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平成十一年七月十三日提出
質問第三七号

血液製剤による感染被害の救済に関する質問主意書

提出者  家西 悟




血液製剤による感染被害の救済に関する質問主意書


 我が国における、医薬品による被害の救済制度としては、薬害スモン事件を契機として設けられた医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法(昭和五十四年法律第五十五号)(以下、同法という)に基づく制度がある。同法では、血液製剤は適用除外医薬品の一つとして定められているが、血液製剤によるHIV感染被害についてはエイズ予防法制定経緯の中で、一九八九年一月から同法附則第八条を設けて、財団法人友愛福祉財団が同機構に対して、血液製剤によるHIV感染者等のための救済事業を委託実施するという枠組みで一定の給付が支給されるようになった。その後、製造物責任法(平成六年法律第八十五号)制定時の附帯決議では衆参両院いずれも、裁判によらない迅速公平な被害救済システムの有効性に鑑み裁判外の紛争処理体制の整備を図るべきことと決議し、特に参議院では「六、輸血用血液製剤による被害者の救済については、その特殊性にかんがみ、特別の救済機関等の設置に努めること」と決議され(平成六年六月二二日参議院商工委員会)、これを受けて厚生省内においても救済制度に関する非公開の検討委員会が設置されたと聞く。
 また、米国のIOM勧告及びカナダのクレーバー委員会報告など、諸外国では血液製剤によるHIV感染被害についての国会レベルの原因究明・再発防止の為の調査を実施しており、その報告書中では裁判による解決には限界があることが指摘され、国として無過失救済制度を早急に確立すべきであるという提言が為されている。日本においても、中央薬事審議会企画・制度改正特別部会における血液新法に関する審議において、患者諸団体から血液製剤による被害についての無過失救済制度の早期設置を求める意見書が提出されていると聞く。
 血液製剤には各種肝炎、HIV、CJDなど未知のウイルスとの戦いの歴史があり、多くの場合、被害を受けた患者には過失の有無及び所在を関知しえず、また長期間の裁判による心身の消耗は著しく、解決を見ることなく、何らの救済もないまま亡くなっていく場合も多い。社会正義のうえからも、かかる被害者の救済のため、無過失救済制度の設置はこれ以上、放置すべからざる急務である。
 従って、以下、血液製剤による感染被害の救済について、質問する。

一 輸血用血液製剤によるHIV感染被害の実態について
  輸血用血液製剤によるHIV感染被害について国はどのような実態調査体制を整えているか。また、現在までの実態調査結果を具体的に明らかにされたい。
二 輸血用血液製剤によるHIV感染被害救済の現状について
 1 輸血用血液製剤によるHIV感染被害者に対しては、どのような救済措置が採られているか。
 2 右感染被害者に対して、同法附則第八条第一項に定める「許可医薬品(第二条第二項第一号に掲げる医薬品を含む。)に混入した後天性免疫不全症候群の病原体による健康被害の迅速かつ円滑な救済を図るため」として、同機構からの救済給付が支給されているか。支給されているとすれば、その場合の同機構に対する委託者すなわち、同法附則第八条第一項に定める「厚生大臣の認可を受けて、当該健康被害の救済のために必要な事業を行う者」とは、誰を指すか。支給の原資負担者から受給者までの手続の流れを具体的に明らかにされたい。
三 血液製剤によるHCV感染被害の実態について
  輸血用血液製剤を含む血液製剤全般によるHCV感染被害について、これまでに国はどのような実態調査体制を整えているか。また、現在までの実態調査結果を具体的に明らかにされたい。
四 輸血用血液製剤を含む血液製剤全般による感染被害の救済制度の設置について
  国は、輸血用血液製剤を含む血液製剤全般による感染被害の救済制度の設置について、これまでにどのような検討を行ったか。救済制度設置に関する検討経過、現時点の到達点、今後の方針及び本検討の担当責任者を明らかにされたい。

 右質問する。





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