衆議院

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平成十二年五月八日提出
質問第二三号

子ども病院等に関する質問主意書

提出者  東 順治




子ども病院等に関する質問主意書


 少子高齢化により社会福祉制度の問題が色々な角度から論じられてきている。その一環として、本年四月より多くの国民が期待をしていた介護保険制度がスタートした。
 将来に向けて高齢化における対策は年金、医療面も含め総合的に社会福祉の全体像の中で検討していく必要がある。一方、高齢化とは表裏一体である少子化についても今後の日本の安定した基盤を維持していくために重要な対策を講じ、この世に生を受けた命が健やかに力強く生きていけるような家庭、社会、国を構築していかねばならない。その為には子どもに対する医療制度の整備が必須である。そこでその最前線にある子ども病院(小児を重点的に診る病院)等の次の事項について質問する。

一 小児科医になろうとする人が減少している。これは、子どもの出生率が減少していることにより、病院としての収益性の問題、医師としての労働条件等の問題もあり、小児科医になりたがらない傾向にあると推察する。しかし、国、社会全体から見れば、このことは重大なことで小児科医が減少している現状に歯止めをかけなければ、将来安心して子どもが生めなくなり、少子化に向けての更なる悪循環を及ぼすことになる。政府としてはこの状況を踏まえ、国の将来のことを十分考慮し、小児科医減少への対策として、どのような計画があるのか。
二 病院によっては、休日、夜間に専門の小児科医がおらず、病院をたらい回しにされ亡くなる子どももいれば、過労な労働条件により亡くなった小児科医もいたと聞いている。絶えず二四時間体制を必要とされる業務である。厚生省の一昨年の四九六病院施設を対象とした調査によると小児医療の基幹病院とされる日本小児科学会指定病院で小児科医が連日当直している病院は四四%に過ぎない。また、小児科の平均医師数は八人で、内科の三一人、外科の一九人に比べ少ない。しかし、現実は現体制の中で病院を運営していかねばならず、休日、夜間等の対応には相当苦慮しているのが現状である。そこで政府はこの問題を一病院が個々に対応するのでなく、数病院が一体となっての広域範囲による休日、夜間体制を推し進めていくよう、平成一一年度より「小児救急医療支援事業」を創設した。それにより二次医療圏単位で小児科医による対応が可能な救急病院を当番で一ヵ所確保することにしているが、二次医療圏単位で一ヵ所にした根拠はどこにあるのか。また、それで十分と思われるのか。
三 ある子ども病院の患者年齢(一九九六年度)で〇〜二歳までが外来で五一%、入院で四七%を占め、また、昨年六月開催された日本小児救急医学会によると休日、夜間診療所など救急センターに訪れる患者の半数が子どもとの結果が出ている。
  人数の少ない小児科医にとってみれば、救急時に対応するだけでもたいへんなものである。小児科医の過度な負担をおさえ、健全なる病院運営を遂行していくために救急病院等の小児科医を増員、更には休日、夜間当直することによる人件費等の補助等について国は病院を支援していると思うが、これによる小児科医の業務環境への改善及び病院経営への貢献度の効果はどうか。
四 先日、ある婦人から聞いた話であるが、その婦人のお孫(三歳)さんが、染色体異常が原因で出産後、間もなく子ども病院に入院され、現在、喉に人工呼吸器を付けている。最近、特別病棟から一般病棟に移され、母親が我が子の様子を見に病院を訪れたところ、その子どもは手足が真っ白になり、身体が冷えた状態でもだえていた。本人は喉に人口呼吸器を付けているために泣いても声が出ず誰も気付かずにいた。助けを求める我が子に母親はびっくりし、手足をさすると共に、すぐにその病院の看護婦を呼んだそうである。その母親が言うには特別病棟から一般病棟に移されてから、看護婦の目が届かなくなり、声が出ず助けを求めても誰も気付いてくれない我が子に、もしものことがあったらどうしようと毎日不安にかられているとのことである。一つの小さい生命を大きい生命へと大切に育て上げるのに自己努力は当然ではあるが、それに加え、家族、社会、国が出来ることは何なのかを考えるとき、率直に国、地方自治体が協力しあって、もっと子ども病院の増設、看護婦の増員が出来ないのか、これが、このような子どもを持つ両親の悲痛な叫びであり、願いでもあるが政府の対応はいかが。
五 この子どもは一級障害であるが、近々退院し、通院となる。両親は自分の子どもを無事看護できるか心配と言っている。同家族は生活も苦しく、子どもが入院中は母親は仕事をして生活を切り盛りしていたが、子どもが退院すれば二四時間、子どもから目を離すことは出来ない。当然、仕事も辞めることとなる。入院中には家族に対し、病院にいくのに地方自治体からと思うがガソリン代等の補助があったが、退院すると家族に対して一切補助がないとのことである。生まれたときからずっと病と戦い懸命に生きている子ども、そしてその子どもを粉骨砕身して育ててきている家族、その姿を目に浮かべるとき国として何が出来るのか真剣に考え、もし、制度が不十分であれば改善していかねばならないし、それが国の責任とも言える。今回のような退院後の家族に対し、どのような支援策を講じることが出来るのか。
六 国公立の小児科病院によると一般的に小児として診てくれるのは一五歳まで、つまり中学校までと言われているが、日本医師会では、出生から男子二〇歳、女子一八歳までとされている。最近では、小児科治療の範疇に生前の周産期を含めるべきであるとの話もあり、その根拠には小児の安全を考え、例えば、搬送するにしても出産前の母体のままのほうが、新生児として取り扱うより安全であり、小児科医として、もし障害がある子どもが誕生しても周産期から新生児として一貫してその状況が把握でき、治療にもプラスになるとの観点からと考える。国としては、子ども病院での周産期医療、新生児医療をどのように捉えているのか。実際にこれらの医療を採り入れている子ども病院はあるのか。あればその効果はどうなのか。
七 子ども病院に入院している子どもに対する教育のあり方については院内学級として小・中・高の授業が実施されているところもあれば、そのような体制が組まれていない子ども病院もあると思われる。教育体制がとられていない子ども病院では、どのように教育がなされているのか。また、病院内に教育体制がしっかりとられている病院では前の学籍を移すことなく教育を受けられるのか。仮に、学籍が移されても病気回復後、スムースに前籍校への復学が実施されているのか。
八 スウェーデンのような社会福祉が充実しているような国では、子ども病院についての医師の考え方、施設の問題、社会の捉え方等が日本と相当異なるように思える。
  スウェーデンでは医師、子ども、家族が一体となり、病院施設なども子どもを隔離するのでなく、子どもに遊ぶ権利を認め、遊びなどを通し、子どもが病気を治すための環境作りがなされ、病院とは思わせないプレイセラピーの整備がなされていると聴取しているが、日本における子ども病院のプレイセラピーの実態はどうなのか。
九 欧州では入院している子どもに対し、二四時間面会が可能なシステムがあるが、日本の子ども病院では二四時間面会可能な子ども病院はどのぐらいあるのか。親子が一体となっての生活を考えれば、子どもの身近に親がいることが、子どもに対し安心感を与え、回復への一助となると思われる。病院内に親が寝泊まりできるスペースがあれば一番良いのであるが、現実はそうはいかない。そこで、日本でも病院の近くに子どもの家族のための宿泊施設建設に対し、平成一〇年度より国がその費用の一部を援助することになり、全国から地方自治体経由三二の病院がこの申請をしたが、具体的にその建設の進捗状況はどうなっているのか。
  また、宿泊施設を建設できない病院に対しても、簡易なアパート等を借りられるようにし、その賃借料の一部を国、地方自治体が援助するとか手厚い支援が必要かと思われるがいかが。
一〇 最後に、介護保険には在宅介護があるが、子ども病院等から退院してきた重度の障害者に対する在宅看護はないのか。将来、介護保険の在宅介護をうまく取り入れ、自分で自由がきかない子どもたちに対しても在宅介護と同じような在宅看護のシステムを取り入れられないものか。

 右質問する。



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