答弁本文情報
昭和二十七年五月三十日受領答弁第三八号
(質問の 三八)
内閣衆質第三七号
昭和二十七年五月三十日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 林 讓治 殿
衆議院議員長谷川四※(注)君提出輸出まぐろに対する米国の重税賦課に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長谷川四※(注)君提出輸出まぐろに対する米国の重税賦課に関する質問に対する答弁書
一 生および冷凍まぐろに対し新たにポンド当り三セント(屯当り六〇弗)の課税法案が昨年十月米国下院に提出され、一週間にして下院を通過した。政府としては本件の重要性にかんがみ、米国政府に対し、日米経済協力、日本の弗獲得及び本件関税引上げの日本漁民におよぼす影響という見地から、生および冷凍まぐろ類並びに塩水漬及び油漬まぐろかん詰に関し正確な認識をもつて公正な判断をしてもらうよう整備した資料を提出するとともに、東京およびワシントンにおいて繰り返し米当局と説明を続けてきた。更に民間においては代表団が渡米し、米国側業界と協議をとげた。
二 国務省においては上院財政委員会の公聽会に、各国別数量割当をなし、右数量以上については課税するという妥協案を提出する理解ある態度を示すに至つていたが、五月九日に至り、上院財政委員会は八対五で原法案を通過せしめるに至つた。
三 これに対し、アチソン国務長官は十四日「日本、ペルーにとり、まぐろの対米輸出がそのドル獲得の主要な源泉の一つとなつているので、冷凍まぐろに対する課税案は米国と両国との関係に影響するところが大きい。私は本法案が成立しないことを希望する。」旨強く課税案に反対する声明を出している。これは米政府が当方の説明により本件が日米双方にとり真劔な問題であることを理解し、充分関心を持つている証左と思われる。
四 現在、上院に上程される日程は未定であるが、政府としては、アチソン長官の声明を多としているものであつて、更に今後とも善処いたしたく、新木駐米大使赴任の上は米国朝野に対し日本の事情を説明し、引き続き努力を続けることになつている。
右答弁する。