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平成十一年十一月十五日提出
質問第六号

神奈川県警事件の責任などに関する質問主意書

提出者  保坂展人




神奈川県警事件の責任などに関する質問主意書


 神奈川県警外事課の警部補が覚せい剤を使用していた事実をもみ消したとして、当時の県警本部長ら九人が十一月十四日、横浜地検に書類送検された。同月十日から十二日の衆参両院の法務委員会でもこの事件について質問を続けているが、書類送検を受けて、取り急ぎ以下の点を質問する。国会法所定の答弁期間内に答えられたい。

一 書類送検
 (1) 元本部長ら九人が書類送検されたことについて、政府はどのように考えているか。今回の事件について監督責任が最も重いのはだれか。
 (2) こうした事件の再発防止に向けて、どのような対策を考えているか。
 (3) 監察官という綱紀の保持に当たるセクションが自ら不祥事もみ消しに動いた事実は、監察制度そのものの限界を示していないか。
 (4) 監察には警察の外部から人を入れ、公正な運用を図る必要があるのではないか。
 (5) 今回の犯人隠避・証拠隠滅事件は警察の「組織犯罪」か。
 (6) 複数の容疑者による犯人隠避・証拠隠滅事件で、容疑者全員の身柄を拘束せず、相互に連絡の取れる状態で捜査を進めた事件はほかにあるか。
 (7) 今回のもみ消し事件発覚以降、容疑者が相互に連絡を取り合った事実は把握しているか。こうした事実があるかないか、電話の通話記録を調べるなどして捜査を尽くしたか。
 (8) 書類送検の報道を見ると、元本部長らを逮捕せずに捜査したことに対して批判の声が多いが、政府はどのように受け止めるか。事件の重大性、犯人隠避・証拠隠滅という事件の性質などに鑑みて、正しい処理だったと胸を張ることができるか。
二 影響
 (1) 朝日新聞の十一月十四日付け朝刊によると、神奈川県警の交通違反取り締まり件数は、八月までは前年を上回るペースだったのに、今回の事件が発覚後の九月と十月は前年同期より、それぞれ約一万五千件減少しているというが、事実か。事実とすれば、今回の事件の影響か。
 (2) 同紙には「取り締まり現場で、警察官は『シャブ(覚せい剤)よりましだろ』とか『身内だともみ消すのに、こんな微罪でも市民は処分されるのか』などと食ってかかられる」と書かれているが、事実か。
 (3) 同紙には「警察は身内に甘すぎるんじゃないかなあ。盗聴法なんかで、これからもっと、警察の力が強くなるんでしょう。こんなことじゃ、信用できないですよ」という会社員のコメントを掲載している。政府はどのように受け止めるか。
 (4) 前記コメントにあるように、警察に組織犯罪対策の通信傍受をまかせても大丈夫か。警視庁や別の県警では、捜査情報を流し、現金を要求するなどした警官が逮捕されるなどしている。本当に大丈夫なのか。
三 緒方宅盗聴事件
 (1) 十一月十二日の衆院法務委員会で、警察庁の石川重明官房長は共産党の緒方国際部長(当時)宅盗聴事件について初めて「警察官が責任を問われた事案」と答弁した。警察庁はこれまで「警察は過去も現在も盗聴は行っていない」と答弁してきたが、十二日の答弁は警察官が盗聴した事実を認めるという趣旨か。
 (2) 緒方宅盗聴事件は国家賠償訴訟の確定判決や法務大臣答弁で、警察の組織的な犯罪であることが確認されている。にもかかわらず、警察庁はずっと事実を認めてこなかった。こうした事実を認めない、隠し通そうとする姿勢が今回のもみ消し事件を生んだ背景にあるとは考えないか。
 (3) 共産党幹部宅盗聴事件と今回のもみ消し事件は、ともに神奈川県警で起きた。前記朝日新聞朝刊の社説は「都合の悪いことは、『知らぬ存ぜぬ』で押し通せばうやむやにできる。そんな思い上がりが、盗聴事件の負の遺産として県警に巣くっているのではないか」と指摘している。盗聴事件で容疑者が不起訴となり、警察庁も事実を否定し続ける中で、県警では都合の悪い事は上層部がもみ消してくれる、何をやっても罪には問われないという雰囲気になっていたのではないか。
 (4) 緒方宅盗聴事件の捜査を振り返り、当時の検事総長はたとえ話の形態を取りながらも、警察組織と対決できなかった検察の力の限界を回想録に書いている。回想録はがん闘病中に書かれた「遺言」のような記録である。検察には「力の限界」があるのか。

 右質問する。





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