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答弁本文情報

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昭和三十三年四月一日受領
答弁第四号
(質問の 四)

  内閣衆質第四号
    昭和三十三年四月一日
内閣総理大臣 岸 信介

         衆議院議長 (注)谷秀次 殿

衆議院議員石田宥全君提出国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石田宥全君提出国鉄労働組合新潟地方本部管内の不当労働行為の実態に関する質問に対する答弁書



一 新組合の分会設立は一月二十八日であるが、一月二十七日一部職員から「分会結成大会のため二十八日の十五時から半休をもらいたい」旨の届出があり、分会結成の気運のあることは推察していたが、具体的な内容については了知していない。
  又組合所属調査表(名簿)の提出されたのは新組合の分会の結成大会終了後の一月二十九日、各個人から提出されたものであつて、事前に提出されたものではない。
  従つて電修場長及び事務助役が新組合の結成に当つて暗躍しこれを助成したという事実はない。

二 同電修場においては、毎月一回業務上の連絡打合せのため、職場主任技工長会議を開いているが、一月三十日の同会議の席上、職場主任、技工長に業務管理者として労働問題の認識を深めるために、国労及び第二組合の性格について説明をした事実はあるが、これは業務管理上必要な説明であつて、どちらの組合に所属した方がよいか等の言動を行つた事実はない。従つて職制をこえた行為であるとは考えられない。

三 一月二十八日新組合結成後、国労の新組合員奪還の動きははげしく地本の役員等の説得行動が通常説得の範囲をこえて勤務時間中の職員に対しても行われ業務の正常な運営が阻害されるおそれがあつたので、地本役員等の入場を拒否した。
  これに対し地本役員は多数をもつて入場を強要したので二月五日九時三十分から公安職員十名を配置することにし、中には公安職員によつて強制排除された者もでた。
  次に二月二十日午前中地労委労働者側委員山田委員(元国労役員)が場長に面会を求めたが場長不在のために、午後来訪されたい旨を伝えたが山口委員は「職権により現場を見る」と言つて入場した(これには助役が同行した。)又人権擁護委員渡辺委員(国労顧問弁護士)は、地本支部役員等数名と同行してきたので直ちに渡辺氏と判別できる状況ではなく、本人の申出により初めてこれを了解し場長室に案内した。従つて地本役員等の入場の拒否は業務の正常な運営確保のために必要な措置と考えられる。又両委員の調査についてはこれを不当に妨害又は拒否した事実はない。

四 一月十九日新鉄局電気部長が技工長高崎某(電修場分会委員長)と会見し職場規律の確立という観点から、業務に対する協力と部下の指導方について努力してもらいたい旨要望したが、この際電気部長は、職場規律をみだし業務の運営に支障を与えるおそれのある場合にあつてはたとえ休憩時間中であつても職場内で集会することを禁止する場合もあるという主旨を述べた。これは組合員の勤務時間外の集会を禁止するということではなく、職場規律を維持するために必要なときは職場内での集会を許可しない場合もあるという主旨である。組合側は実際に構内広場電修場構外等において休憩時間中の職場集会を開催しているがこれに対しては当局側は何等不当な介入をした事実はない。

五 八月中旬頃から九月頃にかけて新潟鉄道管理局で作成した「新潟鬪争の概況」について、その要点を業務研究会の席上説明したことは事実である。電修場組合員もこの鬪争に際して新津駅のピケ等に参加したこともあり場長としては部下職員に今後このような行為をくり返させたくないという配慮から、七月鬪争の状況を説明し、業務の正常な運営を阻害しないように、いましめるとともに、職場規律の維持を職員に徹底させるために、注意を喚起したものであつて、職権の乱用であるとは考えられない。

六 国鉄は「労働組合に所属する者等の確認方について」(三二年七月)という依命通達をもつて各機関の長に対して職員の組合所属別を明らかにするように措置させたが、これは昨年の賃金改訂に当り一時国労と機労との俸給表の取扱を異にしたため、職員の組合別所属を明らかにする必要があり又組合費の控除を行つていた当時、賃金からの控除についての当局側担当者と組合員との紛争をさけ会計事務を円滑にする必要があつたためである。
  本調査表について、給料からの控除に必要であるから提出するように命じたことはあるが質問書に記されているような事実はない。

七 国鉄の昇給資金の配布率は昨年七月期本年一月期とも、おおむね九十パーセントないし九十二パーセント程度であり昇給の有資格者のうち欠格条項(組合と話し合い協定を結んでいる)に該当する者を除いて九十パーセントないし九十二パーセントの昇給率となり有資格者全員が昇給するようにはなつていない。
  昇給にあたつては本人の勤務成績が重要な要素になるが、これは現場長の判定によつて決めることにしているが正当な組合活動を理由にして故意に昇給させないということはない。本件の場合は昇給しなかつた者の中にたまたま組合関係の者が含まれていたにすぎない。

八 新津車掌区は昨年三十二名の車掌見習の養成を行つたのでその実績検討と将来の対策を研究するために二月六日、七日の両日にわたり教導車掌会議を開いたが会議終了後簡単な会食をしてこん談し、その席上(梅屋旅館)談たまたま組合問題にふれたものと思われるが指摘のような事実はないことが判明した。
  又当局が某温泉で忘年会を催した云々とあるが、これは車掌区の内勤者(区長、助役、庶務掛等)の積立金でおこなつた忘年会(十二月二十一日月岡温泉)のことと思われるが、これは年一回職場の有志によるこん談会であり当局の主催するものではない。この席上でも指摘のような事実はなかつたと関係者は申している。
  次に第二組合結成の中心人物四人に対して勤務につかなかつたにもかかわらず出勤扱とした事実はない。(年次有給休暇を附与している。これは国労に対しても同様である。)
  更に又野球部慰安会の席上で国労役員に対して復帰工作をやめるように強要したことはない。したがつてこれを拒否した役員に対してこの拒否を理由として昇給させなかつた事実もない。

  以上のとおり当方の調査したところでは御質問の様な不当労働行為等はないものと考えている。しかしながら不当労働行為とまぎらわしい事実が仮にあるとすれば甚だ遺憾であるので、今後とも管理者側の労働教育についてはさらに力を注ぐように監督するつもりである。
  なお、不当労働行為の事実が明白になつた場合は法の定めるところにより措置することは勿論である。

   右答弁する。




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