg/日を決めた。この値はWHOをはじめヨーロッパ各国のTDIと比べ一〇倍から一〇〇倍も緩い値であり、この緩い値がその後もダイオキシン汚染を野放しにしたのではないか。専門家会議の議事録の公開と座長選任の方法、安全指針値の安全率や設定の仕方について具体的に回答を求めたい。
 (2) 旧ガイドラインについて
     一九九〇年一二月「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン検討会」では新炉の指針値のみの設定で法律による規制を行わなかった。昨年一二月一日まで、規制を遅らせたことによってもたらされたダイオキシン汚染への責任をどう認識しているのか。
     委員長をしていた平岡正勝氏は「旧ガイドラインの委員会で我々が示した炉の機種ごとの目標値は、新設炉を除き厚生省のガイドラインでは削られてしまった。また、同時に提出した削減計画は盛り込まれなかった。これが非常に不満でした。」(朝日新聞一九九八・七・六)と述べている。これは事実か。事実なら厚生省の責任は極めて重大と考えないか。委員会における審議の過程を誠意をもって回答されたい。
 (3) 旧ガイドラインの各地での影響について
     旧ガイドライン通知後、宍粟でも豊能でもダイオキシン測定の予算をいったん可決している。しかし、測定報告を求める姿勢を国がみせず、また、ダイオキシンの法的規制も行われなかったので、宍粟でも豊能でも結局測定は行われなかったと聞いているが事実か。事実ならその理由を述べよ。また、一部の都市ではダイオキシン測定を続けていたが、それらの報告を求め対策を進めようとする動きはなかった。もし、国が旧ガイドライン時点で測定報告を求め、報告を公表していたらダイオキシン対策は格段に進み、今日のダイオキシン禍を未然に防げたのではないのか。何が解決を遅らせたのか。行政姿勢を問いたい。
 (4) ダイオキシン対策等の施策について
   @ 一九八八年、兵庫県宝塚市で一般廃棄物焼却炉ダイオキシン訴訟が提訴されたがプラスチック混焼問題を含め、この訴訟を国はどのように認識していたか。
   A 廃棄物処理法一九条(立入検査)に基づき、毎年大阪府は立ち入り検査を行い指示事項を出し、また、必要に応じて法一八条に基づき報告させているが、厚生省はどこまで都道府県の実態を把握していたのか。大阪府豊能郡美化センターでは平成五〜九年の立入検査票で「ダイオキシン対策の燃焼管理」が指示事項に掲げられていながらこのような事態を招いていることについてどう考えるのか。
   B 廃棄物処理法八条に基づく構造・維持管理基準において、燃焼管理や排ガスの冷却装置の基準が一九九二年に改正されたが、これはダイオキシン対策として位置づけられたものか。
   C 一九八六年八月、(社)全国都市清掃会議がごみ処理施設構造指針を作成しているが、構造指針はいかなる位置づけになるのか。指針では水噴射式ガス冷却施設の能力は、集塵機入り口温度二〇〇度以下まで冷却できる能力を有するものと定めているが、豊能郡美化センター及び兵庫県宍粟郡美化センターでのガス冷却施設の能力は、発注仕様書では二五〇度になっている。その上、能勢郡美化センターでは集塵機が傷むという理由から、通常は入り口温度を三三〇度程度にしていた事実もある。炉頂型流動床炉はガス冷却設備が当初より燃焼管理に無理があったのではないのか。以前、国の見解として「旧ガイドライン策定当時は炉頂型ガス冷却設備に知見がなかった。新ガイドラインで初めて知見を得た」との回答をもらっているが、一九八六年策定の構造指針からみれば整合しなくなるが、具体的知見の内容を示し説明して戴きたい。
   D 一九九七年一二月厚生省から発表された食品中のダイオキシン類汚染実態調査ではコプラナ ― PCBを加えても〇・四四〜〇・七五であった。これは、環境庁のリスク評価で採用されている食物から〇・二六〜三・二六pg/kg/日(コプラナ ― PCBを入れれば一〇pgを超える)とかなり開きがあるが、この原因についてどう考えるか。
   E 一九九八年七月一六日に環境庁から発表された平成九年度のダイオキシン類大気環境濃度は過去四回行われた調査に比べてかなり低いものであるが、この原因についてどう考えるか。
 (5) TDIについて
     欧米では一九八九年〜九〇年代初頭にかけてTDIを設定しているが日本が設定したのは一九九六年六月のことであり一〇年近く遅れたことへの見解。また、設定されるにあたって、WHOやドイツ、オランダではTDIの見直しが行われていることを知りながら一〇pg/kg/日という緩い基準を設定した理由。
     また、米EPA、FDA、CDCなど、とても厳しいVSDを設定しているケースについて設定の根拠をどう捕えているのか、また、我が国として採用しなかったのはなぜか。
 (6) 緊急対策値八〇ngTEQ/mの設定について
     八〇ngTEQ/mは新ガイドラインや法規制で緊急対策値として設定されている。新設の焼却炉の基準の八〇〇倍にのぼるこの値については、排出データを政策的に線引きしたものと批判されていたところであるが、これに対し厚生省では、設定の根拠としてTDIを基準に焼却炉からの拡散倍率で算出した値であると新ガイドラインで発表してきた。しかし、今回のWHOのTDI変更に伴い我が国のTDIが見直される可能性が出てきた。ところが、厚生省は「緊急対策値の設定根拠には技術的可能性も含まれていた」と言う。この件に関して事実はどちらであるのか。また、TDIが見直されるにしたがって緊急対策値は厳しくなるべきだと考えられるがどうか。
3 これからのダイオキシン対策について
 (1) 基準見直しについて
   @ 基準見直しについてWHO並みのTDIは当然、コプラナ ― PCBも臭素化ダイオキシンも評価に入れるべきだと考えるがどうか。評価には内分泌撹乱作用や一〇〇万人に一人の発ガンリスクも取り入れるべきだと考えるがどうか。
   A TDI見直しに伴い現在、法規制があるところの排ガス濃度の基準や環境庁健康評価指針値、大気の環境指針値など厳しくする必要があると思われるがどうか。また、排ガス規制対象の拡大、土壌、水質基準など早期に設ける必要があるが具体的な対策はあるか。
 (2) ダイオキシン対策について
   @ 新ガイドラインでは、ごみ減量・リサイクルを掲げているが具体的な数値目標はなく、全般的な行政施策もないばかりか、施設問の協力体制があれば不要な予備炉や、右肩上がりのごみ処理施設整備計画を立てた、新炉計画に補助金交付を行っている。そして、全国一律に大型焼却炉を設置させるために広域化計画を打ち出し都道府県を指導している。また一〇〇トン未満の焼却炉への補助の廃止、ごみ発電の推進などは、結局ごみ増量・プラスチック混焼をもたらし根本的なダイオキシン対策からかけ離れていると考えるがどうか。
   A ダイオキシン発生を抑えるには、焼却炉の改善のみによるのではなく、塩化ビニルなどのプラスチック焼却とダイオキシン発生の関係を調査し施策も講じるべきではないのか。
   B 真のダイオキシン対策・ごみ政策は、地域ごとの実情にあったきめ細やかなごみ行政の推進であり、全国一律の広域化計画ではない。また、ごみ減量、リサイクルに続くのはごみ質ごとの適正処理でありプラスチック混焼ではない。日本では資源循環型社会をつくらねばならないのであり、ごみの大量焼却は賢明な手段ではない。そのために厚生省のごみ行政を大きく転換するために具体的な方策を出すべきだと考えるがどうか。

 右質問する。





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