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答弁本文情報

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昭和二十五年三月十三日受領
答弁第六一号
(質問の 六一)

  内閣衆質第五二号
     昭和二十五年三月十三日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿

衆議院議員圖司安正君提出私営交通業の複数制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員圖司安正君提出私営交通業の複数制に関する質問に対する答弁書



一 現在バス事業の免許は、次のような手続によつて行われている。運輸大臣は、申請事案を先づ運輸審議会に諮問し、運輸審議会は、原則として、これを各陸運局ごとに置かれる道路運送審議会に調査委嘱し、道路運送審議会は、公聽会を開き審議しその結果を運輸審議会に対して報告する。運輸審議会は道路運送審議会からの報告に基き免許基準に照して審議し、免許の適否を決定し、これを運輸大臣に答申する。運輸大臣は、運輸審議会の決定を尊重して申請事案の免許の可否につき最終的に決定することとなつている。
 従つて申請事案が道路運送法第十二條の規定による免許基準に合致しているならば、たとえ既免許路線と重複していても免許する方針であり、一路線一営業制は採用していない。
 なお、道路運送法第十二條の規定による免許基準は別紙の通りである。

二 道路運送審議会の委員は、都道府県知事の推薦に基き、各都府県から二人づつ、北海道から七人を運輸大臣において任命するもので、これら委員は陸運局管轄区域に従い、それぞれ陸運局ごとに置かれる九審議会の構成員となつているものである。
 かくの如く公選による地方公共団体の長として又民意の代表としての都道府県知事の推薦ということにより、すでにその任命方法において、公正な見地にたつ広い経験と高い識見を有する人士を確保することを期しているのである。
 又特定の事案につき特別の利害関係を有する委員は、審議会の決議があつたときは、当該議決に参加することができない。(道路運送法施行令第十一條第三項)更に委員が現に経営中の道路運送事業につき著しい経済的な利害関係を有し又は競争的若しくは対立的立場にあると認められる場合において審議会がその委員の解任の議決をしたときは、運輸大臣がこれを解任できることになつている。(道路運送法第八條第十項)かくの如く委員は、利害関係ある事案の審議には介入しえないこととなつているから、新規免許に対し無暴に却下の意見を付し、既存業者の既得権を擁護する行動にでるとは考えられない。
 なお、万一委員にしてその職を怠り若しくはその職務に対し不正の行為をしたと認められる場合においては、道路運送法第八條第十一項の規定により、これを解任することができることとなつている。
 道路運送審議会は、陸運局の附属機関である。運輸大臣は、その機関の事務を統括し、職員の服務について統督するから、附属機関である道路運送審議会は、運輸大臣の監督に属するものである。しかし審議会は、行政民主化のための諮問機関であるから運輸大臣は、審議会の審議及び意見答申についてはそれが法令に違反しない限り、其の自主性を尊重して過度の指導監督すべきではないと考える。

三 既存業者が新規免許申請に対して賛意を表しない場合があることは事業を営むものである限り止むを得ないことであると思うが、新規事業の申請に対する運輸審議会及び道路運送審議会の審議は至公至平これに左右されることなく正規の手続により事案の免許の適否を決定するものである。又既存業者が既免許路線の運営方法において免許内容と異る違反行為を行えば、道路運送法により事業の停止又は免許の取消等の措置を講ずる所存である。


地方鉄軌道関係

一 現在地方鉄道、軌道の休、廃止の出願については、よく実情調査の上に運輸省に設けられている運輸審議会に諮問し、その意見を尊重して処理しているもので公正な取扱をしている。

二 関係なし

三 地方鉄道軌道は一、に述べた如く公正な取扱をしているので既存業者の新営業者に対する不正、不当な行為については、特に耳にしない。万一かかる業者がありとすれば十分戒告することとしたい。なお、営業の取消又は停止は運輸審議会に諮つて決定することになつている。

 右答弁する。


(参 照)
   自動車運送事業免許基準
(昭和二十三年 六月 五日
運輸省告示第百六十四号)

一 自動車運送事業の公共性にかんがみ、これが免許は、その必要性、合理性及び緊要性において社会的需要に即応するものであること。

二 免許することによつて当該地区における自動車運送にかかる公共の福祉を増進し得るものであること。

三 免許の結果当該地区における供給輸送力が輸送需用に対し著しく供給過剩とならないこと。

四 当該事業の路線又は事業区域は、経済的企業経営單位を形成すること。

五 自動車運送事業における供給輸送力は、輸送需用に対し均衡のとれたものであつて、且つ適切なものであること。

六 自動車運送事業の規模は、事業の基礎が鞏固であつて、企業責任の所在が明かであり、且つ興業費及び事業計画が企業全体として供給輸送力と均衡のとれたものであること。

七 路線を定める自動車輸送事業にあつては、公共の期待性に適合する運行計画を有すること。

八 特定自動車運送事業にあつては、第一号乃至第六号の條件を具備する外、左に掲げるところによること。

(1) 当該事業が特定の旅客又は荷主に特に專属する必要があること。
(2) 当該事業における持定の旅客又は荷主の輸送需用が社会的又は経済的に見て重要であること。
(3) 当該の特定の旅客又は荷主の責任体制が鞏固であつて、特定の旅客又は荷主の範囲が適正且つ明確であること。

九 小運送業のため経営する貨物自動車運送事業における供給輸送力は、当該小運送業のためにする物品の集配需用に相当するものであること。




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