衆議院

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昭和四十六年二月二十六日受領
答弁第二号
(質問の 二)

  内閣衆質六五第二号
    昭和四十六年二月二十六日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員松本善明君提出視力障害者の更生と福祉に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松本善明君提出視力障害者の更生と福祉に関する質問に対する答弁書



一 身体障害者の雇用について

1 身体障害者の雇用を促進し、その生活の安定を図るため、政府としては、身体障害者雇用促進法に基づき雇用率を設定するとともに各種の援護措置を講じてきているが、今後においても、これらの施策を一層充実させることにより対処したいと考えている。
  身体障害者の雇用を事業主に強制することについては、身体障害者の健全な職業生活を推進する観点から身体障害者雇用審議会等の意見もきいて慎重に研究して参りたい。

2 身体障害者を雇用する事業主に対する援助措置については、昭和四十二年に雇用促進融資の一環として身体障害者の就業を容易にするため、身体障害者作業施設等設置資金貸付制度を設けた。
  また、身体障害者の雇入れに伴う事業主の負担を軽減するため、税制上の措置をも含め検討した結果、昭和四十四年度から雇用奨励金制度を設ける等援護措置の充実を図り、身体障害者の雇用の促進に努めている。

3 身体障害者雇用率に関し一定の職種について適用除外の措置を講じているのは、これらの職種がその性格等からみて、身体障害者の就業が困難であり、あるいは画一的に身体障害者雇用率を設定することになじまないなどの理由によるものであるが、今後雇用情勢等の推移もみながら十分検討することとしたい。

4 当該業務は、医療マツサージを内容とし、重度の視覚障害がある場合には医師の指示のもとにその十分な業務の遂行を期待することが困難な場合もあるので、特定職種から除外しているが、特定職種のその他の業務については雇用率が適用されており、今後とも病院、診療所等における視力障害者の雇用の促進に努めたい。

5 視力障害者については特にその障害が社会復帰を困難にする多くの要因を抱えており、前職ないしはそれに関連した職種に復帰することが可能な者については障害発生以前の職業経験等を考慮した職業訓練を行なうことも有用と思われるので、その訓練職種の選定、実施方法、内容等について今後研究する必要があると考える。

6 公務員制度においては、職員は身分を保障されており、単に身体障害者であるという理由で、その者を休職にし、又は免職することはできない。
  しかし、職員が心身の故障のため長期の療養を要する場合又は心身の故障のため職務に堪えない場合等、国家公務員法第七十八条第二号若しくは第七十九条第一号の規定又は地方公務員法のこれらの規定に相当する規定に該当する事由がある場合には、任命権者は、これらの規定に基づき、職員を休職し、又は免職する等のことができることとなつている。
  こうした措置は、国民又は住民に対して公務の民主的かつ能率的運営を行なう責任を負う国及び地方公共団体として当然必要なものであるが、実際には、各任命権者は、これらの措置をとるに先立ち、他に適職があればそこへ配置転換を行なう等必要な配慮を十分に行なつている。

二 国立東京視力障害センターに関する諸問題について

1 労働省所管の職業訓練校の訓練生に支給される訓練手当は、訓練生の生活を保障し、かつ、その訓練受講意欲を増進させる性格を持つものであつて、視力障害センター入所者に対し訓練を効果的に受けさせるために支給される更生訓練費とは性格が異なるものである。
  視力障害センター入所者に支給される更生訓練費に相当するものは、訓練手当のうち受講手当であつて、両者の訓練内容に差があるため直ちに比較することはできないが、現在の更生訓練費については、視力障害センターで行なわれる訓練内容等にてらし、その改善に努力する。

2 食費の負担能力のある者については、食費の自己負担を免除することは考えていない。

3 昭和四十六年度以降、実行可能な限度において、教科書の無償給付を行なう。

4 入所者の歩行訓練に必要な職員の確保については、定員の再配分等により努力することといたしたい。

5 訓練中に事故が発生した場合において、その責めが施設側に帰する場合は、国家賠償法等の規定に基づき国がその補償を行なうことになつているが、身体障害者の保護の見地から所内の医療管理体制を充実強化し、施設に責任がない場合にあつても負傷等に対する医療を可能な限り行なうとともに、見舞金の支給についても検討する。

6 専任の眼科医が得られないため、嘱託医により定期的に診療を実施しているほか、必要に応じて地域の開業医の往診を求めて、安全衛生管理に万全を期しているが、更に昭和四十六年度以降、嘱託医の来所回数を大幅に増加することとしている。

7 視力障害センター入所者の帰省先での保護は、その者を収容委託した援護の実施機関に当たらせ万全を期しているところである。
  しかしながら、帰省先のない者等やむを得ない事情のある者については、視力障害センターでの保護を配慮する。

8 視力障害センターへの入所希望者中、健康上に問題のある者及び学力・能力において、あん摩師等になり得る見込みのない者を除いては、ほぼ全員入所させている。
  また、個別的指導を必要とする実技指導については、なるべく少人数により行なうよう努める。

9 定員五パーセント削減措置は、いわゆる総定員法の下において、行政需要の消長に応じた定員の合理的再配分を推進するために総合的に実施しているものであり、社会福祉施設についてもこの措置の対象から除外することは考えていないが、その実施に当たつては削減率を緩和する等所要の配慮を行なつているところである。

10 昨年十一月以降、体育館の床の破損と雨もりの改修並びに宿舎の畳替えはすでに実施ずみで、静養室・娯楽室及び照明の不備については、今年度中において整備する予定である。臭気のための居室閉鎖については現在原因究明中であり、判明次第早急に整備するとともに、その他整備を要するものについては、昭和四十六年度以降年次計画により整備することに努める。

三 身体障害者に対する世帯更生資金の貸付に当たつては、低所得者であることの要件を撤廃し、すべての身体障害者を貸付対象としているほか、生業費貸付限度額を本年度四十万円に引き上げた。また、雇用促進事業団が行なつている制度は、身体障害者が指定金融機関から資金の借入れをする場合の債務保証限度額であり、貸付金ではない。
  なお、世帯更生資金の貸付原資については、毎年その増額を図つているところであるが、今後とも貸付限度額と原資額の引上げについて検討する。

四 身体障害者に対する鉄道運賃の割引について

1 国鉄においては、身体障害者割引をはじめとするこの種の一定の資格要件をそなえた者に対する割引を行なう場合は、すべて割引証の提出を求めることとしているが、これは発売した乗車券と実際収受した運賃料金を照合するためのチエツク資料として、業務運営上必要不可欠のものであり、やむを得ない措置である。

2 百キロメートルをこえる区間という乗車(船)距離についての条件は、国有鉄道運賃法(第五条の二)に定める範囲をこえた身体障害者、すなわち、単独で乗車(船)する身体障害者についてのみ設けている割引の条件であつて、国鉄は法律に定める範囲内の身体障害者、すなわち、介護者の同行を要する身体障害者については、乗車(船)距離の如何にかかわらず五割の割引を行なつている。
  国鉄の負担において行なつているこの種の公共割引については、今日全般的に見直すべき時期に立ち至つていると考えており、これ以上割引範囲を拡大することは、国鉄財政のひつ迫している現状からみて、実施困難である。

3 現在、特別急行列車への乗車機会がふえてきているという実態は、御指摘のとおりと考えるが、身体障害者に対する旅客運賃・料金の割引については、すべて国鉄の負担において行なつている現状であり、割引の範囲をこれ以上拡大することは、国鉄財政のひつ迫している現状からみて、実施困難である。

4 身体障害者に対する運賃割引は、現在、国鉄・私鉄・旅客船・バス等の基本的交通機関については、五割の割引を実施している。
  航空については、従来補完的役割を果たす交通機関であり、また輸送水準が他の交通機関の一等以上で同程度であることから割引を行なつていないが、今後、他の交通機関の動向とにらみ合せ、慎重に取り扱うことといたしたい。

 右答弁する。


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