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答弁本文情報

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昭和四十四年七月十五日受領
答弁第九号
(質問の 九)

  内閣衆質六一第九号
    昭和四十四年七月十五日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 石井光次郎 殿

衆議院議員春日一幸君提出清酒の生産、流通秩序の整備確立に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出清酒の生産、流通秩序の整備確立に関する質問に対する答弁書



一、1 御指摘のあつた福島県の清酒製造者は、昭和四十三年十二月から神奈川県の横浜生活協同組合の組合員を対象として、一般よりかなり低い価格で清酒の消費者直売を開始し、その後販売地域、販売数量をある程度拡大して現在に至つている。
    その間の経緯の詳細については、個別企業の問題でもあるので説明はさしひかえたいが、調査したところでは、当該製造者は、清酒の製造免許を受けた製造場において消費者から清酒の注文を受け、これを直接配達販売しているものであつて、酒税法その他の法令に違反する事実は、は握されていない。

  2 しかし、このような特異な事情による低価格によつて、過当競争が誘発されると、中小企業がほとんどである清酒製造者および酒類販売業者の経営に重大な影響が生じ、ひいては、酒税の確保にも支障をきたすこととなる。国税庁としては関係業界に対し、これに追随して原価を無視した低価格による清酒の販売を行なうことのないよう指導しているところである。
    なお、現在のところ他の製造者は静観しており、このような販売方法が一般化するおそれはないと認められる。

二、自主流通米制度の出現によつて、清酒の生産が一挙に自由化されると、生産過剰となり、販売競争の激化によつて清酒製造者等の経営を不健全にし、酒税の納付を困難にするおそれがある。このため、清酒製造業界では、今後五年間を目途とした酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(以下「酒類業組合法」という。)第四十二条の規定に基づく清酒製造数量の自主規制と中小企業近代化促進法第五条の二の規定に基づく構造改善計画策定の準備を整えつつある。
  政府としても、その方向にそつて検討中であり、右の施策が実施されて、十分な効果をあげた場合には、清酒の生産、流通の秩序が混乱する事態は生じないものと考えている。
  なお、業界の自主的な措置によつても、その混乱が収拾できないような事態に至つたときは、酒類業組合法第八十四条第二項の規定により、大蔵大臣の規制命令を発動することとしたい。

三、清酒製造業および酒類卸売業の近代化計画の策定に当つては、それぞれの業界の近代化のみならず、酒類の生産、流通全体の近代化に役立つものとなるよう配慮しているので、これらの計画の進行によつて、小売業界の近代化も必然的に進むものと思われる。また、小売業界においても自主的に近代化、合理化を進めてきているところであり、政府としてもこの際、小売業界が関係業界に呼応して、さらに近代化、合理化を進め、業界の態勢整備と正常な取引環境の醸成に努めるよう指導する所存であるので、小売業界が混乱するような事態は、十分防止できるものと考えている。

四、自主流通米制度の出現による清酒製造業界の混乱に対処する措置については、二においてすでに述べたところであるが、このほか取引の安定を図るため、清酒については、現に取引条件の自主規制が実施されており、一定の範囲をこえて旅行等に招待し、また物品を贈与する等の行為を禁止し、過当な競争におちいることを防止するよう配慮されている。

五、1 清酒について消費者直売を行なつているのは、ほとんどが零細な製造者であり、通常の製造者の場合は、その販売については流通業界に依存する度合いが高いので、直売を行なうことは事実上困難と考えられる。さらに、小売業者が、その機能を十分に発揮し、消費者サービスに努めるのであれば、業界に混乱を与えるほど消費者直売の数量が増加するようなことは考えられない。
    また、消費者直売を行なつている零細な清酒製造者について、行政措置ないしは立法措置を講ずることによつて、それを制限することは、かえつて小規模の清酒製造者を窮地におとしいれる結果となるので、適当とは考えられない。

  2 かりに、消費者直売等により小売業界に混乱を与えるおそれのある場合には、酒類業組合法第四十二条、同法第八十四条の規定に基づいて、酒類の製造数量、販売数量等の自主規制および大蔵大臣の規制命令が実施できることとなつているので、必要な法的措置はすでに講じられている。

六、多数の酒類製造者の中にはその建値を実勢より高いところにおき、銘柄、品質の差を大幅な値引、リベートにより調整している者も少数ではあるが見受けられる。このような安易な販売方法には種々問題があるので、政府としては、過大な値引、リベートについては、これを販売価格に反映し、適正な建値とするよう業界に要請してきたところであり、消費者保護と取引秩序の維持安定のため、この点については、さらに強く関係業界を指導し、その実現に努力してまいりたい。

 右答弁する。




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