衆議院

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平成十年十月一日提出
質問第一八号

徳山ダムに関する質問主意書

提出者  石井紘基




徳山ダムに関する質問主意書


 徳山ダム建設予定地域の河川管理に関する対策は、緊急を要すると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 徳山ダム水没地への強制収用準備と確認書について
  本年六月十日、水資源開発公団(以下「公団」という)が徳山ダム建設事業において土地収用法に基づく事業認定申請を行った。
 1 一九七一年十二月二十七日付の「徳山ダム実施計画調査申入書に関する確認書」(以下、確認書という)は、「徳山村長ならびに徳山ダム対策委員長(以下、「甲」という)と建設省中部地方建設局徳山ダム調査事務所長(以下、「乙」という)とは、岐阜県知事立会いのもとに、昭和四十六年十月十六日徳山村民大会における下記説明事項について相互に確認する」として三者が署名捺印したものであり、第九項には「乙は、本事業が水資源開発公団等第三者に継承された場合は乙の責任において、本確認書を継承する第三者に引継ぐ(後略)。」とある。
  ア 建設省は確認書の「乙」として、また公団を監督する官庁として、確認書の条項遵守の義務があると考えるが、いかがか。
  イ 公団徳山ダム建設所は、徳山ダム建設中止を求める会(以下「中止を求める会」という)が、本年六月十七日に同所副所長と交渉を行った際、またそれ以降六月二十四日まで、この文書の存在を確認しなかった。また同副所長は、六月十七日に「強制収用なる言葉は、存在しない、使用しない。」と述べて、強制収用という言葉を使用している確認書の存在を実質的に無視した。建設省は上記第九項の責任を十分に果たしていないのではないかと危惧されるが、いかがか。
 2 また、確認書と同日に徳山村長ならびに徳山ダム対策委員長から建設省中部地方建設局徳山ダム調査事務所長に提出された差入書には、「徳山ダム実施計画調査申入書に関する確認書は、建設省の要望により条項の削除、字句の修正、表現の変化によって徳山村住民の真意が大きく阻害され、その内容は、徳山村住民にとって必ずしも納得のゆくものではなく、このまま実施調査に入ることについては、住民はかなりの不満と不安を残している。このことについては、昭和四十六年十二月二十五日徳山区の集会において、徳山ダム工事事務所長及び岐阜県開発局長との懇談の中でも討議したものであるが、そのうち特に住民の不安とする事項を列記して確認書の交換にあたり、確認書に添付して差入するものである。」とある。この経緯からすると、差入書には建設省職員の押印はないものの、道義的に、建設省及び公団には差入書の条項を最大限尊重する義務が存在すると考えるがいかがか。
 3 確認書第八項には「乙は、(中略)本確認書第一項の趣旨にかんがみ、みだりに強制収用は行わないものとする。」とある。また、上記差入書の第二項には「昭和四十六年十月十六日徳山村民大会において、中部地方建設局徳山ダム調査事務所長及び岐阜県知事の言及した、ダム建設用地取得における土地収用法の見解の趣旨にかんがみ、いかなる段階においても、住民の犠牲となるような強制収用を行わないこと。」とある。
   今般、強制収用への手続きとして公団が事業認定申請を行ったことは、確認書第八項及び差入書第二項といかなる関係にあるか、ご説明願いたい。
 4 事業認定申請の時点で、確認書及び差入書の当事者でもある地権者に対して、「3」に言及した説明がきちんとなされていないことは、甚だ遺憾であると考えるが、いかがか。
 5 一九七一年の確認書及び差入書作成から三十年近く経過して、まだ事業者が用地取得を終えていないのは、地権者の側からの信頼を得られていない事業者の側の責任であると考える。事実、その理由をもって「中止を求める会」会員に水没地の権利の一部を贈与した地権者もいるときく。
  ア 現在、公団を監督する立場にある建設省として、これをどのように考えられるか。
  イ 「中止を求める会」会員等新たな地権者に対して、どのように対応する考えか。
 6 建設省は、本年七月十四日公表のいわゆる建設白書において、「国民との対話を重視する」と述べている。徳山ダム建設事業における強制収用手続き開始は、この姿勢に逆行するものと考えるが、いかがか。
二 徳山ダム建設予定地域の河川管理についての再質問
  五月十九日に質問主意書を提出し、六月十九日に答弁書を頂いた件について、疑問な点等を再度質問する。
  なお、当該地域における河川法の運用については、六月十八日付「建設省河政発第六十号、建設省河治発第三十三号、建設省河開発第六十九号」通達(以下「六月十八日付通達」という)によって、是正される見通しとなったことは多とするところである。また全国的に河川法二十四条運用についての「基準作り」を進める旨耳にしている。他省庁も含めて、余りにも大幅な裁量による弊害を指摘する国民の声が強くなっている昨今、これをなくす上からも喜ばしいことと受け止める。その上で、当該の問題に表れた建設省職員の対応について、以下の質問をする。
 1 答弁書の「1について」によると、昨年七月二十五日の時点で、建設省中部地方建設局職員が徳山ダム建設中止を求める会(以下「中止を求める会」という)の会員に対して「治水上問題はない旨及び河川一時使用届出書が提出されている旨を口頭で回答している。」とされている。しかし、「中止を求める会」会員によると、その時点では中部地方建設局職員笛田俊治氏は「治水上問題はなく、法的にも適切に処理されている」と述べ、河川一時使用届けについては一切言及はなかったという。「中止を求める会」会員は、その後約四ヶ月間、何度も笛田俊治氏に電話して「法的にも適切に処理されている旨の法的根拠、法の条項」を尋ねたのに対七て、笛田氏は答えなかった。故に「中止を求める会」会員は、十二月になって木曽川上流工事事務所揖斐川出張所職員に電話したのであり、ここで初めて「一時使用届け」が過去において出された(平成七年四月に届け出され、期限は翌年三月までであった)旨を耳にしたと述べている。
  ア 仮に平成九年七月二十五日時点で、笛田氏が「河川一時使用届けが出ている」旨を「中止を求める会」会員に伝えたのであれば、同時に笛田氏は一時使用届けの期限が切れてから一年三ヶ月以上経っていることも知っていたのであり、そのことを正確に回答すべきであった。これ以降の中部地方建設局が繰り返した「法的に適切に処理されている」旨の回答は、不正確・不適切なものであると考えられるが、いかがか。
  イ 「中止を求める会」会員は、本年五月十九日の質問主意書に対する六月十九日答弁書まで、中部地方建設局職員からは、「法的に適正であった」という回答しか得ていない。アに述べた状況により、結果として、中部地方建設局における河川法二十四条運用の問題点が明らかにされ、その是正措置がとられるのが約一年の長期にわたって遅れたということを指摘したい。市民による検証の機会を奪い、必要な是正措置を遅らせたという意味で、アの職員の対応は、公務員として甚だ不適切な対応であると考えるが、いかがか。
  ウ 「中止を求める会」会員は、上記のような対応は、当該の件で河川法二十四条を適用していないことを隠蔽するためではなかったか、との強い不信感を抱いている。こうした職員の不適切な対応が、建設省全体の公正さ、公明さに疑念を抱かせるものであったと考えるが、いかがか。
  エ 今後の職員の市民への対応についていかが考えるか。
 2 答弁書の「5から8までについて」及び六月十八日付通達によって、有限会社オヅリンサンに河川法二十四条に定める河川管理者の占用許可の手続きをさせていなかったのは、法の運用として不適切であったことが明らかになった。
  ア 一九九七年十二月二十二日、中部地方建設局特定プロジェクト室からのFAXには、「ご指摘の作業道ならびに作業ヤードは、雑木及び用材の伐採、搬出、整理を目的としたものであり、河川予定地内の行為として禁止あるいは制限されるものではありません。(後略)」とあり、これは建設省としての見解であると口頭で述べている。建設省の組織としての法律の運用について意思統一が図られていなかったことの原因と責任は、どこに存在するのか。
  イ 磯谷においては、一九九七年七月、有限会社オヅリンサンによる保安林不法伐採(無許可伐採)が発覚している。建設省が法を適用せずに、有限会社オヅリンサンの作業道敷設と使用を認めたことが結果として他の不法行為を惹起したことになるが、この責任はいかに考えるか。
 3 「中止を求める会」会員は、一九九七年十二月に建設省監察官室に、上記職員の対応が公務員の信用を失墜させるものであったと考える旨を提出したところ、中部地方建設局の主任監査官に、文書を回された。主任監査官は「磯谷の作業道・作業ヤードなど河川関係の法律についてはよくわからないので笛田から答えさせる。」とのことで、本年二月に他の中部建設局職員名で、本年六月十八日付通達、及び六月十九日答弁書とは明らかに内容の異なる回答があった(上記2)。しかし、その後、肝心の「職員の対応が公務員の信頼を失墜させるものであったかどうか」の監査官としての見解については、未だ何ら返事がない。六月二十二日、「中止を求める会」会員がその旨主任監査官に再度要求したところ、本年七月三日付で、六月十八日付通達の写しとともに「本件に関しては、『徳山ダム予定地域の河川管理に関する質問主意書』に対する答弁書のとおりであります。なお、組織としての法律の運用について、意思の統一が図られていなかったものであり、別紙、平成十年六月十八日付三課長通達により、今後においては遺憾なきようとりはからうものであります。以上のことから、本件に関しては、所要の措置が講じられたものと、判断しております。」との回答があった。
   昨年十二月以来、半年間、監査官としての調査もなく、見解も出さず、国会提出の質問主意書とその答弁書をもって「所要の措置が講じられた」というのは、(1)監査機能の放棄であり、(2)国会提出の質問主意書に拠って監査官としての回答の代わりとするのは、質問主意書及び答弁書の性格が歪められるおそれもある、と考えるが、いかがか。
 4 本年度版建設白書で強調している公共事業における「国民との対話」重視の姿勢を実のあるものにするためにも、建設省職員は、市民に対して、誠意ある情報開示、説明責任の全うを心がけるべきだと考える。そのことにかんがみ、上記のような状態を、改めるべき具体的な方策について、ご説明願いたい。

 右質問する。



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