答弁本文情報
昭和三十六年十月十七日受領答弁第三号
(質問の 三)
内閣衆質三九第三号
昭和三十六年十月十七日
内閣総理大臣 池田勇人
衆議院議長 ※(注)※(注)一※(注) 殿
衆議院議員小松幹君提出電報「不配達」の件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小松幹君提出電報「不配達」の件に関する質問に対する答弁書
この電報は、大分県四日市電報電話局から大宮電報局への伝送途中において、大分電報局と東京中央電報局との間で、伝送上の手違いによつて不達となつたものである。
一般に、電報を電報局相互間において送受するときは、送信取扱者は各通の電報にそれぞれ一連の通過番号をつけてその順番に従つて送り、受信取扱者はこの番号が順番どおりに送られてきたかどうかを確認することになつておるので、本来ならば、このような事故は発生しないはずである。
この電報(通過番号三七七号)は、東京中央電報局には受信されていないのであるが、たまたま前の電報(三七六号)が重複して受けられていたので、受信取扱者は三七七号が送られてこないことに気付かず、重複到着した前の電報(三七六号)をこの電報(三七七号)と誤認し、そのまま処理したために不配達となつたものである。
事故発生の原因が、受信取扱者の取扱の手落のみによるものか送信取扱者にも落度があつたのかは時日も経過しており明らかにすることは困難であるが、いずれにしても取扱者の不注意に基づくものであつて誠に申し訳けないことである。
一 ただちに関係職員から始末書を徴するとともに、このような事故を再発させないように所属局長から厳重な注意処分をした。
二 一般職員に対しても、当該局の局内報および局機関紙によりこの事故の詳細を周知し、将来の事故防止に努めるよう厳重な注意を促した。
(一) 今成氏から電報不配達の旨の申告があつた際に、東京中央電報局から責任者二名および大宮電報局長が同氏宅を訪問し陳謝するとともに、事故発生の原因等につきできる限り説明した。
(二) 大分電報局長からも同氏およびこの電報の発信人に対して文書によつて陳謝した。
(三) 損害賠償については、公衆電気通信法第一〇九条第一号によつて利用者に損害を与えたときは、電報料(この場合は一八〇円)の五倍(この場合は九〇〇円)の限度内において賠償することとなつている旨を説明したが、同氏は、金銭の問題ではないとし、この応待にあたつた東京中央電報局長との間で、局側が次の処置をとれば了承されることとなつた。
(イ) 同氏の親類等の関係者(十四名)に対して東京中央電報局長から文書によつて陳謝をすること。
(ロ) 電報局側から、さきにこの件についての記事が掲載された朝日、毎日、大分合同および大分の四新聞社にあてて陳謝とその後の措置模様とを記事にしてもらいたい旨を文書によつて依頼すること。
(新聞記事への掲載については、大分合同新聞のみ九月九日付「読者の声」欄に掲載されたが、他の新聞には掲載されなかつたようである。)
(五) その後同氏から「その後の模様によれば、新聞記事掲載は困難のようであるから陳謝広告(今回の事故の事実の広告でもよい)を、さきに関係記事が掲載された四新聞(朝日東京版、西部版・毎日西部版・大分合同・大分)に掲載されたい」との申出があつた。
これに対し電電公社は、公衆電気通信法における損害賠償額が法定されている建前、その他からして申出の措置を採るには困難であるので前の措置で了承願いたい旨を懇請した。
(六) 右のとおり電電公社では、同氏の意向に添うようできる限りの措置を講じたが、いまだ納得を得るに至つていないことは誠に遺憾であるが、今後も同氏の了解をうるよう、十分努力を続ける考えである。
なお、今後電報の事故の絶滅を期するため一層配意することとしている。
(注)この電報の料金(一八〇円)は、八月十五日に発信局から発信人に対して返還した。
右答弁する。