答弁本文情報
昭和二十五年十二月八日受領答弁第七七号
(質問の 七七)
内閣衆質第七七号
昭和二十五年十二月八日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員風早八十二君提出暴力団による労働者の権利侵害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員風早八十二君提出暴力団による労働者の権利侵害に関する質問に対する答弁書
日野デイゼル工業株式会社では、十一月六日午後二時より会社会議室において労資双方代表による経営協議会を開催し、その席上人員整理問題を上提労組側の了解を求めた上、同日午後五時頃整理人名を発表するとともに郵便による個人あて整理通告書を発送した。
翌七日午前七時三十五分頃共産党南多摩地区委員久保喜太※(注)外被整理者四、五名を交えた十五、六名の外部団体はスクラムを組んで工場門前にきて赤旗プラカードを押立て、出勤してくる同社工員に対し「労働者は団結せよ。」と呼びかけながら工場に入門する工員の入場を阻止した。警備中の守衛がこれを制止すると外部団体は抵抗し、その中の一人が所持するプラカードを左右に大きく振つたため、これが守衛の左肩を強打し双方なぐり合いとなつた。
警察署においては今回の整理の性格上万一の紛争を考慮し、警察官一名を現場附近に派遣するとともに、真野警部補以下五名は近くの駐在所に待機していたが、現場に派遣してあつた警察官は事態の惡化をみて、直ちに駐在所に急報したので、署員六名が現場に出動鎭圧したのである。
以上が当日の状況であつて、質問にあるごとく最初から見ていて何らの措置を施さなかつたという事実はない。
なお、同会社では二〇名位の者を警備補助員として工場内で使用していた模様であるが、門前にはみられなかつたとのことであるので、暴力団使用の事実はない。
右答弁する。