衆議院

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平成十二年二月一日提出
質問第三号

吉野川第十堰改築事業に関する質問主意書

提出者  前原誠司




吉野川第十堰改築事業に関する質問主意書


 一月二十三日、徳島県徳島市で行われた建設省直轄事業「吉野川第十堰改築計画」に対する住民投票において、市民の過半数が同事業に対して反対の意を明らかにした。
 平成七年に改正された「河川法」においては、河川事業における「環境保全」「住民参加」の拡充を進め、建設省は爾後の河川行政の方向性を明らかにしたが、今回の住民投票の結果はこの方向性に鑑み、重大な意味を持つものと考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 今回の住民投票の結果を内閣としてどう受け止めるのか。
二 吉野川において現堰を撤去し、新たに可動堰を設置するという現在政府が主張している計画は、何時、誰の責任において決定されたのか。また決定に至るまでの経過を示されたい。
三 平成七年度改正によって河川法に盛り込まれた「環境保全」「住民参加」は、本事業においてどう活かされているのか。
四 平成十一年十二月、中山建設大臣が徳島市長に対して花押付の信書を送付している。中山建設大臣はこの信書をどのような立場で、何を目的として送付したのか。現行機関委任事務における上級庁の責任者として或いは市に対する補助金を交付する権限を有する者として、政治的圧力と受けとめられることを考慮すべきと考えるが、如何か。また中山建設大臣はこの信書を公開したが、その目的は何か。
五 中山建設大臣は同住民投票について「民主主義の誤作動」と発言しているが、この真意は何か。「住民投票は民主主義にあるまじき行為」との意味とも受け取れるが、そのような意味で発言したのか。また小渕総理も同様の認識を有しているのか。
六 自民党の綿貫民輔衆議院議員は、一月二十二日徳島市において「住民投票などくそ食らえだ」と発言している。この発言は民主主義原理を完全にはき違えたものと考えるが、これは政府の正式な見解と一致するのか。
七 政府は吉野川第十堰改築問題は科学的・技術的問題であるとしている。しかし阪神大震災で見られるように、政府の言う科学的・技術的知見は必ずしも絶対ではないと考えるが、この知見が正当であることを一体誰の責任において言明できるのか。米国政府は治水におけるダムという手法を放棄しているが、政府はこの米国政府の選択を科学的に正当ではないと考えているのか。
  また研究課程にある科学的・技術的知見が、投票という基本的な参政権の行使をもって示された民意を超越するものと考えるのか。
八 「住民投票」は議会制民主主義を侵害するものか或いは議会制民主主義を補完するものか。理由を付して政府の考えを問う。
九 公共事業について関係住民が意見を表明する場合、「住民投票」以上に明確な方法があると政府は考えるのか。また平成七年改正後の河川法における「住民意見の表明」には住民投票は含まれていないが、これ以上に民主主義を実現する上で適切な手法は無いと考えるが、政府の認識は如何か。
十 個別の公共事業に関しては、一般に政府部内のみによって事業の決定が行われ国会が関与することはない。毎年度数兆円にものぼる税金を投入する公共事業については、個別に議会の判断を仰ぐべきと考えるが、政府の考えは如何か。
十一 「ダム等事業審議委員会」は事業者が当該ダム・堰事業の目的・内容等について地域の意見を的確に聴取することを目的に設置されているが、結果的に本事業においては地域の意見を的確に反映し得なかったこととなる。この点について政府はどのように考えるか。
十二 公共事業の計画策定及び実施は、「公権力の行使」に該当するか。
十三 国直轄事業の実施によって不利益を被ると考える以下の者は、「行政不服審査法」に基づく審査請求、異議申立又は「行政事件訴訟法」に基づく出訴ができるか。
 1 事業法上、関与権限のある地方公共団体
 2 事業法上、関与権限のない地方公共団体
 3 事業区域或いは事業区域に近接した区域に住む住民
 4 国民
十四 十三に掲げる方法の他、国が行う公共事業に対して反対の意見を有する者が、当該事業の差し止めを求める方法にはどのようなものがあるか。
十五 徳島市の住民投票により関係住民の反対の意思が明確になっても、政府は従前どおり計画の推進を明言しているが、内閣の有する「行政権」が住民の個別具体的な意思表明を超越する理由は何か。

 右質問する。



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