答弁本文情報
昭和二十八年三月三日受領答弁第三〇号
(質問の 三〇)
内閣衆質第三一号
昭和二十八年三月三日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 大野※(注)睦 殿
衆議院議員原 茂君提出座繰生糸、玉糸製糸業者救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員原 茂君提出座繰生糸、玉糸製糸業者救済に関する質問に対する答弁書
一 繭糸価格安定法に基いて政府が生糸の買入及び売渡を行う目的は、生糸の供給量の調節によつて、その市場価格を一定の値巾の中に安定させようとすることである。買い入れる生糸を限定したのは、最小の経費でその目的を達せんがためで、それらの生糸としては生糸の市場価格の騰落に最も影響のある種類の生糸を選択した。
玉糸は数種に分れ、各種類の生産量は比較的少量であるか又はその用途が特定のものに限られているので、生糸の市場価格水準に及ぼす作用はきわめて微弱である。そこで玉糸は輸出品として重要な商品ではあるが、政府買入対象からは除外した。なお、一般的には玉糸価格はその生糸価格の安定によつて、これに追随して安定する傾向をもつている。
二 糸価安定特別会計で玉糸を買い入れることは、玉糸を政府買入対象とすれば可能であるが、右の理由により、買い入れる意思はない。
三 玉糸業者が現在操業を短縮しているのは、米国における在庫の増加によつて昨年の好況時に比較すれば売行がやや悪くなつてきている面もあるが、主として原料繭が不足していること及び原料繭の価格が採算上高すぎることに原因するものと認められる。
従つて、この解決を図るためには原料繭の増産並びに海外宣伝の強化による需要の増進による外はないと考えている。増産の達成と海外宣伝の強化のために来年度は各種の予算を要求しており又養蚕意欲の点からも相当の増産が期待できるので、玉糸業者の操業事情も漸次平常な状態に復して行くものと考えられる。
右答弁する。