衆議院

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昭和四十年八月三日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質四九第一号
    昭和四十年八月三日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員春日一幸君提出山一証券等に対する日本銀行の特別融資等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出の山一証券等に対する日本銀行の特別融資等に関する質問に対する答弁書



一 山一証券等に対する日本銀行の特別融資は、山一証券等の再建を前提として実施されているものであるが、万一貸倒損失が生じたような場合の損失は、今回の据置が、証券市場の混乱を未然に防止することによつて信用制度全体の秩序を保持するという日本銀行の任務の一つとして同行が行なつているものである点にかんがみ、直接的には日本銀行の負担とすることが適当である。
  また、日本銀行条例時代に実施された日本銀行の特別融資については、特別の法律が制定され、かつ、その融資について生じた損失は、政府が補償すべき旨の規定が設けられていた事例が見受けられるのであるが、これは、当時の日本銀行が全額民間出資の株式会社組織であつたことや、現行日本銀行法第二十五条のような規定が設けられていなかつたこと等の理由によるものであつて、より一層公共性を帯びている現行法のもとでは、事情が異なるものである。

二 今回の特別融資にかかる損失は、一のとおり、直接的には日本銀行が負担するものであつて、政府の財政負担となるものではないから、この特別融資に対する大蔵大臣の認可は、財政法第十五条の規定に抵触するものではなく、また同法の精神に違反するものでもない。

三 政府と日本銀行との間の話合いの内容は、この特別融資について万一損失が生ずるような場合に備えて、日本銀行において、特別に貸倒準備金を積み立てる措置をとるというものである。
  また、山一証券への特別融資が実施されるにあたつては、日本銀行から大蔵大臣に対して、「山一証券が運用預り有価証券の払戻しに応ずるなどのために必要となる資金を、富士銀行ほか二行を通じ、長期にわたり、かつ、担保適格性を欠く山一証券振出手形を担保として融資することにつき、日本銀行法第二十五条に基づいて認可申請する。」旨の申出があり、これに対して大蔵大臣は、「申請のとおり認可する。」旨の回答を行なつている。

四 今回の措置は、証券市場の不安動揺の拡大を防止することによつて、信用制度全体の維持安定を図ることを目的としたものであつて、あくまでも、特定の企業に対する救済措置としてとられたものではない。

五 政府としては、中小企業に対する金融の円滑化については、常に特段の努力を重ねてきており、今後も一層貸出金利の引下げ等の施策を推進していく所存である。しかし、主意書の中で指摘されている日本銀行の中小企業別枠融資制度は、当時、中小企業金融機関が十分に育成されていないという状況を背景として実施され、また、高率適用を免除するという点に意味があつたのであるが、今日では、中小企業に対する金融機関は、政府関係金融機関を含めて相当程度整備されてきており、また、高率適用制度も廃止され、公定歩合も相当引き下げられてきている。従つて、この制度を復活実施しても、積極的な意味をもつものとは考えられず、かつ、実際的にもあまり効果を期待し得るものとは思われない。

 右答弁する。


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