答弁本文情報
昭和三十九年十二月十八日受領答弁第二号
(質問の 二)
内閣衆質四七第二号
昭和三十九年十二月十八日
内閣総理大臣 佐藤榮作
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
衆議院議員鈴木一君提出国鉄高架線下の賃借に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木一君提出国鉄高架線下の賃借に関する質問に対する答弁書
一、(1) 当該高架下は、現在日米産業株式会社代表取締役 石井明と東京都北区中十条二の五 渡辺吉男の共同使用となつている。
(2) 戦前の使用経過については、国鉄の書類焼失のため詳らかではないが、丸二青果荷受配給株式会社取締役社長 松井繁夫及び日産機械工業株式会社(後の日米産業株式会社)取締役社長 石井明の両名に使用承認していた模様であるが、昭和二十年八月戦災により建物が焼失したので、この使用承認を取消した。
(3) 昭和二十二年、国鉄は、鉄道弘済会に高架下全部を使用承認し、鉄道弘済会はその高架下一部を長尾組に貸し付けたが、長尾組は鉄道弘済会及び国鉄に無断で第一興業株式会社に当該高架下の建物を譲渡したので、昭和二十九年鉄道弘済会は第一興業を相手として、建物収去、土地明渡しの訴を東京地裁に提訴した。
(4) 昭和三十一年、調停の結果、「第一興業は昭和三十一年十一月三十日までに高架下を明渡し、鉄道弘済会は直ちに国鉄に引き渡す。国鉄は、利害関係人日米産業株式会社から高架下使用承認願いがあつたときは、承認を考慮すべき旨」の条項に基づき、昭和三十一年日米産業株式会社に対し使用承認した。その後、昭和三十三年渡辺吉男との共同名義に変更願いがあつたので、これを承認し現在に至つている。
以上の経緯であるが、その後第一興業株式会社と日米産業株式会社及び渡辺吉男の間で家屋明渡しについて、東京地裁において訴訟中であつたが、本年九月「第一興業株式会社に名義変更することなど」を内容とする和解が成立した。
二、戦災により建物が焼失したため、国鉄は他の使用承認者と同様に昭和二十年八月七日に使用承認を取り消したもので、これにより使用関係は消滅したものと解している。
その後、昭和三十七年丸二青果荷受配給株式会社 松井正輔より正式に使用願いが提出されたが、当時、当該高架下は昭和三十一年十一月の東京地裁の調停条項に基づき、日米産業株式会社及び渡辺吉男に使用承認中であつたので、貸付できない旨回答し現在に至つている。
右答弁する。