衆議院

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平成十年十月九日提出
質問第二〇号

ドミニカ共和国日本人移住問題に関する質問主意書

提出者  秋葉忠利  川内博史




ドミニカ共和国日本人移住問題に関する質問主意書


 ドミニカ共和国に在住の日本人移住者は、日本 ― ドミニカ共和国間の外交問題となっておりこれに対する日本政府の対応は、緊急を要する。

一 日本弁護士連合会からの本件に関する要望書に関して
 1 日本弁護士連合会より、平成六年に本件に関する要望書が日本政府に提出されたが、これについて、日本政府はこれまでにどのような検討を行ってきたのか。また、その検討の結果はどのようなものであったか。さらに、それに基づき、具体的な方策を講じたことがあるか。講じたとするとその内容を明らかにされたい。
 2 右要望書中で、日本政府とドミニカ共和国政府との間で本件移住計画実施のために取り交わされたさまざまな外交文書が援用されたが、日本政府にも同様の外交文書は保存されているのか。保存されていないとしたら、右日弁連の要望書の提出後に、日本政府としてドミニカ政府に対して右外交文書の存在を確認して取り寄せ確認したことがあるか。確認がなされていないとすると、今後ドミニカ政府に対して、右の確認を行うことを約束できるか。
二 本件移住送り出しの経緯に関して
 1 戦後、日本政府は、移住者の海外送り出しについて、どのような方針を策定したか。その時期、計画の内容(送り出し地域、送り出し時期、送り出しの人員規模、送り出しの期間、送り出しのための物的、人的組織の準備など)を明らかにされたい。
 2 昭和三一年七月から同三四年一月にかけ、一二次にわたって日本人移住者が集団でドミニカ共和国に移住しているが、この移住に日本政府として取り組むきっかけは何であったのか。日本政府自身の発案であったのか、ドミニカ政府の発案であったのか、または、第三者からの提案であったのか。
 3 当時、日本人移住者の受け入れについて、ドミニカ共和国政府は具体的にどのような計画(受け入れの時期、地域、人員規模、業種、受け入れの時期と期間など)を持っていると日本政府に回答したのか。
 4 日本政府はドミニカ共和国への移住者送り出しについて、いつ、どのような計画(送り出し地域、送り出し時期、送り出しの人員規模、送り出しの期間、送り出しのための物的、人的組織の準備など)を策定したのか。
 5 日本政府は、事前に移住地の調査をどのように行ったのか、調査時期、調査方法、調査場所、調査の結果得られた結論などを明らかにされたい。
 6 移住に先立ち募集要項が作成されているが、これらは、誰が、いつ、どのような資料に基づいて作成したものか。
 7 募集に先立ち、マスコミで大々的に報道されているが、この報道内容は政府の発表に基づくものと考えてよいのか。発表内容に誤りがなかったのか。誤りがあるとして記事内容の是正を申し入れたことがあるか。当時の日本海外協会連合会(現在の国際協力事業団)発行の新聞にも、現実と異なる報道内容が見られるが、これは、どのような根拠に基づいてそのような報道をしたのか。
 8 日本政府に、移住地はドミニカ政府が土地なし貧民に用意した国営植民地であったという認識は当時としてあったのか。また、当時、コロニア法とこれに関連する法規の研究を行っていたのか。行っていたとすると、当初の募集要項でそのことを明記しなかったのはどのような理由に基づくものか。
 9 日本政府は調査の結果、ドミニカ共和国政府に対して最初にどのような提案(移住地、規模、移住条件、将来の予定など)を行ったのか。また、それに対するドミニカ政府からの回答はどのようなものであったか。特に、その中で、ドミニカ政府は同政府部内で移住者受け入れの決定が下りていないとの回答を得ていた事実はないか。
 10 本件移住計画において、両政府間で移住協定が締結されたのか、締結されたとするとその内容を明らかにされたい。締結されていないとすると、両国間にどのような形式で具体的にどのような内容の合意があったのか。
三 本件移住開始から中止に至る経過について
 1 第一次ダハボン移住者の中から、土地が募集要項どおりに配分されない、土地が乾燥地で募集要項どおりの内容と著しく異なるなどの苦情が現地大使館に寄せられた事実があるか。あるとしたら、それに対して日本政府ないし現地大使館としてどのような対応をしたのか。
 2 その後、ネイバ、ドベルへ、アルタグラシアなど、まったく耕作不能地などへの入植が相次ぐが、これらに対して、日本政府としてどのような対応をしたのか。
 3 右に関し、日本政府の見解として、ドミニカ共和国政府に責任があると考えるのか。責任があるとするとその法的根拠はどこにあるのか。責任がないとするとその法的根拠はどこにあるのか。また、実際、日本政府としてドミニカ共和国政府に対して、問題解決のために協力要請をしたことがあるか、あるとして具体的にどのような対応がなされたか。
 4 右のように、移住開始当初から、土地不足、農地としての不適格、土地利用の規制が明らかになって、募集要項とまったく乖離していることが明らかになっているにもかかわらず、次々と同じ移住地、ないしは、もっと条件の悪い移住地に移住者を送り込んだ理由は何か。
 5 右の間、日本政府は、ドミニカ政府から、移住者の送り出しを中止するよう要請を受けた事実があるか。
 6 移住計画が中止されたのはいつか。また、それは、日本政府、ドミニカ共和国政府いずれかの提案によるもので、また、どのような理由に基づくものであったのか。
 7 国援法による移住者全員帰国決定が閣議でなされた事実があるか。また、その理由はどのようなものであったのか。
 8 右決定当時、日本政府として、帰国者に対して、援護措置をとる計画があったのか。あったとして、その内容はどのようなものであったのか。
 9 帰国者から、日本政府に対し、募集要項で約束された事項に関する契約不履行を理由とする損害補償を請求された事実があるか。それに対し、日本政府はどのような対応をしたか。
四 残留移住者に対する日本政府の責任に関して
 1 日本政府として、移住者が、募集要項に反して農耕に適する土地分譲がなされなかったり、まったく土地が分譲されなかったりしたことが原因して、この四〇年間以上にわたって他の移住地(ブラジルやアルゼンチンなど)と異なって相当な困難を強いられてきており、いまだに、当初のハンディキャップを克服できていないという事実を認識しているか。
 2 日本政府として、募集要項と移住地の現実の乖離について、法的責任があると考えるか。責任があるとすると、その責任の内容と根拠は何か。責任がないとすると、その根拠は何か。その場合、誰が右について責任を負うべきであるのか。
 3 日本政府として、閣議で移住者全員の帰国を決定しながら、一部残留を認めた理由は何か。残留を説得した事実はないか。帰国決定は移住者全員に伝えられたのか。
 4 日本政府として、残留者に対する援護措置(融資その他の)として、今日に至るまで具体的にどのような措置を講じてきたのか。ブラジルやペルー、アルゼンチンなどの日本人移住者に対する取り扱いとはどのように異なるのか。異なるとして、そのように取り扱う理由は何か。
五 地権問題に関して
 1 移住地の所有権の取得のためにこれまで日本政府が行ってきたことを時系列的に具体的に明らかにされたい。また、このように行うことの法的な根拠は何か、四項の1との関連で明らかにされたい。
 2 現行ドミニカ共和国国内法に照らして、移住地の土地につき完全な所有権(自由に何らの制約もなく処分できて担保にも供することができる権利)を取得することは可能か。
 3 各移住地ごとの地権の状況を明らかにされたい。
六 融資問題に関して
 1 JICAから日本人移住者に対する融資が行われているが、これを実施するに当たっての根拠法律および法令を明らかにされたい。
 2 一般に、個人に対する融資限度額はどのようにして決定されるのか。現在の融資限度額はいくらか。さらに、一九八〇年代の後半から急激に融資限度額が増加しているが、これはどのような理由に基づくものか。
 3 ドミニカ共和国は一九八五年に変動相場制に移行しているが、ドル建てペソ払いの支払い条件について契約書で明らかにしていたのか。どのような表現でそれを債務者に伝えていたのか。
 4 現時点で融資を受けている移住者の数と貸付総額を明らかにされたい。
 5 一九八五年時点、一九九〇年時点、現時点の三時点における延滞率(総貸付を延滞債権総額で除したもの)を明らかにされたい。また、右の延滞率の推移の原因は何か。
 6 貸付に当たっての審査はどのように行われているのか。まず、本件ドミニカ移住者に対する融資手続きに関し、融資申込みに際しての要提出書類、資料、具体的な審査の方法、担保の種類(融資額に応じた物的担保の種類と担保価値の基準、人的担保と支払い能力 ― 年収、資産等の審査方法)等、申込みから融資決定に至る審査の実際を明らかにされたい。
 7 債務者の中で借り換えを行っている者の数を明らかにされたい。
 8 債務者の中で相互連帯保証をしている者が相当数に多いとの報告があるが、相互連帯保証者(自ら債務者でありながら他人の連帯保証になっている者 ― 相対している必要はない。)の数を明らかにされたい。
 9 融資に関して、一九九五年にかつてのいわゆる「基本問題」の解決を求めていた移住者のリーダーたちを中心に大型融資を実行した事実はないか。一九九四年〜一九九七年にかけて、貸付をした移住者の名前を明らかにせよ。
七 本年七月八日にドミニカ共和国農地庁から日本大使館を通じて日本人移住者七〇名に対する農地の無償分譲問題に関して
 1 日本政府としてドミニカ共和国政府に対じて本件土地無償分譲を働きかけたことはないか。
 2 日本政府ないし日本大使館として右土地無償分譲を知らされたのはいつのことか。また、その際、ドミニカ共和国から本件土地無償譲渡の理由についてどのような報告があったのか。
 3 日本大使館として、右土地の性状(農地としての適正さや価値など)と、所有権取得の可否についてどのような報告を受けているのか。また、右のドミニカ共和国政府の説明を裏付ける独自の調査を行ったことがあるか。また、今後これらの点について調査する予定はあるか。
 4 日本大使館として、本件土地無償譲渡に対して、ドミニカの世論から反発が出ており、それが政治問題化している事実を認識しているか。
 5 日本政府として、本件土地無償譲渡に対する見解はどのようなものか。特に、移住者としてこれを受けることに特段の問題はないと考えるのか。

 右質問する。



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