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平成十一年二月二日提出
質問第六号

野宿生活者等への国の対応に関する質問主意書

提出者  鍵田節哉




野宿生活者等への国の対応に関する質問主意書


 定住場所が確保されず、路上や公園、河川沿い、駅などで暮らす野宿生活者、車中生活者、一時収容施設又は安宿に滞在する者(以下、野宿生活者等)が大都市を中心に大幅に増え、近年、各自治体においては新たな都市問題として深刻化している。私も連合大阪事務局長当時の一九九四年、バブルが崩壊して深刻な失業問題に見舞われている釜ヶ崎の問題については、労働組合としても真摯な取り組みを行うべきであるとの認識のもと、現地の視察を踏まえ、各方面に各種申し入れを行ったところである。しかし、残念ながら各自治体の対応には限界があるとともに、その取り組みも地域差が大きく、また今日までの間の不況の長期継続等の社会情勢により、野宿生活者等は増加し、定住場所が確保されないことを理由として、各種の基本的人権の行使さえ妨げられていることも指摘されている。また、野宿生活者等の多くは健康に不安を抱え、冬空の下で夜を迎え、痛ましい事態も生じていることは、最早、看過するわけにはいかない。
 釜ヶ崎では過去、一九六一年と一九七二年に大規模な暴動が生じ、数千人が暴徒化し、武装した警官との間で血みどろの衝突となり、負傷者が続出した。私は現在の状況を放置すると、いつまた大暴動が起きてもおかしくないまでに事態は逼迫していると考える。
 こうした状況に鑑み、野宿生活者等への対応を自治体任せにすることなく、国が緊急且つ重大な社会問題との認識を持ち、早期に適切な対応を行うことが必要であるとの立場から、以下の質問を行う。

1 毎年の野宿生活者等の総数については、政府として概数把握をしているものと考えるが、直近の総数、上位の各都市ごとの分布について明らかにされたい。
2 野宿生活者等は、近年、急速な増加をしていると考えるが、増減について明らかにされたい。また、急速に増加しているならば、その主たる原因は何か。
3 本人の意に反して野宿生活等を余儀なくされているものにつき、その主たる原因は本人に起因するものであるか、それとも行政上の施策に不十分な点があったと考えるか。
4 大阪市では昨年十二月、市立中学校隣接市道を占拠していた野宿生活者のテントなどを行政代執行法に基づき強制撤去し、現場で野宿生活者や支援者と市職員とがもみあい木材を燃やすなど、一時混乱が起こった。こうした行政による強制撤去措置などに対する政府の見解は如何か。また、テントなどを強制撤去された野宿生活者はすぐに隣接の公園に移動し、排除するだけでは抜本的解決にならないことが明らかになったが、自治体の引き続いて行うべき対応についての政府の見解を問う。
5 野宿生活者等に関する諸問題の担当省庁はどこか。複数の省庁が関係するならば、その中で最も深く関係するもの一つについて、その省庁名も明らかにされたい。また、平成十年度における各省庁別の野宿生活者等への対応のための予算額を明らかにされたい。
6 野宿生活者等に対する公的な食料支援は、年末年始の炊き出しを別にすると、甚だ不十分な水準であり、慈善団体などの援助に依拠せざるを得ない状況にあると考えるが、政府として今日まで行ってきた公的な食料支援策を明らかにされたい。
7 本問題は、一面では住宅問題との意味合いもあるわけであるが、野宿生活者等に対する公的な居住場所支援は甚だ不十分であると考える。政府として今日まで行ってきた公的な居住場所支援策を明らかにされたい。
8 野宿生活者の多くは就労の意欲を持ちながら、仕事に恵まれないことが指摘されている。特に昨今の建設不況により、建設日雇労働者の需要が激減し、とりわけ高齢者については慢性的な失業の傾向に拍車がかかっている。こうした状況にあって、自治体でも例えば大阪府・大阪市による「高齢日雇労働者特別清掃事業」などを行い、雇用創出に努力しているが、高齢労働者の多くが登録しており、実際にそれぞれの労働者が清掃事業の仕事に就ける機会は一ヶ月に一、二回であると言われている。このように、単に自治体による雇用創出には限界があり、政府としての雇用創出が必要と考えるが見解を問う。
9 野宿生活者等の健康保険加入状況について明らかにされたい。また、野宿生活者等に対する医療サービスの適切な提供については万全の体制にあり、問題は生じていないのかを答えられたい。
10 規則的な居住場所が確保されていないことにより、多くの野宿生活者等は地方選挙はもとより国政選挙における選挙権の行使もできえない状況にあると考えるが、事実はどうか。また、最も重要な基本的人権の一つである参政権の確保につき、今日までの政府が野宿生活者等に行った対応を明らかにされたい。
11 昨年十月に設置された厚生省、労働省等による連絡協議会の現在の活動状況を明らかにされたい。
12 右記連絡協議会は、昨年十二月、本問題に関し自治体からのヒアリングを行った。この席において、各自治体からは、財政的支援など国に対する要望が寄せられたものと承知している。これらの自治体からの要望について、政府はどのように受け止め、現在、具体的にどのような検討を行っているか。
13 野宿生活者等の増加は、ここ十年来、欧米各国でも極めて重大な社会問題として認識され、医療、介護、年金、雇用、教育、住宅等の様々な分野における総合的な対策が講じられてきたところである。特にフランスにおいては、政府の様々な施策を一つの法体系の中に位置づけることが不可欠との考えにより、昨年七月に「社会的排除に抗する法」が成立した。我が国においても、野宿生活者等に関する総合的な施策を推進するために特別法を制定する必要があると考えるが政府の見解を問う。なお、仮にそうした特別法を制定する必要性を政府として認められないとするならば、野宿生活者等に関する各種施策についての根拠法と該当する条文を可能な限り全て明らかにされたい。

 右質問する。





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