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平成十二年二月二十九日提出
質問第一一号

「定期借家権」による混乱と危険性に関する質問主意書

提出者  保坂展人




「定期借家権」による混乱と危険性に関する質問主意書


 「定期借家権」による混乱と危険性に関する質問主意書に対して、二千年二月四日に回答を得たが、なおも不明な点があり、借家人の重大な権利に関わる問題が残されており、新法による混乱が生ずる前に確認すべくさらに質問主意書を提出するものである。

一 市民が具体的に、定期借家について相談する窓口はどこになるのか。消費者センターなどでも受付けるのか。宅建業界の相談窓口に行くべきか。また、弁護士対応の窓口は設置されるのか、またそれはいつまでの期間か。十分な相談期間であるのか。
二 定期借家契約では、当然契約期間を定めるが、「借家人が死亡するまで」というような、いわゆる不確定期限での定期借家(生涯型の定期借家)は認められるか。借家人本人は、死亡するまで居住したいが、相続人は他に住宅を保有し借家権の相続をしない場合など可能ではないか。
三 三八条四項に定める「終了する旨の通知」は、定期的借家という例外的借家における賃貸人の義務であるが、従ってこの通知は、期間満了までにしなければならず、期間満了後も漫然と賃貸人が家賃を受け取っていた場合は、正当事由が適用される普通借家関係が成立すると考えられるがどうか。
四 建設省が公表した「定期賃貸借標準契約書」では、再契約を予定した内容となっているが、再契約の可能性がある定期借家契約を繰り返す場合、借地借家法三二条の賃料増減請求権の適用をまぬかれる目的と見なされ、普通借家契約になる可能性があるのではないか。
五 賃貸人は、定期借家の借家契約を終了させるためには、努力義務を果たすべきであり、懈怠した賃貸人は保護する必要はないのではないか。   賃貸人が「終了する旨の通知」の義務を懈怠した場合は、契約の更新ではなく、新たな借家関係が成立することになるのではないか。
六 「定期借家」は、契約期間を満了すれば、確実に借家関係が終了するものであるが、期間満了後は、賃貸人が終了の通知を行った後、六ヵ月後に借家関係が終了するというのは、賃貸人の一方的通知によって借家関係が終了すると解釈できる。一方的通知による契約の終了は定期借家になじまず、また定期借家の趣旨に反するのではないか。これは事実上、「不定期借家」となるのではないか。長い間通告義務を懈怠した後であれば、権利の濫用が成立し、終了通知の効力がないのではないか。
七 期間終了後も、賃貸人から通知がない場合、定期借家が継続しているとも解釈できるがそうか。
  その場合、定期借家が継続した状態ならば、期間の定めのない「定期借家」状態なのか。
八 契約期間が定められてこそ定期借家であり、「期間の定めのない定期借家」は、法解釈上論理矛盾があるのではないか。
九 「七」の状態は、新たな借家関係が成立したと解釈できるのではないか。
十 附則三条について
 (1) 住宅新報二千年二月四日号によると、附則三条を脱法するために、居住用建物賃貸借を合意解約した後、他のサブリース業者に賃貸し、そのサブリース業者と従前の借家人が同一の建物について定期借家することをアドバイスしているが、附則三条では「当事者が」と規定しているので、「当事者」が交代すればよいのか。この行為は、附則の趣旨に反する明らかな脱法行為で、無効ではないか。
 (2) 「説明義務」では、「あらかじめ」説明しなければならないと定めている。説明のための書面は、定期借家契約書と別のものであり、別途作成を要するのか。
 (3) 説明義務に定められた説明は、誰に説明資格があるのか。不動産仲介人が仲介人の立場で説明したとしても、賃貸人が説明したことにならないのではないか。
 (4) 賃貸住宅の性能表示制度とは具体的にどのようなものになるのか。
十一 中途解約と支払債務及び占有権について
 (1) 「定期借家」において、中途解約が成立する条件はなにか。
 (2) 賃借人が、解約事由がないのに、勝手に退去した場合は、賃料支払い義務が残るが、勝手に賃借人が出て行っただけで、第三者に貸すことは不法行為に当たるか。
 (3) 賃料は使用の対価であり、賃貸人は使用させる義務があり、第三者に賃貸してしまった場合、その段階で、賃貸人側の債務不履行として解除できるのではないか。
 (4) 賃借人が解除をしない場合、形式的には、賃料の支払義務が残り、家主は物理的には第三者にも賃貸が出来ることになるが、本来の賃貸人の使用させる義務からすれば、第三者への賃貸は、使用させる義務の不履行になり、法的に認められないのではないか。
 (5) 第三者に賃貸した上で、旧賃借人に賃料を請求することは、権利濫用となり、信義則で制限の必要があるのではないか。
 (6) 債務不履行の解除について
     債務不履行の解除の場合、残存期間の賃料相当額が損害額となるのか。
 (7) 賃貸人が、直ちに同じ物件を賃貸して賃料を取得できる可能性があれば、過失相殺の法理で損害を削減できるのではないか。
十二 回答は、借家人保護が十分であるという証明になっていない。苛酷条項が必要でないとされる理由を開示されよ。「一般の契約の場合と異ならない」とはどういう意味か。建物賃貸借は、民法上の賃貸借の保護では不十分であるので、借地借家法による保護が必要としてきたはずである。
十三 公団・公営住宅の建替えなどの場合、これまでは存続保護が機能し、建替え後も居住が保証されていたが、新法施行後、定期借家契約による新規契約とすることはあるのか。

 右質問する。



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