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答弁本文情報

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昭和四十七年二月四日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質六八第一号
    昭和四十七年二月四日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員竹本孫一君提出個人企業に対する税制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員竹本孫一君提出個人企業に対する税制に関する質問に対する答弁書



一 まず、個人企業所得は、資産所得と勤労所得との共同所得と観念されているのに、現行税法はこれらが一括して事業所得とみなされているという点については、本来、事業所得は資産から生ずる部分と勤労から生ずる部分とが合計されたものと観念されているのではなく、資産と勤労とが一体となつて生じた所得であつて、これを区分することのできないものなのである。
  次に、第一次シャウプ勧告における勤労控除についての考え方であるが、同勧告は、当時給与収入の二十五パーセントとして定められていた勤労控除について、御指摘のような根拠をもあげているが、そのほか「勤労に伴う経費に対する概算的な控除」という点を挙げ、結局、勤労控除の根拠としては、勤労に伴う経費の概算的控除という点に限つてその存在意義を認め、御指摘のような根拠に見合つていた部分については勤労控除から除外する趣旨で控除率の引下げを勧告したものである。
  この勧告を受けて、政府は、昭和二十五年度の税制改正において、勤労控除の控除率の引下げを行なつているところであつて、シャウプ勧告における勤労控除の根拠についての考え方は現行の給与所得控除制度に引き継がれているものである。

二 個人企業と法人企業との税負担の均衡の問題については、政府としても常に配意してきているところであるが、現行税制は、一般法制における個人、法人の別に応じ個人については各種控除と累進税率との組合せによる所得税を、法人については比例税率による法人税を課税する仕組みをとつている以上、両者について全く同一の税負担を期することが困難であることはいわば当然の結果であると考えられる。
  これを是正するために事業主報酬をという御趣旨であるが、事業主報酬といつても、事業の経理上事業主が自分に対して報酬を支払うことを想定するものであり、報酬を支払う者と受ける者とは同一人たる事業主であつて、経済的実態には何ら変わるところはないにもかかわらず、報酬を支払うという擬制をとることによつて税負担だけを変動させようというものに過ぎない。しかも事業主報酬の額のきめ方いかんによつて税負担は変動するというのも問題であろう。このような理論的難点はさておき、かりに事業主報酬の制度を導入するとしても、事業所得からその報酬を控除した残額に対してどのような課税を行なうのか、財産の帰属をどう考えるのか、それに関連して財産の移動の際の課税はどうするかといつた各種の困難な問題が生じてくる。
  政府としては、従来から、大多数の個人事業所得者は年所得三百万円程度以下であるところからこれらの所得階層については、その総合税負担が法人形態の場合よりも軽減されることとなるよう常に配意してきたが、この際中小企業税制のあり方の問題についてあらゆる観点から根本的な検討を行なう必要があると考えており、今後税制調査会にも十分審議をお願いし、できるだけ早い機会に結論を得たいと考えている。

三 昭和四十六年三月三十一日大蔵省告示第二十七号による青色申告者の帳簿記載事項の改正は、御指摘のように月決め事業主貸とその他の事業主貸とを経理上区分して記帳することを認めたにとどまり、事業主報酬制度を認めたものではない。

四 青色事業主特別経費準備金にしろ青色申告控除にしろ、いずれも青色申告のより一層の普及を狙いとした制度である。

五 個人企業の経営の近代化、合理化を促進することは望ましいことと考える。しかしながら、そのような観点から原価計算と損益計算をすることと、税負担をどうするかということとは別問題であると考える。

 右答弁する。




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