答弁本文情報
昭和三十年十二月十六日受領答弁第二号
(質問の 二)
内閣衆質第二号
昭和三十年十二月十六日
内閣総理大臣 鳩山一※(注)
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
衆議院議員西村力弥君提出軍事基地に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員西村力弥君提出軍事基地に関する質問に対する答弁書
一 現実の国際情勢はきわめて複雑な動きを示しておりますので「世界は緊張緩和平和への方向をたどつている」とは断定できがたいと考えます。
したがつて現在のところある程度の防衛力を保持する必要があるものと考えます。
なお、米軍基地については飛行場等若干の「施設および区域」の整備拡張等は行われていますが、全体的にみれば漸次相当に縮少しております。
また自衛隊は、法律によつて我が国を防衛すべき任務を与えられておりますので、その目的のため部隊の教育訓練を実施することは当然のことがらでありまして、部隊の教育訓練のためには、所要の演習場を入手いたさねばなりません。
二 基地反対運動が正しいか否かは、抽象的にはお答えできない問題と考えます。
ただ、その地域関係者の方々が生活の基盤を失うような現実に即してお困りの事情があれば、政府としては、可能な限りこれが救済措置について充分考慮し努力をいたすよう考えております。
なお、政府としては、地元の方々に政府の立場を充分御理解いただき、その御協力が得られるよう努力いたしております。
三 「施設および区域」の拡張等にあたつては国土の防衛と安全保障条約の義務履行という見地から必要やむを得ないもののみを実施いたしておりますので、今直ちに全面的にこれを中止するわけにはまいりません。
四 自衛隊の教育訓練のために必要な場合は、新たに取得せざるを得なくなるものと考えます。
具体的計画については、只今申し上げる段階ではありません。
五 御質問のような場合には、地元の方々とも充分話し合い、政府の希望をもよく了解していただき、補償その他の条件について関係者間で納得の得られる解決をするよう努力いたします。
六 条件派に対して自由契約をする場合の調達庁の評価額と、反対派に対して収用委員会が裁決する場合の評価額とは、いずれも適正に算定されるものでありますが、異なる機関が算定することでもありますので、両者の間に完全な一致がみられない場合もあり得ることであります。
右答弁する。