答弁本文情報
昭和四十六年七月二十七日受領答弁第一号
(質問の 一)
内閣衆質六六第一号
昭和四十六年七月二十七日
内閣総理大臣 佐藤榮作
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
衆議院議員鹿野彦吉君提出台湾における日本国民の私有財産に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鹿野彦吉君提出台湾における日本国民の私有財産に関する質問に対する答弁書
一 政府は、昭和三十年六月七日、在中華民国大使館を通じ、中華民国外交部に対し、口上書をもつて、日華平和条約第三条にいう特別取極に関する交渉開始方を正式に申し入れたところ、中国側の回答を得ることができなかつた。よつて、昭和三十五年十一月、昭和三十七年十二月及び昭和四十年七月、できるだけ早い機会に右交渉を開始したい旨督促しているが、今日に至るまで中国側から何らの回答にも接していない。
二 更に政府は、外務省及び在中華民国大使館を通じて、機会あるごとに、口頭をもつて中国側を督促する一方、しばしば中国政府関係者に対し、側面的協力を要請する等、交渉開始につき努力しているが、中国側は交渉を開始する時期に至つていないとして、これに応じていない。
三 御質問の趣旨が引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律についてであるとすれば、この法律は、引揚者が、終戦によつて海外におけるそれまでの生活を支えていた財産、人間関係、生活利益等を一切喪失したという特異性に着目して、特別交付金を支給しようとするものであつて、特に引揚地のいかん又は引き揚げに至るまでの事情等を問題にしているものではない。
四 引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律を制定して引揚者等に対して特別交付金の支給措置を講じたからといつて、台湾に残置した日本国民の私有財産に対する返還請求権についての国の主張は、なんら影響を受けるものではないとする政府の見解は変わらない。
右答弁する。