答弁本文情報
昭和三十一年四月十日受領答弁第七号
(質問の 七)
内閣衆質第七号
昭和三十一年四月十日
内閣総理大臣 鳩山一※(注)
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
衆議院議員※(注)野三※(注)君提出生命保険契約に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員※(注)野三※(注)君提出生命保険契約に関する質問に対する答弁書
一 生命保険募集人、いわゆる勧誘員には二種類あつて、第一は、会社の委託を受けてその所属保険会社のために生命保険契約の勧誘を行う者であり、第二は、会社の役員(代表権を有する者と監査役を除く。)又はその使用人で、会社から権限を受けて募集に従事する者であるが、いずれの場合でも、その保険会社のために生命保険契約の締結の媒介をなすものであり、契約の締結権は全く有しない。
次に、勧誘員が不正な募集行為をなすことを禁止するため、保険募集の取締に関する法律(昭和二十三年法律第百七十一号)は特別の規定を設け、例えば不実のことを告げた場合には、その者を一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処することとするとともに、保険会社において相当の注意をなした場合のほかは、原則として、所属保険会社をして、保険契約者に加えた損害を賠償する責に任ぜしめることとしている。この場合、通例、保険契約を解除し、保険会社は収入済保険料の返還を行つている。
「話法相異」といつても、問題は、勧誘の仕方が不正であつたかどうかという点にかかるのであるが、勧誘員が相手方を欺もうした事実があれば上記法律に違反するものと考えられる。
二 保険思想の普及のおくれているわが国の現状においては、生命保険事業には勧誘員制度が不可欠のものと考えるが、その社会的重要性にかんがみ登録制度を実施している。多数の勧誘員の中には勧誘員として不適当なものも出てくるので、常時大蔵省財務局・財務部において募集状況の適否についての検査を行い、会社側に対してはその素質の向上を機会あるごとに要望している。また、生命保険協会にある事故防止委員会には常に大蔵省の担当官を出席せしめ、保険会社の募集方法を正しい方向に持つて行くよう指導している。なお、勧誘員の地位を向上せしめるため、登録制度を止めて国家試験制度にすることの適否、あるいは現在会社ごとに行つている勧誘員の研修を更に有効適切ならしめるため合同研修機関を設置することの可否等について目下慎重に研究を進めている。
三 御質問の訴訟事件に係る保険契約が虚偽の話法に基くものであるかどうかについては、会社側は反対の意向を持つていることでもあり、目下訴訟が進行中であるので、政府としては、その結果をまつて適切な措置を講ずることといたしたい。
右答弁する。